ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

Simmba

ヒンディー映画「Simmba」(2018)

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配役:

"Simmba"ことSangram  Bhalerao署長:Ranveer Singh
Doorvva Yashwanth Ranade役:Sonu Sood  
Shagun Sathe役:Sara Ali Khan
Nityanand Mohile本部長役:Ashutosh Rana
Santosh Tawade役:Siddhartha Jadhav
Aakruti Dave役:Vaidehi Parshurami
Nandini Mohile役:Ulka Gupta
Mrs. Mohile役:Suchita Bandekar
Mrs. Iyer役:Sulbha Arya
裁判官Smita Parulkar役:Ashwini Kalsekar
Aakrutiの友人Kavya役:Neha Mahajan
Aakrutiの父親役:Nandu Madhav
Durvaの妻Varsha Ranade役:Shri Swara Dubey
Durvaの母親Bharti Ranade'役:Sarita Joshi
Durvaの弟 "Giri”ことGaurav Ranade役:Saurabh Gokhale
Durvaの弟"Sada"ことSadashiv Ranade役:Amrit Singh
News Reporter役:Puja Agarwal
Alok Borkar役:Vijay Patkar
弁護士Joshi役:Ashok Samartha
弁護士Savalkar役:Ganesh Yadav
Vaman Rao役:Arun Nalawade
総務大臣Vinayak Dutta役:Uday Tikekar
Corporator David Cameron役:Vipin Sharma
Chotu役:Sahil Joshi
Shagunの友人Dheeraj役:Ravjeet Singh
Shagunの友人仕出し屋で働くPoornima役:Ronjini Chakraborty
リキシャの運転手Purab役:Anil Mange
Inspector Gauri役:Sneha James
Good Food Lady役:Aarti Kulkarni
DCP Bajirao Singham (カメオ特別出演)役:Ajay Devgn 
DCP Veer Sooryavanshi (カメオ出演)役:Akshay Kumar
Tusshar Kapoor(カメオ出演 "Aankh Marey"の曲)
Kunal Khemu (カメオ出演 "Aankh Marey"の曲)
Shreyas Talpade(カメオ出演 "Aankh Marey"の曲)
Arshad Warsi (カメオ出演 "Aankh Marey"の曲)
Karan Johar i(カメオ出演 "Aankh Marey"の曲)

 

ネタバレしない程度の適当なあらすじ:


"Simmba"ことSangram  Bhalerao(ランヴィール・シン)は、ゴアとマハーラーシュトラの州境の街Shivgadhでスリを働く孤児だった。子供の頃、権力と賄賂にまみれた警察官を見て育ち、自分も警察官になって富と権力を手にしたいと思うようになった。
必死の努力の甲斐あって夢を叶え、見事汚職にまみれた警官となったSimmbaはゴアに署長として赴任。赴任先のゴアはDoorvva Yashwanth Ranade(ソヌー・スッド)のシマで、地主の娘を誘拐するといって脅しては土地を買い叩いたり、違法薬物売買などやりたい放題をしていたが、SimmbaはDoorvvaを取り締まるどころか、賄賂のために手を貸す始末。

ある日、Simmbaが妹のように可愛がっていたAakruti Dave(ヴァイディーヒー・パルシュラミー)が、薬物売買の現場を目にしたことでDoorvvaの弟二人に強姦され、殺される。
SimmbaはAakrutiのため身を正し、正義をかけてDoorvvaに立ち向かい逮捕、裁判へと持ち込むが、Doorvvaも証人を誘拐、証拠を隠滅と汚い手を使って来てとうとう……。

小僧的視点:

SimmbaはRohit Shetty監督の「Singham(2011)」「Singham Returns(2014)」のスピンオフ映画。
Rohit Shetty監督の作品には「Bol Bachchan (2012)」や「Chennai Express (2013)」「Dilwale (2015)」などがあるが、これらの映画すべてに共通するのは「エンターテイニングなんだけれど、詰めが甘くて創りが荒い」。
この映画もそれをしっかり踏襲。
「娯楽映画です!」 と割り切ってのぞまないと、「ええーっ、それでいいの?」的正義のようでいて不正行為にモヤモヤしてしまう可能性もある。

Simmbaの恋の相手Shagun役にSara Ali Khan(サラ・アリ・カーン)が起用されているが、ほぼ同時期に撮影されていたデビュー作「Kedarnath(2018)」ほどの重きを置いた役でもなく、ダンス要員と考えるにしても


