ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

復活!ぼうけんこぞう

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客室乗務員、トラヴェルライター、ツアーコンダクター。

いわばプロの旅人として世界を回遊している間に、僕の原点であった「ぼうけんこぞう」というサイトが、プロバイダーの都合で知らないうちに消滅していた。
「ぼうけんこぞう」を通して多くの仕事とつながり、なによりたくさんの人たちと出会ってきた。その多くは今も僕の大切な友人達であり、かけがえのない財産となっている。

原点はやっぱりそこにないと。 ここに「ぼうけんこぞう」を復活させ、僕が主張する「冒険」や「地球人」という概念を改めて世界に向けて発し、僕が経てきた旅人としての軌跡、そしてまだこれからも続く旅の話などを綴っていこうと思う。

「カテゴリー」欄にアルファベットが並んでいるのは映画のタイトル索引として機能させるためなので、ロケ地などに興味がある場合はご利用ください。ロケ地からの逆引きはアルファベットで地名を検索してみてください。

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My favorite Pangon Lake at Ladakh in India where Famous Bollywood movie "Jab Tak Hai Jaan" and "3 Idiots" were shot.

Raazi

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ヒンディー映画「Raazi」(2018)

配役:

Sehmat Khan役:Alia Bhatt
Iqbal Syed役:Vicky Kaushal
Khalid Mir役:Jaideep Ahlawat
Sehmatの父親Hidayat Khan役:Rajit Kapur
Brigadier Syed役:Shishir Sharma 
Teji Khan役:Soni Razdan ←Alia Bhattの実母
Munira役:Amruta Khanvilkar
Abdul役:Arif Zakaria
Mehboob Syed役:Ashwath Bhatt
Nikhil Bakshi役:Aman Vasishth
成人のNikhil Bakshi役:Kanwaljit Singh 
Samar Syed役:Sanjay Suri  ←Sehmatの息子

 

ネタバレしない程度のあらすじ:

東ベンガルパキスタンからの独立運動が高まり、インドとパキスタンの間の緊張が高まっていた1971年のこと。
デリー大学の学生Sehmat Khan(アリア・バート)は、ガンで余命いくばくもない父Hidayat Khan(ラジト・カプール)から故郷のカシミールへ「緊急」だとして呼び戻された。
父は親友のパキスタン准将の息子Iqbal(ヴィッキー・コーシャル)との結婚を勧めるも、その結婚の目的はスパイ。祖父から父へと綿々と続いて来た「国に尽くす」ために、パキスタン軍関係者である嫁ぎ先で動きを探って欲しいというのだった。
逡巡したあげくこれを引き受けたデリーに戻ったSehmatはインドの諜報機関RAW(Research and Analysis Wing<インド版CIA>)のKhalid Mir(ジャイディープ・アフラーワト)のもとで約一か月、モールス信号や暗号、盗聴といった通信にまつわること、戦闘、拳銃の扱い方などスパイとしての特訓を受けてパキスタンへと嫁いでいく。

さて、素人いや、新米スパイの活躍はいかに?

 

小僧的視点:

 

この映画で、私にとって印象的だったのは素人スパイのあぶなっかしさでもなく、虫けらのように見捨てられることでもなく、「マジ! これ事実?」でもなく、Iqbalの動きだった。 
まず、カシミールで結婚式をあげてパキスタンの自分の家に着いた時、自ら車のドアを開けて表へ出ようとするSehmatを制して、自分がまわりこんでドアを開けたところ。何回かインドに行っているけれど、こんなことをしてもらった覚えは一度もない。この家だけのしきたりなのだろうか、それともパキスタンがこうなのだろうか?
次は見合い(もなにも結婚式当日に会っただけだけど)結婚をした君には時間が必要だといって、夫婦の寝室を引き戸で仕切って別々にして決して無理強いしなかったこと。
ふと思い出したのは、「Jodhaa Akbar(2014)」のAkbarが同じことをJodhaaにしたということ。

