ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

The Namesake

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ベンガル・米映画「The Namesake」(2006)
邦題「その名にちなんで」

配役:

"Gogol" ことNikhil Ganguli役:Kal Penn
Ashima Ganguli役:Tabu  
Ashoke Ganguli役:Irrfan Khan 
Sonia Ganguli役:Sahira Nair
Maxine Ratcliffe役:Jacinda Barrett

 

すっかり人任せなあらすじと解説:

これでインディア 「The Namesake」

 

小僧的視点:

コルカタから移民してきた父Ashoke(イルハン・カーン)と、Ashokeがロシア人作家ニコライ・ゴーゴリから名づけたニューヨーク生まれの息子Gogol(カール・ペン)との名前をめぐる物語を中心に、母親Ashima(タッブー)が持つ伝統的・インド的価値観とその子供たちのアイデンティティを含む葛藤、親子と夫婦の愛、インド的深すぎる家族の絆による齟齬とそのすり合わせ……といったものが淡々と描かれていく。

スリルもサスペンスもない、日常を切り取った映画がとかく好きなのだが、あまり世界には存在しない気がする。
主人公は誰なのかというのも実ははっきりせず、GogolでもAshimaでもAshokeでも、誰でもその時々の中心人物の気持ちにすっと寄り添える。

見合い前にAshimaがAshokeの靴を履いてみるシーンがあるのだが、月日が経ってGogolが父の靴を履いてみるシーンがオーバーラップしてきて、ニクイ演出だなと思ったりもした。
全編通してAshimaとAshokeのやりとりが特に観ていて心地よい。

後半、Gogolが髪を剃り落としてAshimaの前に現れるところがある。
「そんな必要ないのに」
Ashimaが言う。これは家族や親戚が亡くなると、その家の成人男性がみな丸坊主になるというヒンズー教徒のしきたりにもとずいている。インド人だから祖父・祖母をはじめとした親の兄弟といった親戚も多いわけで、誰かがなくなると坊主なので生えそろわないうちにまた坊主になっていたりすることもある。
「え? また?」
会うたびに落語「大山詣り」よろしく一族郎党男子がツルツルなのは、不謹慎だがちょっと可笑しい。

印米合作作品で基本は英語だが、ベンガル語ヒンディー語がごちゃまぜになっていて、この部分が英語字幕だと
(現地の言葉でなにか言っている)
みたいな字幕が特にヒンディー語のところで出て、これではなんのことやら? になりかねないのだが、日本語字幕のDVDが手頃な価格で出ている。 

 

 撮影はニューヨーク、コルカタとその近郊、アグラなどで行われている。(シドニーも?)

 

ロケ地
 Taj Mahal (Agra UP)

原作より
Apart from visiting relatives there was nothing to do in Calcutta. He's already been to the planetarium and the Zoo Garden and the Victoria Memorial a dozen times. 

親戚を訪ねる以外はカルカッタですることがなかったGogol。プラネタリウムでも動物園でもビクトリアメモリアルでないアグラへ家族旅行だ。

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いつ、どこで、誰がみても美しいものは美しい。

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 「こんなお墓を作るなんて、シャー・ジャハーンはどんなにかムムターズを愛してんでしょうね」
「どのカップルだって愛しあってるんじゃないかな。ただ、(タージ・マハールを)作るだけのお金が無いんだよ」
遠まわしな言い草がとても好きだ。 

 

ロケ地
Victoria Memorial (Kolkata)

結婚後20年あまりしてから、Ashokeが「見合いの時、なぜ僕にオッケーを出したの?」とAshimaに訊くシーン。 

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「靴が好きだった」だの「条件がよかった」だの答えられたあげく、 「アメリカ式に愛してるっていうべき?」の会話が続く。

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 それをきいたAshokeがこのあと、ひとりにやけるのが微笑ましい。

 

ロケ地
 Howrah Station (Calcutta, West Bengal)

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若き日の列車事故のことを思い出すのか、飛行機にすればよかったとか言い出すAshoke。撮影はコルカタからSantiniketan行きの列車にて行われた。

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この映画が観られるサイト:

http:// https://einthusan.tv/movie/watch/2393/?lang=hindi

 

 

 

Missing

  1. f:id:bokenkozo:20180606170214j:plain

ヒンディー映画「Missing」(2018)

配役:

Mrs. DubeyことAparna Dubey役:Tabu
Mr. DubeyことSushant Dubey役:Manoj Bajpayee
捜査官Ramkhilawan Buddhu役:Annu Kapoor 


Missing Official Trailer | Tabu | Manoj Bajpayee | Annu Kapoor | Mukul Abhyankar

ネタバレしない程度のあらすじ:

Sushant Dubey(マノージ・バジパイー)は妻のAparna(タブー)と熱を出している3歳になる娘Titliとともにモーリシャスにあるビーチリゾートホテルにチェックインする。
仕事でモーリシャスに来たSushantだが、妻と娘は急遽その旅に同行することになったのでシングルからスイートに部屋を変更。
夜半、子供の泣き声がうるさいと隣の部屋からの苦情を受け、ホテルのフロント係が「医者が必要ならば手配する」と伝えに行ってみると、Sushantはなにか食べるものを探しに部屋を出ておりAparnaが「もう娘は寝たので大丈夫です」と対応する。

翌朝、Titliの姿が見えなくなり、二人は必死に探すがどこにもおらず、ついにはモーリシャス警察から捜査官が来る。
「蝶」という意味の名前を持つ娘Titliはいずこに?