身体の軸が定まっていないので上半身はまだしも、全身が映ると「こら、下半身鍛えないとダメだ~」のフラフラ状態で「踊らせない方が良かったんじゃ?」疑惑がフツフツ。
Kedarnath」のダンスシーンでなぜ下半身フラフラが目立たなかったのだろうと思って

 

見直してみたところ、Abhishek Kapoor監督恐るべし。それを心得ていたのかSara Ali Khanのダンスシーンはほぼ上半身のみ&下半身は身体の線が出ない衣装でフラフラが目立たないように工夫されていた。
素材を煮るも焼くも、監督の腕次第だと思ったわけである。

この映画の撮影当時、Ranveer Singhは結婚直前で、独身のうちにほぼ全部を撮り終えて結婚式後にほんの少しの撮影をしたときく。この状況ではなかなかしっかりとした恋の場面は描きにくかったのかもしれないが、「Singham」シリーズではもう少し濃厚な恋愛場面があっただけにRanveerお得意の恋に恋する浮かれたシーンのみが悪いとはいわないがちょっと物足りない気分になる。

Simmbaのピンチを救うため、シリーズモノでSingham役を演じていたAjay Devgn(アジェイ・ディーヴガン)が捜査官として最後のシーンに登場。Simmba、Shinghamとも「ライオン(獅子)」という意味で、「Singham」シリーズを観たことのある人には二匹の獅子共演は相当盛り上がる場面となろう。
あとは、最後の最後にAkshay Kumarがチョロッと顔を出したり、プロデューサーのKaran Joharがダンスソングに顔を出したりしているのが娯楽映画としてのスパイスになっている。

 

Sonu Sood

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「この人見たことあるんだけど、誰だっけ?」と思ったのが、Doorvva Yashwanth Ranade役のSonu Soodだ。

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Jodhaa Akbar(2008)」ではJodhaaの兄役の王子を演じていたし、最近では「Happy New Year (2014)」や

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Kung Fu Yoga (2017)」にジャッキー・チェンとともに出ていたのですぐわかっていいはずなのだが、

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急にオジサン度が上がったようで、最後まで思い出せなかった。45歳なのでこれ普通っちゃ普通なのだろうが……肌のツヤがガクンと落ちていて人相見的には
「何があったんだろうか?」
勘ぐらずにはいられない。
 

 

ロケ地:

ほとんどがMubaiとHyderabadのRamoji Film Cityにて。

 

 

ロケ地
Switzerland

英語になおすと「Without You」となる「Tere Bin」という歌のみがSimmbaとShagunのラブシーン?なのだが、これはスイスで撮影。 
寒々しい山の風景をバックに、ヒロインが風邪引きそうな薄着で踊るという……ボリウッドの基本に忠実な造りになっている。

 

 

この映画が観られるサイト:

Simmba (2018) Hindi in HD - Einthusan

 

Kedarnath

ヒンディー映画「Kedarnath」(2018)

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配役:

Pithoo (シェルパ)の Mansoor役:Sushant Singh Rajput
"Mukku" ことMandakani Mishra役:Sara Ali Khan
Mukkuの父親Briraaj Mishra役:Nitish Bharadwaj
Mansoorの母親役:Alka Amin
Mukkuの母親Lata役: Sonali Sachdev
Mukkuの姉Brinda役:Pooja Gor
Kullu役:Nishant Dahiya
Bashir役:Mir Sarwar
Daddo役:Sunita Rajwar
住職(Chief Priest)役:Arun Bali
Hemchand役:Faiz Khan
Himalaya Tyagi役:Sharad Vyas
Tarang役:Priyadarshan
Helicopterの副操縦士役:Hitesh Bhardwaj 

 

ネタバレしない程度のあらすじ:


物語は2013年5月、ウッタルカーンド州ヒマラヤの山々に囲まれるKedarnathで幕が開く。ここにあるケダルナート寺院はヒンドゥー教の聖地で巡礼スポットだ。
谷から寺院へ巡礼客を籠やロバで連れて行くことを生業とするイスラム教徒Pithoo(ポーター/シェルパ)のMansoor(スシャント・シン・ラジプート)と巡礼客を受け入れるホステルを寺院から委託されて運営するヒンドゥー教のパンディット(お坊さん)の次女Mukku(サラ・アリ・カーン)の物語。