生まれ変わっても7回同じ人と結婚する(予定)のヒンドゥー教の人たちにとって離婚は「基本ありません」なものだけれど、
「男女ともに離婚の権利が与えられていると聖典に書いてある」
映画の中でHrithik Roshanいや、Akbarが言っていた。
この二つの紳士的な振る舞いは、モスリムという宗教的背景から来るものなのだろうか? ということばかりが気になってしまった映画であった。(←相変わらず、引っかかるところがくだらなすぎる……) 

 

Calling Sehmat

映画のアイディアを得たのは「Calling Sehmat」というHarinder Sikkaの小説からということになっているが、Sehmatは名前こそ違うが実在する人物であり、映画公開の少し前に亡くなっている。

1999年4月、パキスタンが支配の境界線である管理ラインを越え、偽装戦闘員をインド側に送り込んだことがきっかけとなった武力衝突があった。カシミール地方カルギル地区で起きたためカルギル紛争と呼ばれる。

元軍人である著者Harinder Sikkaによるとこのカルギル紛争の時、「母の話」としてSehmat(仮)の息子本人から聞かされたのがこの小説を書くきっかけとなったという。Harinder Sikkaはパンジャブ州Malerkotlaにこの息子の母親を訪ね、詳細を打ち明けてもらったようだ。
名前やディテールなどに手を加えて「小説化」するのに8年の月日を費やしたけれど、嫁ぎ先でのAbdulがらみの逸話は事実のままなのだとか。

この息子は冒頭の軍艦のシーンで、Sanjay Suri(サンジェイ・スーリ)演じるSamar Syedとして登場している。

 

 

ロケ地:

屋内の撮影はほぼマハーラーシュトラ州、あとはジャンムー・カシミール州、パンジャブ州、デリーなどにて。

1971年当時のパキスタンを現代で、しかもインドでセットではなくロケで復元。相当手が込んでいる。


 

ロケ地
Dargah of Manakpur Sharif (Mohali district, Punjab)

 お祈りのシーン

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ロケ地
Yadvinder Public School (Patiala, Punjab)

 デリーの訓練所のシーン。調べてみたらスタジアムの中に組み込まれている学校だった。f:id:bokenkozo:20180809061256j:plain

 

ロケ地
Central State Library(Patiala, Punjab)

盗聴器を仕掛ける訓練? 中、なんでこんなに本がいっぱいなのかと思ったら……

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 実はパンジャブの図書館であった。f:id:bokenkozo:20180809055901j:plain

 

 

ロケ地
Neemrana's Baradari Palace (Patiala, Punjab)

 「Ae Watan」の歌の練習をするBaigの家のシーン。f:id:bokenkozo:20180809055045j:plain

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ロケ地
Moti Bazaar (Malerkotla, Punjab)

 いわゆるメインマーケット、エージェント達とのやりとり、爆弾爆発のシーンなどf:id:bokenkozo:20180809055405j:plain

 

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ロケ地
Civil Hospital  (Pahalgam, Srinagar, Jammu and Kashmir)

 病院のシーンf:id:bokenkozo:20180809085550j:plain

 

ロケ地
Colonel's Retreat Kashmir  (Shiv Pora, Srinagar, Jammu and Kashmir)

 結婚式のシーン

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ロケ地
 Doodhpathri  (Budgam, Jammu and Kashmir)

 国境のシーン

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ロケ地
 Miranda House University Of Delhi (Delhi)

 キャンパスシーンf:id:bokenkozo:20180809064750j:plain

ロケ地
 India Gate (Delhi)

 

ロケ地
 INS Viraat (Mumbai, Maharashtra)

 海軍の軍艦のシーン

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この映画が観られるサイト:

Raazi (2018) Hindi in HD - Einthusan

 

Road to Ladakh

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ヒンディー映画「Road to Ladakh」(2003)

配役:

Shafiq役:Irrfan Khan
Sharon役:Koel Puri
John Chako役:Milan Moudgill

 

ネタバレしない程度のあらすじ:

 麻薬密売人のShafiq(イルファン・カーン) と、コカインを吸いつつひとり旅をするSharon(コエル・プリー)の物語。
危険なニオイのするShafiqに自暴自棄で孤独なSharonは惹かれ、呼び止められたインド軍の士官John Chacko (ミラン・ムドゥギル) に大した意味もなく「彼は私のボーイフレンドだ」と伝える。
二人の感情が高まっていく中、軍とJohnの捜査が進むものの「ボーイフレンドだ」とのたまうSharonの存在がそれを阻む。見捨てればShafiqが殺されてしまうことを理解したSharonは、Shafiqとともに行動して彼の任務を遂行させるべきなのか、それとも?