 

小僧的視点:

Mukul Abhyankar監督デビュー作。あまりプロモーションをせずロープロファイルだったのは、プロモーションによってネタバレするのを恐れたためとのこと。
Tabuは「Haider (2014)」でHaiderの母親役、「Fitoor (2016)」でFirdausの母親だった女優だが、いずれも「The Namesake(2006)」で見せたいわゆる家庭のお母さんではなく妖艶さと廃れた感じがミックスしたような雰囲気があってとても「魔女」っぽい。
今回のAparnaは三歳児の母という設定。1971年生まれとは思えない美しさだが、なにかあるなと思ったらやっぱりなにかあった。

設定から騙され、Sushantの騙りに騙されつつ、2時間という尺の中でテンポよくどんでん返しまで一気に運ばれる。しかし、
「じゃぁ、お隣さんが眠れないほどの泣き声は?」
考えると、どうしても腑に落ちないままなのである。幻聴とするには、お隣さんはそこまでサイコには描かれてはいない。

 

ひとつ残念だなと思ったのは、せっかくモーリシャスで撮影をするのであれば、もう少しリゾートならではの海の風景を挟み込む余裕があったらよかったのにと思う。
コミカルが哀しみを引き立てるのと同じで、美は恐怖をもっと深めるはずだから。

 

 

ロケ地
Mauritius

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捜査の最中、特に必要がないけれどマネージャーと海辺で話すなどの工夫がないわけではなかったのだが、もう少し海のシーンがあってもよかったのにな。

 

この映画が観られるサイト:

 https://einthusan.tv/movie/watch/5xbL/?lang=hindi#

Sarbjit

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ヒンディー映画「Sarbjit」(2016)

配役:

Dalbir Kaur役:Aishwarya Rai
Sarbjit Singh役:Randeep Hooda
Sarbjitの妻Sukhpreet役:Richa Chadda
弁護士Awais Sheikh役:Darshan Kumar 
Sarbjitの長女Swapandeep Kaur役:Shiwani Saini
Sarbjitの次女Poonam Kaur役:Ankita Shrivastav

 


Salamat Video Song | SARBJIT | Randeep Hooda, Richa Chadda | Arijit Singh, Tulsi Kumar, Amaal Mallik

 

ネタバレしない程度のあらすじ:

1990年8月30日にインド・パキスタンの国境地帯でパキスタン警察によって逮捕された、Sarbjit Singh(ランディープ・ホーダ)というインド人がいた。
この年、ラホールやファイサラバードなどで起こった連続爆破テロへの関与を疑われたSarbjit Singhは、スパイ容疑で裁判に掛けられて1991年に死刑を宣告された。
Sarbjit Singhの死刑はパキスタン政府によりたびたび延期され、その間、インド政府や彼の姉Dalbir Kaur(アイシャワラー・ライ・バッチャン)を中心とした家族の釈放を求める長い闘いが続いた。

小僧的視点:

 Sarbjit Singhは22年間の獄中生活の末、刑務所の中で他の囚人達から暴行を受けた2013年5月2日に死亡。

日本語での記事からもわかる通り、暴行犯は6人だとか2人だとかインド・パキスタン双方の言うことには差異がある。  

Sarbjit Singh本人は農夫であり、テロ事件が起こった3か月後にインド・パキスタンの国境線上にある自分が住む村Bhikhiwindから、酔っぱらってパキスタンへ迷い込んだだけだと証言している。

 

Sarbjit Singhの住む村を地図で見てみるに、酔っぱらっていたり、暗闇だったりしたらパキスタンに迷い込んでもおかしくない距離と場所にあることがわかる。

Dalbir Kaur, whose fight for her brother Sarabjit Singh, ended with tears - India News

 "There was no security fence at the time and there was simply no way of telling India from Pakistan in the dark," she says struggling to hold back her tears.


当時の国境には警備のためのフェンスもなく、その境は暗闇では判断する術もなかったという。映画の中の「国境」も杭打ちだけで、有刺鉄線もヒモ?さえもなかった。
弟の釈放を再三求め、東奔西走した姉のDalbir Kaurについて

indianexpress.com

Baljinder Kaurなる人物が2014年に「Dalbir KaurはSarbjit Singhの本当の姉ではない。私がそうだ」とか言い出し、Baljinder Kaurの兄が「アホか!」と言っていたことで終わった話かと思いきや

www.hindustantimes.com

2016年5月にまたBaljinder Kaurが「Dalbir Kaurは本当の姉ではないし、SwapandeepはDalbir Kaurの娘だ」と、現在は詐欺罪でウッタラカンド州にて服役中のDalbir Kaurの夫だと称するBaldev Singhなる人物の証言つきで言い始める。
興味深いのはここ

 

Dalbir said she was ready to face any probe in the case. "All this is the matter of money. Baljinder was nowhere when I fought tirelessly for my brother. As far certificates are concerned, since I had no child, when Swapandeep was born to Sarabjit, they gave their daughter to me. I never knew that this will become such a big issue now," she said.

Sarabjit's wife Sukhpreet Kaur, said Baljinder is lying on the issue and Swapandeep was her daughter.

