ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

Raid

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ヒンディー映画「Raid」(2018)

配役:

Amay Patnaik役:Ajay Devgan
Malini Patnaik役:Ileana D'Cruz 
Rameshwar "Rajaji(王様)" Singh役:Saurabh Shukla 
Rameshwarの母親Amma Ji役:Pushpa Joshi

ネタバレしない程度のあらすじ:

1981年国税庁長官代理としてウッタル・プラデーシュ州のラクナウに赴任してきたAmay Patnaik (アジェイ・ディーブガン)は妻の Malini(イリアナ・デクルーズ)と幸せに暮らしていた。
ある日のこと、地元(Sitagarh)の名士で議員でもあるRameshwar Singh(サウラブ・シュクラ)の不正所得と所得隠しに関するタレコミがあり、 Amayとチームのメンバーは映画のタイトルのごとく”ガサ入れ”にのりだす。10月9日のことだった。
敵意丸出しのRameshwarの家族をよそに、Amayは粛々と誠意をもった態度で調査を進める。部屋はもちろんのこと家畜小屋から井戸さらい……家の隅々まで探したものの不正所得らしきものは見当たらない。数時間後、最後となった家族の寺院(お祈りスペース)を調査しても何もみつからず、諦めかけたAmayのもとにお金の隠し場所を記した家の見取り図を誰かが差し入れる。この地図をもとに彼らは壁や天井、階段を壊したところ、Rameshwarの金塊や札束などの隠し財産がザクザク出てきた。

「こんなところに誰が金を隠した?」
などとすっとぼけるRameshwarは負けを認めず、Amayをなんとか立ち去らせようとウッタル・プラデーシュ州の責任者に働きかけるも、国税庁中央政府の管轄であるし、ガサ入れは合法なので助けられないと断られる。Rameshwarは中央政府経済企画庁長官に働きかけ、ガサ入れを中止するようにAmayに電話を入れさせるも拒否される。がっかりしたRameshwarは何人もの政治家にかけあい、果てはインドの首相にまで頼み込む。ガサ入れ三日目、インディラ・ガンジー首相がAmayに電話をし、他の法的処置を施すようにと示唆。Amayは同意するも、ガサ入れを止めるようにという旨を記した首相のサイン入り文書をファックスで送ってくれればという条件を出す。そんな書類を理由もなく首相が出せるわけもないので、結果的には首相の要求をかわしたことになる。インディラ・ガンジー首相はAmayの勇気と知性に感じ入り、逆にRameshwarを退けた。
思うようにならずイライラしたRameshwarは手下にMaliniを襲わせ、村の取り巻き達を焚き付けてAmayとそのメンバー達を襲撃させる。
さて、正義は悪にやられてしまうのか?

小僧的視点:

この映画は事実に基づいた話であり、テーマとなっているのは自分の決めたことや社会のルールを守る、かたくなに貫き通すということ。良くいえば知り合いさえいればとてもフレキシブルであり、悪くいえば賄賂と袖の下にまみれているインドならではのトピック選びなのかもしれない。

ガサ入れの場面で、とても印象的だったのがRameshwarの家のお祈りスペースの捜査をするところ。インドの寺院は基本は中に入る時は裸足なので、神様に敬意を示すため、もしくは習慣的に靴を脱いではだしになったあたりまでは理解できたのだが、ベルトを取り、財布などもすべてとりのぞいて手前のソファーに置いてから捜査を始めていた。結果、くだんの見取り図がAmayの財布に差し込まれるという展開になるのだが、インドのガサ入れではみんなこんな風に捜査官は全員靴を脱いで寺院に入っているのだろうか?
今までいくつもインドのお寺には行っているけれど、携帯がダメだから預けろと言われるところはいくつかあったけれど、ベルトをはずせだの財布よこせだの言われたことは一度もない。とういか、財布なんか預けた日には確実に消えてしまう……。

序盤でサンダル履きで来たためクラブに入れず招待した相手が自分の店から靴を持ってきてくれたら賄賂になるからとお金を払ったり、お酒をご馳走してくれようとしたのに持参のラムの小瓶からグラスに注いで飲んでみたりと……その清廉潔白さ、かたくなさが表現されていたのでそれがゆえなのだとは思う。

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AmayもMaliniも設定はシーク教徒っぽかったが、シークのお寺でもベルトと財布は預けないし……いまだにココがよくわからない。

さて、役者と役どころ。
 「Parched(2015)」ではプロデューサーもこなしたAjay Devganが演じるAmayは、ともかくどんな時も冷静で感情をコントロールする。
もともとテルグ映画の女優さんだった相手役のIleana D'Cruzは「Barfi!(2012)」でヒンディー映画デビューを果たした後はヒンディ映画に出続けていて、最近では「Baadshaho(2017)」でもAjay Devganの相手役だった。前回の王女の毅然とした感じとは違い、今回はガサ入れ先に手弁当で来てしまうあたり無邪気でキュートだ。
悪役のSaurabh Shuklaは「PK(2014)」のナマ臭教祖のイメージが強すぎるのか、まったく3回も当選している政治家っぽく思えず。田舎のゴロツキ達を操るドンに見えてしまう。

この映画で好きだった役どころは他の誰でもない、ボケているようでいてちっともボケていないチャーミングなAmma Ji(プシュパ・ジョーシ)だ。

ラクナウ出身のプシュパ・ジョーシはこの映画でボリウッドデビュー、85歳でのボリウッドデビューは最年長だ。



見取り図をAmayからひったくるあの機敏な動きは、とても85歳とは思えない。ユーモアのセンスにも溢れていて、撮影現場でも相当な人気者だったらしい。
Ajay Devganの奥さんで女優のKajolは、Instagramで彼女のことを「みんなおうちに連れて帰りたくなる」と言っているくらいだ。

 

 

Here comes Amma... you will want to take her home. #Raid

Kajol Devganさん(@kajol)がシェアした投稿 -

彼女のキャラを堪能できるだけでも、この映画には価値がある。 (←そこまで言うか!)

 

 

ロケ地
 Residency (Lucknow, UP)

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 激戦地でラブラブは今や、ラクナウの流行りである。夕方になるとあっちでも、こっちでもチュッチュしているが、警察に捕まるので注意が必要(←って誰に言ってるんだ?)

 

ロケ地
 Rumi Gate (Lucknow, UP)

 

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こちら側は朝だと逆光、午後だとフラットな感じだがクリアな写真が撮れる。
ちょうど朝日が昇ってくる時間、ダルワザ(ゲート)が光を遮っていい感じだ。 

ロケ地
Raebareli (Uttar Pradesh)

 ラクナウの東南82km、サイ川のほとりにある町


 

 

この映画が観られるサイト:

 https://einthusan.tv/movie/watch/2aa7/?lang=hindi#