Mukkuは寺院の住職の甥と婚約していたが、この婚約者はもともとMukkuの姉と結婚するはずだったのが、姉より妹の方が可愛いくなったからということで乗り換えたいと言い出し、父親も承諾。
これをよしとしないMukkuは父への反抗の意味も含め、地元の男の子達に次々とちょっかいを出しては父親と婚約者を困らせるために家に来て自分にプロポーズするように仕向けていた。
ただ、Mansoorに対しては少し違った。Mukkuは隣村にある叔父の店に手伝いにいくためにMansoorを雇い、常客となる。 Mansoorの背負う籠の中から、Mansoorの引くロバの背から明るいじゃじゃ馬のMukkuは黙々と仕事をする奥手なMansoorに次から次へと話しかけ、やがて二人は恋に落ちるが異宗教の壁が立ちはだかり、二人の恋は婚約者によりコミュニティーからモスリムを排除するという機運につながっていく。

ちょうどこのころ北インド一帯に降り続いた雨のため、Kedarnathを流れるガンジス川の支流・Mandakini(マンダーキニ)川が増水、洪水の危険がしのびよっていた。Mansoorとの恋を知った父親により半ば強引にMukkuの結婚式が2013年6月15日に急遽執り行われ、その結婚式のさなかMukkuは手首を切って自殺をはかり、最初に発見した姉によって一命をとりとめるが……。
 

小僧的視点:

Mukku役のSara Ali KhanはSaif Ali Khan(サイフ・アリ・カーン)の前妻の娘で、これがデビュー作だ。
監督はSushant Singh Rajputの映画デビューとなった「Kai Po Che(2013)」でメガフォンをとったAbhishek Kapoor(アビシェーク・カプール)。「Kai Po Che(2013)」では2001年1月26日のグジャラート地震という歴史的な事実と、2002年2月27日の列車火災でヒンドゥー教の巡礼者58名の乗客が死亡したことに端を発したヒンドゥー教徒によるモスリム虐殺暴動(1000人~2,000人の命が失われたとされている)という異宗教との軋轢が背景になっていた。
今回も洪水という歴史的な事実とモスリム・ヒンドゥーの軋轢というペアであり、この監督はこういったテイストを友情や恋愛にからめるのが好きなんだろうなと思ったりする。

「Kai Po Che(2013)」でもSushantはグジャラートのひたむきでくぐもった感じの青年"Ish"ことIshaanを演じていたが、友人が誤って発した銃弾に倒れ絶命。主人公殺しの手口?も健在だ。
主人公の名前Mansoorはアラビア語勝利者の意味で”Mansur”と書くのが一般的だが、南アジアではMansoorと綴られることが多い。現地の人が名前を聞けばイッパツで「ああ、モスリムだな」とわかる仕組みになっているのだ。ただ、Sushantの顔はこれまたまったく「モスリムっぽく」なく、むしろSara Ali Khanの方がモスリム・パンジャビ顔のため、私にとってはどうしても違和感が残る。

ヘリコプターのシーンといい、最後のMukkuが未亡人の着る白い服を身にまとって、ラジオからMansoorに贈る歌が流れて来るところなど涙を禁じ得ないのであるが、そのあと流れる二人の心が溶け合った友達の結婚式の場面での歌「Sweetheart」が余計に悲しみを掘り下げて来るという演出。


Kedarnathの風景は素敵で「ウッタルカーンド、いつかは行ってみないとな」と旅心を刺激する作品でもある。
ただ、6000人もの命が失われて5年程度しか経っていないということは、いかに聖地といえども霊媒体質の人にはまだキツイかもしれない。(←なんのこっちゃ?)

チャイをめぐるやりとりの場面が印象的。

 

この映画を観ながら考えたことは「役目」について。
映画は2013年5月から6月の半ばまでのたった1ヶ月あまりのことが描かれている。この間に二人はめぐり逢い、恋に落ち、文字通り二つの世界へと引き裂かれる。なぜ二人は知り合ってしまったのか? MansoorはMukkuを救う「役目」を持ってこの世にやってきたのであり、その仕事が遂げられたので次の仕事を与えられるべくヘリコプターは「重量オーバー」であったのだろう。
人はみな「役目」を背負ってこの世にやってきている。
何度も死にかけ、何度も命を落としそうになってもまだこうして生息している自分のことを思うと
「いったい、何の役目がまだ済んでいないのだろう?」
はからずも考えさせられてしまうのであった。 