Dalbir Kaur自身がSwapandeepが生まれた時にSarabjit夫妻が子供の居ない私に娘をくれたと言っていること。もしこれが本当であれば「SwapandeepはDalbir Kaurの娘だ」と言われてもあながち間違いではない。
Dalbir Kaurはこの件で上記証言作りに手を貸した州の政治家10名を訴え、損害賠償を請求したりしている。

訴えるのはそっちなんか! と苦笑してしまうが、もう本格的になんだかわからないのである。
Dalbir KaurがもしSarbjit Singhの姉ではなかったとしたら、22年あまりも釈放を求めて戦う意味や根拠はなんぞやということになる。
もし、Baljinder KaurがSarbjit Singhの本当の姉なのだとしたら、22年間いったい弟のために何をしていたのか? 今頃のこのこ出てきてなにをしたいのか? となっても仕方あるまい。
インド人は基本的に嫉妬深く、足引っ張りが得意技だときく。誰が何をどう得するんだか知らないが利権だか知名度のあるところには、ワラワラわけのわからない人たちが寄ってきても不思議はない。

22年間パキスタンで投獄されていたという設定の「Veer-Zaara」を観ていて、銀のアンクレットなぞ牢獄の中でもっていられるものなのか? とか どうして独房? 大した暴行も他の囚人達からされずに済んでいたのはなぜ? とか色々違和感を覚えたのは、前にこの映画を観ていたからだと思う。
Sarbjit Singhを演じたRandeep Hoodaは主役のDalbirがかすむくらい、いい演技をしているし、実際のパキスタンの刑務所というのはこんなところだったんだろうなということがリアルに伝わってくる。

ちなみにパキスタンでは映画倫理委員会により「反パキスタン的だ」として、この映画は禁じられている。

 


Dard Video Song | SARBJIT | Randeep Hooda, Aishwarya Rai Bachchan | Sonu Nigam, Jeet Gannguli, Jaani

 

 

 

ロケ地
 Bhikhiwind (Punjab)


bhikhiwind sarbjeet ki shooting

 

 

ロケ地
Golden Temple (Amritsar, Punjab)

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ロケ地
Wagah Border (Amritsar Punjab India)

 国境での撮影許可がおりず、スタッフも役者もアムリトサルになんと20日間も足止めされた。

 

ロケ地
 India Gate (Delhi)

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ロケ地
Lal Qila (Delhi)

 

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ロケ地
Palghar fort (Sondeghar, Maharashtra)

 パキスタンの刑務所シーンはここで。
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'Sarbjit' Makers Recreate Pakistani Jail In Maharashtra 

"Creating Pakistan for Sarbjit was a tough task for me. We could not go there to shoot for various reasons. So to find a place like a Pakistani jail was so difficult. Pakistan jails are very different. They are like huge and have major areas. The walls are like a fort. So we went to Palghar fortand it was so interesting. They had these Islamic arches so I created the whole jail in Palghar. I have kept the beauty of the fort intact and it's completely in a real zone."

実際に行くわけにも行かないし、パキスタンの刑務所はインドとは違って相当大きく、映画の作り手達も苦労して探したらしい。
セットだとばかり思っていたら、砦だった。

 

 

 

この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/2986/?lang=hindi

 

Veer-Zaara

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ヒンディー映画「Veer-Zaara」(2004)

配役:

Veer Pratap Singh役:Shah Rukh Khan 
Zaara Hayat Khan役:Preity Zinta 
Saamiya Siddiqui役:Rani Mukerji 
Zaaraの母親Mariyam Hayat Khan役:Kirron Kher 
Zaaraの父親Jehangir Hayat Khan役:Boman Irani 
Shabbo役:Divya Dutta ←Blackmail2018でDollyデリー6でゴミ掃除の低カースト
弁護士Zakir Ahmed役:Anupam Kher 
家庭教師Bebe役:Zohra Sehgal
Zaaraの婚約者Raza Sharazi 役:Manoj Bajpayee 
Veerの叔父Choudhary Sumer Singh役:Amitabh Bachchan
Veerの叔父叔母Saraswati Kaur役:Hema Malini 


名曲だと思う。
め やはーん ふん やはーん ふん やはーん(僕はここにいるよ)
ついつい歌ってしまう。

 

すっかり人任せなあらすじと解説:

これでインディアの「Veer-Zaara

 

小僧的視点:

Yash Raj Chopra監督の遺作となった「Jab Tak Hai Jaan(2012)」のひとつ前の作品。

いやぁーもう、泣いた泣いた。
「んなやつインドにいないよ! そもそも約束守るっていう習慣ある?」
とか思いつつ、相当泣かされた。ものすごくいい映画だった(満足)

にしてもZaaraが老けすぎで、思わずコーヒー吹いた

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最初の出会いがいくつの時だったのかはわからないけれど、婚約者がいて未婚なのだから20代後半かいっていても30代ちょいではなかろうか。
22年経ったところで40代、もしくは50を少し超えたくらいのはずなのに、これでは「おばあさん」にしか見えないし、子供たちをおっかけ回す村のシーンでちょっとだけ腰が曲がっている演出もなされていた。やりすぎである。

逆に、22年間もパキスタンの牢獄に居たはずのVeerが

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老けてなさすぎではなかろうか。SRKは若返りは得意なのだが、老けさせようと思うとあまりうまくいかない俳優かもしれない。

 


Tere Liye - Full Song | Veer-Zaara | Shah Rukh Khan | Preity Zinta

 

役者さんで印象的だったのはShabbo役のDivya Dutta(ディヴィヤ・ドュッタ)。
Saamiyaの横にいる緑のヴェールをかぶっているのがDivya Dutta。


Dialogue | Yeh Kis Sadi Ke Log Hai | Veer-Zaara | Shah Rukh Khan | Preity Zinta | Rani Mukerji

Blackmail」では妖艶なDollyを演じていたが、「Delhi-6」では物凄い存在感を出していたあのアウトカーストのJelabiだ。


まったく記憶にないのだがShakthi: The PowerにもShekharの妹役で出ていたようだ。幅の広い役をこなせる脇として注目だ。

 