 

ロケ地:

ほぼ、ウッタルカーンド州にて。 

 

ロケ地
 Gaurikund (Uttarakhand)

標高1982mヒンドゥー教の巡礼スポット。村には温泉がわいていて、神さまに捧げられる緑色の池がある。

youtu.be

 

 

ロケ地
Ramgada (Rudraptayag, Uttarakhand)

 冒頭、Mansoorが巡礼客をお寺まで連れて行くシーンで。

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ロケ地
 Rinchauli (Rudraptayag, Uttarakhand)

 冒頭、Mansoorが巡礼客をお寺まで連れて行くシーンで。

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ロケ地
 Old Trek Route - Kedarnath (Rudraptayag, Uttarakhand)

冒頭、Mansoorが巡礼客をお寺まで連れて行くシーンで。

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ロケ地
Kedarnath Temple (Rudraptayag, Uttarakhand)

 冒頭、Mansoorが巡礼客をお寺まで連れて行くシーン、その後もコミュニティ会議、洪水の場面などでも出て来る。

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ロケ地
Chopta Village (Rudraptayag, Uttarakhand)

 「ミニ・スイス」と呼ばれる村で標高は2700m、常客となったMukkuとMansoorのやりとりのシーンで。 


 

この映画が観られるサイト:

Kedarnath (2018) Hindi in HD - Einthusan 

 

ZERO

ヒンディー映画「ZERO」(2018)

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配役:

小人のBauua Singh役:Shah Rukh Khan
脳性麻痺の科学者Aafia Yusufzai Bhinder役:Anushka Sharma
アル中のボリウッド女優Babita Kumari役:Katrina Kaif
Guddu Singh役:Mohammed Zeeshan Ayyub 
Bauuaの父親Ashok Singh役:Tigmanshu Dhulia
Bauuaの母親Beena Singh役:Sheeba Chaddha
結婚相談所のPandey役:Brijendra Kala
Babitaの恋愛相手Aditya Kapoor役:Abhay Deol
Aafia'の婚約者Srinivasan役:R. Madhavan

 

ネタバレしない程度のあやふやなあらすじ:

 

Uttar Pradesh州Meerut(メーラト)に住む、身長が3フィートほどしかない小人のBauua(シャー・ルク・カーン)は38歳だが、父親が成功したビジネスマンで家が裕福なのをいいことにろくに仕事もせず、親友のGuddu(モハンマド・ズィーシャン・アユーブ)と遊び暮らしている。
そんなBauuaは現在結婚相手を探しており、結婚相談所のPandeyに無理やり紹介させたAafia(アヌシュカー・シャルマー)に会うために講演先の学校に出向く。
Aafiaはアメリカ科学宇宙局で働く科学者だが、脳性麻痺のため手がふるえており、発声にも癖があり、足は不自由で車いすを使っていた。
最初、そんな彼女に戸惑うBauuaだったが、Aafiaに共通点を見出し徐々に惹かれていき、とうとう結婚することに。

ところが、昔からBauuaが熱烈なファンであるボリウッド女優Babita Kumari(カトリーナ・カイフ)が酔っぱらってBauuaにキスをしたところから、歯車が狂いだす。
AafiaととBabitaの間で揺れるBauuaが選んだのはどっち?

 

小僧的視点:

これほど入り込めなかった映画も珍しい。


Bauuaを小人として見せるためのいわゆる特撮技術が売りだというのであれば、
「ああ、そうなんですね」
だが、予算32億円をかけるほど幻想的かといえば中途半端に思える。
確かに、ダブルKhanを並べてここまで高低差があるのは、人によっては面白く観られるかもしれない。


単なるコメディー映画としてとらえるならばいいけれど、Shah Rukh Khan、Anushka Sharma、Katrina Kaifといった豪華顔ぶれを配するほどの娯楽性も感じられなければ、関係性と人柄の描き方や掘り下げが明確でないがために、メッセージもきちんと届かない。
本が悪いのか構成がイマイチなのか……。

そもそも主人公Bauuaが「お金がない」の時の織田裕二のごとく、イケてないのである。宇宙飛行士の訓練中も、火星に行く時も帰ってきた時も
「やっぱりShah Rukh Khanだね、カッコイイ!」
という瞬間が皆無なのだ。これは演出が悪い。

そして、これは私個人の問題なので映画が責められるところではないのだけれど、私は人の顔を見ると「ああ、この人はモスリムだな」とか「この人はユダヤ人だ」ということがだいたいわかるのだ。Aafia役のAnushka Sharmaはまんまなので違和感がないのだけれど、Bauua Singhはどこからどう見てもシークにもヒンドゥーにも見えないどころか「まさしくモスリム顔」であって、しっくり来ないことおびただしいのだ。

最近では「Welcome To New York (2018)」や古くは「Om Shanti Om(2007)」並みにボリウッドスター達がカメオ出演をしていて、Srideviに至ってはこれが遺作で大変気の毒に思ったような具合であった。

ただ、この歌はファンタジーとして楽しめる。

 


ロケ地:

アメリカ、インドでは、ほとんどがムンバイ近郊とFilm Cityのセットにて。Meerutが舞台になっているが、Meerutで撮影はされておらず、Meerut出身の役者を「雰囲気を出すために」セットに配したという。

 

ロケ地
Chanta Ghar (Meerut district Uttar Pradesh)

Bauuaの住む街として。

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ロケ地
Mall3 ( Khandivali, Mumbai, Maharashtra)

Babitaが酔っぱらいながら観客の前に姿を現すシーンで。

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ロケ地
47th street ( Manhattan, NY, USA)

Bauuaがアメリカに行くシーンで。

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ロケ地
Hindu Culture Center of North Alabama ( Arabama, USA)

Aafiaの結婚式のシーンで。ここは1階部分がコミュニティセンターになっていて、上部はお寺、お祈りのスペースになっている。

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この映画が観られるサイト:

Zero (2018) Hindi in HD - Einthusan

 

Manmarziyaan

ヒンディー映画「Manmarziyaan」(2018)

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配役:

Robbie Bhatia役:Abhishek Bachchan
Rumi Bagga役:Taapsee Pannu
Vicky Sandhu役:Vicky Kaushal
Samar役:Abdul Quadir Amin
Kiran役:Ashnoor Kaur
Rumiの叔母役:Vishavpreet kaur
Kakaji役:Saurabh Sachdeva
Robbieの兄弟役:Vikram Kochhar  
Rumiの祖父役:Arun Bali 
Robbieの母親役:Neelu Kohli  
Robbieの父親役:Swairaj Sandhu
Lovely Singh役:Sukhmani Sadana
弁護士Bhalla役:Rajinder Singh
Keerat役:Jasmine Bajwa 
Babloo役:Arshpreet Singh
Rumiの叔父役:Akshay Arora 
Raja役:Gaurav Amlani 

 

ネタバレしない程度のあらすじ:

 


舞台はPunjab。Rumi(タープスィー・パンヌー)はパートタイムでDJの仕事をするVicky(ヴィッキー・コーシャル)と厳格な家族の目を盗んで恋愛中だったが、ある日とうとう現場を押さえられてしまう。家族はRumiにVickyと「ちゃんとするよう」に勧め、Rumiは家族のプレッシャーから結婚に気乗りのしないVickyに迫り、Rumiの家族に会いに来るように伝える。もしVickyが現れなければ家族が決めた人と結婚するとRumiは家族と約束をかわすが、Vickyは約束をすっぽかす。

ついにRumiはロンドンの銀行で働いているRobbie(アビシェーク・バッチャン)と見合いをする。RobbieはRumiに恋人がいることを知りながらも、Rumiを気に入って結婚をすることに。ところが結婚式の前夜、Vickyが家に現れてRumiに許しを乞い二人は駆け落ちの約束をし、RumiはRobbieに明日グルドワラには行かないと伝えるのだが一転結婚式は無事に行われる。
カシミールへハネムーンに出かけた二人は予定より早く戻ってきて家族を心配させるも、アムリトサルでRobbieと新婚生活を過ごすRumiにまたしてもVickyが復縁をせまり、ごちゃごちゃごちゃごちゃ。

 

小僧的視点:

もともとVicky役はAyushmann Khurrana、Robbie役はDulquer Salmaanの予定だったのだが、それぞれ役者から断られて今回のキャストになった。オリジナルキャストだったら、随分雰囲気も違っただろうにと思わなくもない。
Rumiの心がぐらぐらしてVickyとRobbieの間を行ったり来たりする、その心模様が描かれているのだが、これはインド映画なのである。RumiとRobbieはしぶしぶでも、イヤイヤでも、法律的には何の効力もなくてもグルドワラ(シーク教の寺院)で結婚の誓いを立てているので、「結婚最強」インド社会の基礎の基礎にもとずき結末は決まっている。観ているうちに「Hum Dil De Chuke Sanam(1999)」という映画をふと思い出したのだけれど、20年経っても鉄の法則は相変わらず鉄板で何も変わっていない。この「結婚最強」の法則が崩れ「え?」とポッカーンする時こそが、インド映画の新しい時代なのかもしれない。
そんなことよりも「世界一氣がいい!」と言いはっているアムリトサルの町が舞台になっているだけあって、結構なボリュームでパンジャビ語が入っている。私のように英語のサブタイトルで観ている分にはいいけれど、慣れていないでヒンディー語のみで観ていたらわかりずらい場面も多いのではないだろうか。
個人的にはRobbieの「坊さんっぽい」キャラクターに惹かれ、Abhishek Bachchanのターバン姿にうっとりしつつ、パンジャビらしいRumiのじゃじゃ馬っぷりに胸がすく。

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離婚後のこのシーンが大好きだ

 

Vicky Kaushal

Rumiの恋愛相手のチャラいDJ男Vickyを演じていたVicky Kaushalは、「Raazi 」でAlia Bhattの夫役だった役者さんだ。

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パキスタンの軍人さんだと思ってみると柔らかめな印象があったので今回の役もまぁ、こんな感じかと思わなくもなかった。

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でも、「Sanju(2018)」でSanjay Duttの親友Kamleshを演じていたあの人。

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「Sanju(2018)」のKamlesh

となると、「あの垢ぬけない、サエないKamliがこうなっちゃうのか!」とただただ驚くのである。
役者というのはどんな役でもピタリとハマって演じ切らなければつとまらないものだとはわかっているけれど、この落差は笑えるレヴェル。
この映画を観る前にまず「Sanju」を観ておいた方が倍楽しめる(のか?)

 ただし、身体のキレがないので、ダンス向きではない。運動神経の鈍さといい、どちらかというと本人はKamlesh寄りであることがこの動画からもよくわかる。


 

ロケ地:

 Punjab州、Kashmir州、Delihなどにて。

 

ロケ地
Sri Harmandir Sahib  = Golden Temple (Punjab)

シーク教大本山である黄金寺院。
RobbieとRumiの結婚式のシーンはここで。

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今回Robbieを「いつもじゃないけどたまにターバンをする」シーク教徒として描くにあたり、監督はシーク教の賢人たちにかなりお伺いを立てながら脚本を組み立てた。
たとえば結婚式の前夜、Rumiから「明日グルドワラには行かない」と言い放たれ、落胆したRobbieが煙草を吸うシーンがあった。

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このシーンの前に、わざわざターバンをとって弟に渡すシーンが撮られている。

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こういったこともシーク教徒としてターバンを巻いたまま喫煙はNGという賢者のアドヴァイスに従った結果であるようだ。
結婚式のシーンにしても寺院から本堂に向かって歩く場面と

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Matthā ṭekṇā (パンジャビ語で「額からのおじぎ」の意味)のみにとどめられているのも、アドヴァイスを取り入れて従った結果なのだという。 

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それでも各地のシークコミュニティーからは上映禁止のプロテストを受けていたようだ。

参考記事:

Manmarziyaan Controversy: Director Anurag Kashyap Seeks Apology To Sikh Community - Social Post English | DailyHunt


 

ロケ地
Thajiwas glacier (Kashmir)

 新婚旅行のシーンは、ジャンムー・カシミール最高裁によって車両侵入が禁じられている区域にて撮影された。



参考記事:

Manmarziyan team issued notice by J&K Tourism Board for shooting in 'ecologically sensitive zone'- Entertainment News, Firstpost

 

 

 

この映画が観られるサイト:

Manmarziyaan (2018) Hindi in HD - Einthusan

 

Sui Dhaaga: Made In India

ヒンディー映画「Sui Dhaaga: Made In India」(2018)

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配役:

仕立屋Mauji役:Varun Dhawan 
Maujiの妻Mamta役:Anushka Sharma
Maujiの父親役:Raghubir Yadav as 
Maujiの母親役:Yamini Dass
Mauji'の弟Jugnu役: Sawan Tank
Jugnuの妻Kumud役:Manukriti Pahwa
Guddu役:Namit Das
Harleen Bedi役:Puja Sarup
Yogesh役:Mahesh Sharma
Palte Ram役:Shrikant Verma
Bansal役:Sidharth Bhardwaj
Prashant役:Ashish Verma 
Naushad役:Bhupesh Singh 

 

youtu.be

 

ネタバレしない程度のあらすじ:

 


北インドの町に暮らすMauji(ヴァルン・ダワン)は仕立屋としてのビジネスに失敗した祖父から受け継いだ才能がありながらも、その腕は家族の破れた服を近所の人から借りたミシンで直す程度にしか生かすことが出来ず、町のミシン屋で雑用係としてこき使われている。公務員を退職したMaujiの父の家に同居する妻のMamta(アヌシュカー・シャルマー)は限られたスペースのうえに、家事に翻弄されておりMaujiと二人の時間を持つ余裕などなかった。

ある日、ミシン屋の主の弟の結婚式に家族とともに出席したMaujiが、結婚式会場で犬の真似をさせられるという屈辱的な扱いをされるところを目撃し、心を痛めたMamtaは
「給料が少なくてもいいから別の仕事を」
とMaujiに頼む。
これがきっかけになって路傍で仕立屋をはじめたMaujiは、心臓手術のために母親が入院した病院にてMamtaの機転により15枚の入院患者用着衣の注文を得るも、借りていたミシンを隣人が貸してくれなくなってピンチに!
どうしてもミシンを手に入れる必要に迫られた二人は、起業に必要な資財を無料または格安で提供してくれる政府の起業支援プログラムがあると聞き、国境近くまで自転車で向かってようやくミシンを手に入れる。
てた先がちょっとわかりにくいかもしれません。これはほかに起業の資金を低利で融資する政策もあります。ただし、作品で描かれた審査(実技試験)会場のカオスぶりは非常にリアルです。
ところが病院から「病院内での商売禁止」を言い渡され、あげく法外な医療費を請求されたMaujiはMamtaとともに仕方なく被服工場に就職、なぜかミシンも取り上げられてしまう。それでも企業の夢を捨てられないMaujiは親の反対も押し切って工場を辞め、Mamtaをデザイナーとしてコンテストに参加することに。
さて、結果はいかに?

小僧的視点:

「そうかー、監督じゃなくてプロデューサーだものね」
毎度同じことを思うのである。
なんのことかといえば、Maneesh Sharma。
彼が監督した作品は今までに4つ。「Band Baaja Baaraat」「 Ladies vs Ricky Bahl 」「Shuddh desi Romance」「Fan」とあるが、このうちFan以外はお気に入りの映画なのである。なので、今回も「Maneesh Sharmaか! ドキドキわくわく」で臨んでしまったがために、大変ほんわかした良い作品なのにもかかわらず
「うん、そうなんだけどね。何か違う」
になってしまった。「Band Baaja Baaraat」「 Ladies vs Ricky Bahl 」「Shuddh desi Romance」のようなスピード感がないのだと思うが、監督が 「Dum Laga Ke Haisha」のSharat Katariyaなのだから、そこをグチグチ言ってもはじまらない。(←でも、言ってる)

 

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題名の「Sui Dhaaga」Suiは針、Dhaagaは糸の意味。仕立屋の話だからというだけでなく、見合い結婚でうまく距離を縮められなかった二人が針と糸で絆を紡ぎ、本当の意味での夫婦になっていく物語の題名としては秀逸。
好きだったシーンは二つ。
路傍の仕立屋開業初日、お弁当を届けに来たMamtaがMaujiと一緒にご飯を食べて
「結婚してはじめてあなたと一緒に食事をした」
といって泣き出すシーン。隠れ(←別に隠れる必要はないのだが)Anushuka好きとしては涙と一緒に泣き笑い顔でロティを飲み込む演技に引き込まれる。普段「あまり好きくない」と公言してはばからないMauji役のVarunではあるが、この時の表情はなかなか良かったと言わざるを得ない。

October」からこちら、少しオッサン臭くなったVarun Dhawanは私に「好きくない」と言わしめる軽薄で無責任な役どころから離れられたということなのかもしれない。

 