映画の中にLohri(なぜか字幕やYoutubeのタイトルがLodiなのだが)と呼ばれるお祭りが出て来る。
このシーンがとても好きだ。
Lohriは主にパンジャーブ州冬至の1日前(1月13日)に行われる。農業が盛んな地域におけるお祭りでもあり、撒いた種が冬を乗り越えてしっかりと芽を出して成長するようにと行う。日没後、大きな焚き火を作って小麦や落花生、砂糖やバターなど、豊作を祈る捧げ物を火に投げ入れ、火が絶えるまで歌って踊る……というもの。
祭につきものの愛の告白大会が未婚、既婚にかかわらずサトウキビを使って映画の中では行われるのだが、これはどうやらこの村というかVeerの叔父が作ったきまりごとという説明があったので、本当の祭ではどうかわからない。
でも、あったとしたらとても素敵だ。

というわけで物語の始まりは冬のはずなのだが、Veerも夜に半そでだったり、花が咲き乱れていたり、新緑が生い茂っていたりして、あまり冬っぽく見えない。
ま、映画だからね(←大人な対応)

 


English, Spanish and Hindi Subs "Lodi" Veer-Zaara Official Video

 

Veerの牢獄での呼び名「囚人番号786」に関して、Saamiyaが看守に「神の番号」といったことを話している。
これは「b-ismi-llahi r-ahmani r-ahimi(ビスミ・ッラーヒ・ッラフマーニ・ッラヒーム)」という、イスラム教の聖典コーラン」の各章の頭についている言葉に端を発している。

「b-ismi-llahi r-ahmani r-ahimi(ビスミ・ッラーヒ・ッラフマーニ・ッラヒーム)」は、カトリックでいうところの「天にまします我らが父よ」というのと同じ感じで、意味は「慈悲深く、慈愛あまねアッラーの御名において」である。
アッラーを唯一絶対神とするモスリムの人たちは、このお祈りの一節を、食事の前、立ち上がる時、お金を数え始める前、運転する前、重要な会議の前など、なにかをはじめる時に唱える。
とても身近でありながら神聖な文言だ。

その文言がなぜ786なのかといえば、アラビア文字は文字を数字に置き換えることができるからだ。このお祈りの一節に預言者「ムハンマド」を付け加え、その文字を数字に置き換えて合計すると「786」という数字が出て来る。
この数字がデザインされたペンダントトップがあったり、男の子の礼拝用の帽子に編み込まれていたり、オートリキシャの前面に書かれていることもあるので
「ははーん、このリキシャワラ(リキシャの運転手)はモスリムなのか」
とすぐわかるのである。
バスに乗るとダッシュボードにガネーシャの置物や、仏像が置かれていることがあるが、偶像崇拝が認められていないモスリムバージョンということになろうか。

 

 観終わってなぜか心に引っかかっているのは、Veerの育ての父である叔父のChoudhary Sumer Singh(アミターブ・バッチャン)がVeerをけしかける時の台詞
「When the right woman comes into a man's life, that's when his life becomes complete」
あなたの人生はすでに完全なものになっているだろうか? 

 


 

歌の撮影がスイスで行われている以外は、主にパンジャブ、あとはハリヤナ、デリーなど。

 

ロケ地
Gurdwara Patalpuri Sahib (Kiratpur, Punjab)

ZaaraがBebeの最期の望みを叶えるために向かったシーク教寺院、Bebeの出身がKiratpurという設定だった。

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 地図を見るにすぐ裏にサトレジ川が流れているのでここに遺灰を蒔いたのだろう。

 

ロケ地
Purana Qila  (Delhi)

VeerがZaaraに最後に会い、どんなにお互いが好きでも結婚はできないのでお別れをするラホールでのシーンは、実はデリー。

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veer zaara sad scene |shahrukh khan|preity zinta|


ここで二人が
「結婚して子供を10人くらい産んだ後、僕の村を必ず訪ねて来て。そうしたら君を自転車に乗せて村を見せてまわるから」
「子供を10人も生んだら、自転車に乗るのは無理かも……わかるわよね?」
「あ、そうか……じゃぁ、トラクターを手配するよ!」
泣きながらかわす約束。
ピンと来てしまう(←なにが!)のだが、台詞がコミカルなだけに余計哀しみが増すといういつもの手口だ。 


案の定エンドクレジットに自転車シーン。

 

ロケ地
Khalsa College (Amritsar, Punjab)

 裁判所の外観として使われたのは大学、法廷はセットかな?

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ロケ地
 Attari International Railway Station (Amritsar Punjab India)

Veerがパキスタンの・ラホール行きの列車に乗るZaaraを送ってきたのがこの駅。
婚約者がいたことを知り「がーん!」になる場面でもある。



 

ロケ地
 Pataudi Palace (Pataudi, Haryana)

Zaaraのパキスタンの家

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ロケ地
Wagah Border (Amritsar Punjab India)

VeerとZaaraはこの国境を越えて家へ帰っていく。

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Saamiyaの計らいで、シンドール(既婚女性がつける赤い粉)をつける儀式がパキスタンとインドの間にある緩衝地帯で行われた。

 

ロケ地
IFFIGFALL –  (BERNESE OBERLAND, Switzerland)



 

 

この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/0571/?lang=hindi

 

Badrinath ki dulhania

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ヒンディー映画「Badrinath ki dulhania」(2017)
邦題「バドリーナートの花嫁」

配役:

"Badri" ことBadrinath Bansal役:Varun Dhawan 
Vaidehi Trivedi役:Alia Bhatt 
Badriの親友Somdev Mishra役:Sahil Vaid
Badriの父親Ambarnath Bansal役:Rituraj Singh
Badriの兄 "Alok"ことAloknath Bansal役:Yash Sinha
兄嫁Urmila Shukla Bansal役:Shweta Basu Prasad
Vaidehiの姉Kritika Trivedi役:Sukhmani Lamba

 


【日本語字幕付】『バドリナートの花嫁』予告編

 

ネタバレしない程度のあらすじ:

保守的で男尊女卑の父とおとなしい母に育てられ、兄と見合い結婚した兄嫁と一緒に暮らす、"Badri"”ことBadrinath(ヴァルン・ダーワン)はウッタル・プラデーシュ州Jhansiの裕福な家の出身。学校も中退し、父親が営む貸金業のとりたてを親友のSomdev(サーヒル・ヴァイド)としつつ日々を送っていた。

そんなある日、友人の結婚式で出会ったラジャスタン州Kotaに住むVaidehi(アーリア・バート)に一目惚れするも、Vaidehiは結婚もしたくなければ、仕事をもって自立することを考えていた。

最近結婚紹介業を始めたSomdevが一枚かんで手をまわし、Vaidehiとの結婚話を進めたところ、Badriの家が名家であることからもVaidehiの両親は結婚話に乗り気になった。Vaidehiを口説こうと4時間かけてKotaまでは赴いたBadriだが、「学がない」ことを盾にVaidehiに冷たくあしらわれる。

その後、BadriがVaidehiの姉Kritikaの結婚相手探しを手伝ったことから二人の距離は急速に縮まり、ついにKritikaと同時に結婚式をあげることになった。
しかし、結婚の儀式がはじまるその時になってもVaidehiは会場に現れず、迷いを捨てきれないVaidehiは逐電。花嫁が逃げるなどという前代未聞の顛末で、名誉を傷つけられたBadriの父は
「彼女を探し出して連れて来い、吊るして公開処刑してやる!」
とカンカン。

 Badriは情報をもとにSomdevとともにムンバイへ向かうが、そこで知らされたのはシルク・エアーにキャビンクルーの職を得たVaidehiはシンガポールで訓練中ということ。二人はシンガポールに飛び、Vaidehiを捕まえてトランクに押し込め……。

小僧的視点:

ここのところ、やれDVだ偽医者だ、歴史ものだ、ガサ入れだ……ちっともマサラムービーっぽくない映画ばかりなぜか観てしまっていたので、涙あり、笑いあり、恋愛あり、踊りありの久々に色んな意味でインド映画らしいインド映画であった。
Vaidehiの出身がラジャスタンの設定なので、お約束のダンスシーンの衣装が短い丈のチョリ(ブラウス)にボリュームのあるガガラ(Gagra)やレンガ(Lehenga)と呼ばれるギャザースカートなのも観ていて楽しい。


 

 

ただ、ムンバイからシンガポールへ舞台が変わるところが、(私が観たバージョンの編集のせいなのかもしれないが)とてもまぎらわしい。
BadriとSomdevはもともとJhansiから車でムンバイへ向かったのだが、シンガポールでも車を運転する場面からはじまるのでついインドだと思って観てしまう。
捕まってしょっ引かれた警察署の人もなぜかタミル語ではなくヒンディーを喋るため、「警察署ってこんなにキレイなんだ~」
キョロキョロするSomdevが
「牢屋もキレイよ、入る?」
女性警察官が言うあたりで、あれ? もしかしてここってシンガポール? とようやっと気付いたような具合である。

そして、「そもそも、なんで2人はパスポート持ってたの?」とか、キャビンクルーの訓練にまつわる色々色々に「えーー?」的な異論が山ほど噴出するのだけれど、そこは映画なんだし大人なので「ああ、まぁ、そういうこともあるんだね、きっと」ということでなんとか乗り越えるのである。

で、今回インドからシンガポールに舞台を移した瞬間、普段インド映画を観ていて
「うん、うん、インドだからね。まぁ、そういうこともあるよね」
すましていたことが、全部見え方が違って来るのが面白かった。
たとえば「彼女を探し出して公開処刑」とか、Badriのストーカーまがいの追っかけまわしとか、Vaidehiの友達のパンジャビ男性に誤解して殴り掛かるとか、仲良しだからこそ海の中にSomdevを突き落とす愛情表現とか……すべてが乱暴で粗野なものとして映るようになるのだ。

 下記の動画を「ここはシンガポールなんだ」という意識のもと、首しめなくたっていいじゃない? ひっぱたかなくてもいいじゃない? 床に押し倒さなくてもいいじゃない? 突き放さなくてもいいじゃない?……という視点で観てもらうと私が言わんとしていることの意味が少しは伝わるかもしれない。 



普段、インドを旅していて幾人ものインド人たちと触れ合っている時は別段何も思わないのだけれど、シンガポールでインドから出稼ぎに来ているインド人達が行う粗野な動きをみて
「うわーっ、迷惑だなぁ」
舌打ちしたくなることがあるのだが、まさにその感覚がこの映画でよみがえった。

これと同じ感覚はイタリア人でも起こる。
イタリアを旅しているうちは、「はいはい誰にでも女性とみればお世辞言って、ママが大好きなイタリア人は人生楽しんでるんだね~」で済むのに
イギリスで道路に寝転がって騒いでいるヨーロッパ人をさして
「あんなことするのはイタリア人に違いない。まったく」
舌打ちするスーツをきちんと着こなした英国紳士に、密かに共感しちゃったりするのである。
ヨーロッパで道路に寝ているとしたらイタリア人、アジアで道路に寝転がっているとしたらインド人……などと白人バックパッカーがくくっているのを聞いたことがあるが、やはり人生を自由に謳歌している人々は切り取って「きちんとした所」へ連れてきてみると迷惑でしかないのであろう。