もうひとつは二人がコンテスト予選会場から帰る際に、”はじめて”手を繋ぐ場面。

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クスリと笑ったシーンは コンテスト予選の場面で審査員がブランド名を
「Made In Indiaか? それとも「Mad In Indiaか?」と訊ね
「インド製という意味のMad In Indiaです」
Mamtaが答えたシーン。
「Super Hero」が「スッパル・ヒーロー」と発音されるがごとく、書いてある字そのままに発音してしまうインド人にかかると、「Made In India」は「マッド・イン・インディア(インドの狂気)」になってしまうのである。こういうくすぐりが、Sharat Katariyaの色なんだろうなと思う。 

ロケ地:

マディヤ・プラデーシュ州、ウッタル・プラデーシュ州、デリーなど。

 

ロケ地
 Rajghat Dam (Near Chanderi, Madhya Pradesh)

MaujiとMamtaが街に向かうシーン。

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ロケ地
 Halalpur Bus Stand (Bhopal, Madhya Pradesh)

 家族と仲間たちとコンテストへ出発するシーン

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ロケ地
 Upper Ganda Canal Road (Chaziabad District, Uttar Pradesh)

 二人がビジネス・パートナーとなった日のシーン。f:id:bokenkozo:20190205215506j:plain

 

 

ロケ地
Salim Garh Fort (Delhi)

 ぎゅうぎゅうのバスで二人が揺られるシーン。

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ロケ地
Connaught Place (Delhi)

 「お店を借りるのにお金がかかる」というMaujiにMamtaが言うシーン。
「ここってお店出すのにお金いるの?」

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そしてMaujiはここで路傍の仕立屋を開店。

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ロケ地
 Shankar Market (Delhi)

 布地選びをするシーン

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この映画が観られるサイト:

 Sui Dhaaga: Made In India (2018) Hindi in HD - Einthusan

バケツと手桶の理由

インド名物、バケツと手桶

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ツアー客が泊まるような5つ星ホテルではさすがに見かけないけれど、いわゆる旅人が普通に泊まるホテルやゲストハウスの浴室には、必ずといっていいほどこのバケツと手桶のセットがある。

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 こんな風に、シャワーヘッドがあっても蛇口の下にあるのが一般的。
バスタブが無いからなのかと思ってはいたのだけれど、ラダックのレーで泊まったホテルでは浴槽があるにもかかわらずやっぱりバケツと手桶が完備されていて
「なぜ、あるのだ?」
疑問は深まるばかり。インド通の同僚に訊いてみたところ
・断水に備えて水を貯めておくため
・洗濯に使うため
・浅いバスタブだと叶わない足湯もこれなら可能
・なんならバスタブとして浸かってみるのも一興(ただし、ものすごくコンパクトな体型の人に限る)

などの答えをくれて納得していたのだが、今回違う理由があることを体感した。

 

ズバリ、答えはこれ。

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スイッチを入れないといつまでもお湯は出ない、電熱器

バーをお湯のところにしていくら出してお湯が出てこないので、
「お湯が出ない!」
文句を言うと、スタッフが浴室にあるこの電熱器のスイッチを入れにきて
「15分くらいするとお湯が出るから」
と帰っていく……この給湯システムにあった。

スイッチを入れると電気が入り、タンクの中の水が温まるしくみなのだが、タンク内にあるお湯を使い切ってしまうと水しか出なくなるので、今日は念入りに髪を洗おうと思ったらまずタンクの水を全部バケツにあけきり、さらにもう一ラウンドタンクの中の水がきちんとお湯になったところでスイッチを切ってからシャワーを開始するという計画性が必要になる。

そんなしちめんどくさいことをしなくても、スイッチを入れたまま、沸かしながらシャワーを浴びればいいじゃないか……と思うのが素人のあさはかさ。(←なんの素人なんだ?)
これをやって、ちょっとお湯を止めようと思って触ると、ビリビリビリッ! 熱すぎるからちょっと温度を調節しようと思うと、ビリビリビリッ!
濡れた手でシャワーの金属製のレバーを弄るたびに、軽めに感電するのである。

濡れた手で触らなきゃいいのだが、シャワーを浴びている場合、間違いなく手は濡れている。そこで、乾いたタオルを持ってきてそれにレバーをくるんでから操作したり、もしくは手をきちんと拭いてからレバーをいじるというさらに面倒くさい展開が待ち受ける。


そうか、感電しないためにあるバケツと手桶だったのか!
ということに、今回やっと気付くに至ったのであった。