ただ、迷惑をかける側とかけられる側。人生としてどちらが楽しいんだろうか? それはまた別の話だ。

撮影はインドとシンガポールの二か国で行われている。 

 

ロケ地
Ghatotkach Circle (Kota, Rajasthan)

Kotaにあるいわばロータリー

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ロケ地
Kishore Sagar Lake (Kota, Rajasthan)

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ロケ地
Chambal River (Kota, Rajasthan)

 二人がジェットスキーをしていたのが、この川。ワニがいるので有名で、実際ロケ中にワニと遭遇してヒヤっとする場面もあったらしい。

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ロケ地
Seven Wonders Park (Kota, Rajasthan)

 Kotaに呼び出されたBadriがVaidehiとまわるのがここ。

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ロケ地
Taragarh Fort (Bundi, Rajasthan)

 「Humsafar」という歌の冒頭、そのあともデート場所として出て来る砦。

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Humsafar (Full Video) | Varun & Alia Bhatt | Akhil Sachdeva | "Badrinath Ki Dulhania

 

ロケ地
Henderson Waves (Bridge in Singapore)

 二人が寝そべっているのはHenderson roadにかかる高さ36m、長さ284mの波のカタチをした橋の上。

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ロケ地
Old Hill street Police Station / MICA Building (Singapore)

 警察署があったのはこの通り。

 

ロケ地
Marina Bay / Singapore flyer (Singapore)

 

 

ロケ地
Clarke Quay (Singapore)

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ロケ地
 National Gallery (Singapore)

Badriがシンガポールをうろうろするところにちょっとだけ見える。

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この映画が観られるサイト: 

https://einthusan.tv/movie/watch/4nlG/?lang=hindi#

Blackmail

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ヒンディー映画「Blackmail」(2018)

配役:

Dev Kaushal役:Irrfan Khan
Devの妻Reena Kaushal役:Kirti Kulhari
Ranjitの妻Dolly Verma役: Divya Dutta
"Tommy" こと Ranjit Arora役: Arunoday Singh
上司DK役:Omi Vaidya
Prabha Ghatpandey役:Anuja Sathe
Anand Tripathi役:Pradhuman Singh Mall  
Chawla役:Gajraj Rao


ちょっと切ない気分になる。

ネタバレしまくりなあらすじ:

トイレットペーパーのセールスマンであるDev (イルファン・カーン) がいつもよりも早く仕事から帰ってきてみると、妻のReena(キルティ・クルハーリ) が "Tommy" ことRanjit (アルノーデイ・シン)とベッドにいるではないか。
まずは間男を殺し、それから妻を殺す……とっさにそんなことを考えたDevだったが、実際にとったのは「二人をゆすって、新しいトイレットペーパーのプロモーション費用10万ルピーを捻出する」という違うシナリオだった。

奥さんの尻に敷かれていたRanjitだが仕事のためだといって、妻Dollyの実家から10万ルピーをせしめてゴミ箱に隠し、それをDevがピックアップしてゆすりは成功。

Dollyの父からお金を返せといわれて困った無職のRanjitは今度はReenaをゆすり、12万ルピーを要求。Reenaは「父親の治療費」と嘘をついてDevに12万ルピー出させ、このお金がRanjitにわたるも、DevがまたRanjitをゆすったのでこのお金はまたしてもゴミ箱に置かれてDevが回収……お金はぐるぐるまわる。

このゆすりの一件を酔ったDevが同僚のAnand(プラドゥマン・シン・モール  )に話したがために、Anandが恋する新人社員Prabha (アヌージャ・サーテ) の知れるところなり、今度はPrabhaがDevをゆする。DevはRanjitをゆすり、RanjitはReenaをゆすり、ReenaはDevにお金をねだり、お金はRanjitにわたるが、Ranjitはそれをゴミ箱にかくしてDevがそれをピックアップして最後はPrabhaのもとへ。

いったい誰がこのゆすりを行っているのかを確かめようとしたRanjitが探偵の Chawla (トリパティ・ガジラジ・ラオ).を雇う。
PrabhaがさらにDevをゆするので、DevはPrabhaと対峙、議論が高じてあやまって彼女を殺めてしまったところにPrabhaの両親が現れ、Devは紙袋に穴をあけただけの仮面をつけて逃走。これに感づいたAnandはDevをゆすり、Devは紙袋の仮面をAnandの車にしのばせて罪をなすりつける。

そこへ探偵ChawlaがDevに「ゆすりの犯人はオマエだとわかっている」と電話をかけてきて口止め料を要求。かたやRanjitは犯人を殺すための銃を用意。RanjitとReenaが一緒にいるところを発見したDollyがRanjitを殺そうとするが、あやまってRanjitがDollyを殺めてしまい死体を冷蔵庫に隠す。

Chawlaに要求されたお金のためにDevはRanjitをゆすり、 RanjitはReenaにお金の工面を頼む。ReenaはDevに父親の手術代だと嘘をついてお金をもらったが、DevがReenaの両親に電話をしたことによってこの嘘がバレる。Reenaは装飾品を売ってお金をつくり、それをゴミ箱に隠す。Devはこのお金をとりに行きつつ、Ranjitが持って行くところを写真におさめてReenaに送った。ReenaはRanjitの携帯番号を削除。
Chawlaにお金を渡した時にDevが頼んだように、ChawlaはRanjitに「犯人はAnandだ」と言い、 Ranjit はAnandを殺す。Dollyの両親がRanjitが娘を殺害したことに気づき、警察に通報。

「いつ帰ってくる?」
夕食を作ってDevの帰りを待つReenaからのメッセージを見たDevは、Reenaの連絡先をスマホからデリート……

 

 小僧的視点:

筋書きのよくできたブラックコメディーだが、ちょっとスラップスティックすぎるきらいも。コメディーならコメディーらしくもっとバカバカしくて、ゲラゲラ笑えるのが個人的には好みなのだ。

Irrfan Khanは今年(2018年)封切られる(予定も含む)「Hindi Medium」、「Qarib Qarib Singlle」、「Karwan」、「Hindi Medium Sequel」、そしてこの映画と5本に出演しているというのに、撮影中はそんな素振りを一切見せなかったとのことだが、どうやら病気なのらしい。
脳腫瘍なんじゃないか? とか アーユルベーダーで治そうとしているらしいだの、あっちこっちで未確認情報が飛び交っていたが、実際は神経内分泌腫瘍という希少がんで現在はイギリスにて治療中だ。

さて、この映画を観終わって「どの役がいちばん印象に残ったか」と考えるに、まず思い浮かぶのがコイツだ。

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そう! お金の受け渡し場所として幾度も出て来る、ペンギン型ゴミ箱。

以前、観光地で普通に写真を撮ろうと思うと角っこになぜかでばってくる、このアホ面のペンギンに相当手を焼いた話を書いた。

 

boken.hatenablog.com

コイツ、コイツが画面に大写しになるだけで個人的に可笑しくてしょうがない不思議である。
コメディ映画としては、大変良いキャラに目をつけたと思う。

 

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ゆすりの犯人がペンギン抱えてウロウロしている……この絵だけで、腹を抱えて笑いたくなる。

調べてみると、どうもインドではペンギン型ゴミ箱がデフォルトのようなのだ。 

世界一おもしろいゴミ箱がある大学寺院(1歳9か月とインド旅 - 3歳と、世界一周ふたり旅^^ハワイ南米北欧中東アジア5ヶ月

こども

 

バラナシの大学構内のアイツで、ウッタル・プラデーシュ州はどうやらラクナウと同じアホ面系一族で統一されているんじゃないかと思われる。

 

インドはゴミ箱が面白い!!【ティラキタラクダ通信 4月9日号】 | インド大好き!ティラキタブロ グインド大好き!ティラキタブロ グ

この二つは南インドのチェンナイで捕獲。変なペンギン達です。カラフルな方はちょっと愛嬌がありますね。でも、性格がちょっとゆがんでいるような目つきです。もう一方のペンギンさんは…ああ、もうあの世に解脱されています。ありがたやーー

 

インドのゴミ箱コレクション - Luntaの小さい旅、大きい旅


 チェンナイ駅構内のペンギン 

チェンナイのマドラスペンギンはどれも目が細くて吊り上がっていて、ちょっとスリラー映画向きか。

インド的ゴミ事情:ゴミ箱(だけ)はかわいい ( アジア ) - マハラニの雑記 Notebook of Indian wife - Yahoo!ブログ

 

カボン公園(Cubbon Park)にはペンギン型の空き缶専用ゴミ箱がありました。



イメージ 2

 

バンガロールとあるので、これはカルナタカ州のアイツ。

 

インドのゴミ箱コレクション - Luntaの小さい旅、大きい旅
 ラダック、レーのペンギン

これはジャンムー・カシミール州のレーで目撃されているアイツ。切れ長の目でフレンドリーな感じではあるが、ちょとだけウッタル・プラデーシュ州アホ面一族臭がする。

レーといえばチベット族が多く、住んでいる人々はどちらかというと目は細いはずなのにペンギンの目は相当デカイ。
「目が大きくてまつげが長い人が多い」と以前、ガイドさんから教えてもらったことがあるマドラスは目の細いアイツ。カルナタカ州は行ったことがなく、友達も出身者がいないのでその地の人たちの顔つきがよくわからない。
もしかしてインドのアイツはその地に住む人たちとは正反対の顔つきなのではないだろうか? 
こんな仮説を立ててみるに、ウッタル・プラデーシュ州の人たちはまん丸おおめめではなくて、切れ長でないといけないことになるが……どうだろう?

なぜ、そもそもペンギンなのかということも含め、いまだナゾである。

 

 

この映画が観られるサイト: 

https://einthusan.tv/movie/watch/63ET/?lang=hindi

Raid

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ヒンディー映画「Raid」(2018)

配役:

Amay Patnaik役:Ajay Devgan
Malini Patnaik役:Ileana D'Cruz 
Rameshwar "Rajaji(王様)" Singh役:Saurabh Shukla 
Rameshwarの母親Amma Ji役:Pushpa Joshi

ネタバレしない程度のあらすじ:

1981年国税庁長官代理としてウッタル・プラデーシュ州のラクナウに赴任してきたAmay Patnaik (アジェイ・ディーブガン)は妻の Malini(イリアナ・デクルーズ)と幸せに暮らしていた。
ある日のこと、地元(Sitagarh)の名士で議員でもあるRameshwar Singh(サウラブ・シュクラ)の不正所得と所得隠しに関するタレコミがあり、 Amayとチームのメンバーは映画のタイトルのごとく”ガサ入れ”にのりだす。10月9日のことだった。
敵意丸出しのRameshwarの家族をよそに、Amayは粛々と誠意をもった態度で調査を進める。部屋はもちろんのこと家畜小屋から井戸さらい……家の隅々まで探したものの不正所得らしきものは見当たらない。数時間後、最後となった家族の寺院(お祈りスペース)を調査しても何もみつからず、諦めかけたAmayのもとにお金の隠し場所を記した家の見取り図を誰かが差し入れる。この地図をもとに彼らは壁や天井、階段を壊したところ、Rameshwarの金塊や札束などの隠し財産がザクザク出てきた。

「こんなところに誰が金を隠した?」
などとすっとぼけるRameshwarは負けを認めず、Amayをなんとか立ち去らせようとウッタル・プラデーシュ州の責任者に働きかけるも、国税庁中央政府の管轄であるし、ガサ入れは合法なので助けられないと断られる。Rameshwarは中央政府経済企画庁長官に働きかけ、ガサ入れを中止するようにAmayに電話を入れさせるも拒否される。がっかりしたRameshwarは何人もの政治家にかけあい、果てはインドの首相にまで頼み込む。ガサ入れ三日目、インディラ・ガンジー首相がAmayに電話をし、他の法的処置を施すようにと示唆。Amayは同意するも、ガサ入れを止めるようにという旨を記した首相のサイン入り文書をファックスで送ってくれればという条件を出す。そんな書類を理由もなく首相が出せるわけもないので、結果的には首相の要求をかわしたことになる。インディラ・ガンジー首相はAmayの勇気と知性に感じ入り、逆にRameshwarを退けた。
思うようにならずイライラしたRameshwarは手下にMaliniを襲わせ、村の取り巻き達を焚き付けてAmayとそのメンバー達を襲撃させる。
さて、正義は悪にやられてしまうのか?

小僧的視点:

この映画は事実に基づいた話であり、テーマとなっているのは自分の決めたことや社会のルールを守る、かたくなに貫き通すということ。良くいえば知り合いさえいればとてもフレキシブルであり、悪くいえば賄賂と袖の下にまみれているインドならではのトピック選びなのかもしれない。

ガサ入れの場面で、とても印象的だったのがRameshwarの家のお祈りスペースの捜査をするところ。インドの寺院は基本は中に入る時は裸足なので、神様に敬意を示すため、もしくは習慣的に靴を脱いではだしになったあたりまでは理解できたのだが、ベルトを取り、財布などもすべてとりのぞいて手前のソファーに置いてから捜査を始めていた。結果、くだんの見取り図がAmayの財布に差し込まれるという展開になるのだが、インドのガサ入れではみんなこんな風に捜査官は全員靴を脱いで寺院に入っているのだろうか?
今までいくつもインドのお寺には行っているけれど、携帯がダメだから預けろと言われるところはいくつかあったけれど、ベルトをはずせだの財布よこせだの言われたことは一度もない。とういか、財布なんか預けた日には確実に消えてしまう……。

序盤でサンダル履きで来たためクラブに入れず招待した相手が自分の店から靴を持ってきてくれたら賄賂になるからとお金を払ったり、お酒をご馳走してくれようとしたのに持参のラムの小瓶からグラスに注いで飲んでみたりと……その清廉潔白さ、かたくなさが表現されていたのでそれがゆえなのだとは思う。

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AmayもMaliniも設定はシーク教徒っぽかったが、シークのお寺でもベルトと財布は預けないし……いまだにココがよくわからない。

さて、役者と役どころ。
 「Parched(2015)」ではプロデューサーもこなしたAjay Devganが演じるAmayは、ともかくどんな時も冷静で感情をコントロールする。
もともとテルグ映画の女優さんだった相手役のIleana D'Cruzは「Barfi!(2012)」でヒンディー映画デビューを果たした後はヒンディ映画に出続けていて、最近では「Baadshaho(2017)」でもAjay Devganの相手役だった。前回の王女の毅然とした感じとは違い、今回はガサ入れ先に手弁当で来てしまうあたり無邪気でキュートだ。
悪役のSaurabh Shuklaは「PK(2014)」のナマ臭教祖のイメージが強すぎるのか、まったく3回も当選している政治家っぽく思えず。田舎のゴロツキ達を操るドンに見えてしまう。

この映画で好きだった役どころは他の誰でもない、ボケているようでいてちっともボケていないチャーミングなAmma Ji(プシュパ・ジョーシ)だ。

ラクナウ出身のプシュパ・ジョーシはこの映画でボリウッドデビュー、85歳でのボリウッドデビューは最年長だ。



見取り図をAmayからひったくるあの機敏な動きは、とても85歳とは思えない。ユーモアのセンスにも溢れていて、撮影現場でも相当な人気者だったらしい。
Ajay Devganの奥さんで女優のKajolは、Instagramで彼女のことを「みんなおうちに連れて帰りたくなる」と言っているくらいだ。

 

 

Here comes Amma... you will want to take her home. #Raid

Kajol Devganさん(@kajol)がシェアした投稿 -

彼女のキャラを堪能できるだけでも、この映画には価値がある。 (←そこまで言うか!)

 

 

ロケ地
 Residency (Lucknow, UP)

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 激戦地でラブラブは今や、ラクナウの流行りである。夕方になるとあっちでも、こっちでもチュッチュしているが、警察に捕まるので注意が必要(←って誰に言ってるんだ?)

 

ロケ地
 Rumi Gate (Lucknow, UP)

 

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こちら側は朝だと逆光、午後だとフラットな感じだがクリアな写真が撮れる。
ちょうど朝日が昇ってくる時間、ダルワザ(ゲート)が光を遮っていい感じだ。 

ロケ地
Raebareli (Uttar Pradesh)

 ラクナウの東南82km、サイ川のほとりにある町


 

 

この映画が観られるサイト:

 https://einthusan.tv/movie/watch/2aa7/?lang=hindi#