 

小僧的視点:

Leh Manaliハイウェイを行く約50分のショートムービー。荒涼とした風景の中、なぞの男とヤバイ感じの女性のスリリングなストーリーが繰り広げられる。
雨がまったく降らないため住人が雨を見たことがないされるKunzum峠で雨が降って道路が(砂なので)溶け出したり、テントが流されたり寝袋がビショビショになったり、がけ崩れでと、撮影はかなり過酷だったようだ。そうでなくとも高山病との闘いがあっただろうに、なんとIrrfan Khanは新しい映画会社のためにギャラ無しで参加している。
おまけにプロデューサーが製作費とともにドロンして、John Chacko役のMilan Moudgill が現地のお店から借りるなどのハプニング。がけ崩れで燃料が足りなくなったり、酔っぱらったドライバーがIrrfan Khanが運転していた車の窓をぶつけて壊したりと……どうなってるんだなインド映画。

youtu.be

 

 

ロケ地:

 ヒマーチャル・プラデシュ州からジャンムー・カシミール州へと続くハイウェイにて。題名は「Road to Ladakh」なのだけれど、LehもLadakhもまったく出てこない。

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この映画が観られるサイト:

Road to Ladakh (2003) Hindi in HD - Einthusan

 

Bioscopewala

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ヒンディー映画「Bioscopewala」(2017)
邦題:「ビオスコープおじさん」

配役:

Rehmat Khan役:Danny Denzongpa 
Minnie Basu役:Geetanjali Thapa 
Robi Basu役:Adil Hussain 
Wahida役:Tisca Chopra 
Ghazala役:Maya Sarao 
Bhola役:Brijendra Kala
Shobita役:Ekavali Khanna 
航空会社のスポークスマン役:Ivan Rodrigues 
Bakht Rawan役:Shashi Bhushan
Zadran役:Mir Sarwar
Security Officer役:Ahmer Haider

 

ネタバレしない程度のあらすじ:

 コルカタに住む写真家Robi Basu(アーディル・フセイン)は、コルカタの空港からアフガニスタンへ飛び立つ直前、パリに留学中の娘Minnie Basu(ギタンジャリ・ターパー)に電話をかける。しかし、Minnieは忙しさにかまけてその電話に出なかった。

ところがRobiが乗った飛行機は墜落、帰らぬ人となる。あわててパリからコルカタへ戻って後処理に追われるMinnieのもとへ、Robiが長年保釈を要請していたRehmat Khan(ダニー・デンツォンパ)が「恩赦で釈放された」という知らせが入る。
「Rehmat Khanっていったい誰? なぜ私が身受けするの?」
理解できないMinnieにRobi の助手であるBholaの説明により、Rehmat Khanが幼い頃にかわいがってくれた「ビオスコープ(のぞきカラクリ)おじさん」だということをMinnieはやがて思い出す。

Rehmat Khanは殺人犯として服役していたのだが、ゆかりの人々を訪ね歩くうちに彼の歩んできた人生、”殺人”の背景と真実を知り、父の遺品の中にあった手紙や自らの記憶を頼りにRehmat Khanの娘を探しに彼らが昔住んでいたアフガニスタンの村を訪ねるのだった。

 

 

この歌、とても好きだ。

小僧的視点:

Rabindranath Tagore(ラビンドラナート・タゴール)原作の「Kabuliwala(邦題:カブールからきたくだもの売り)」を元に作られた映画は、Balraj Sahni(バルラージ・サハーニ)が主役を演じた『Kabuliwala(1961)』が有名だが、その映画からインスピレーションを得て創られた作品。
日本語のタイトルは”ビオ”スコープとなっているようだが、実際はバイオスコープが正解。歌の中の歌詞もそう謡っている。

 

ダメダメな神さま? Rabindranath Tagore

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Rabindranath Tagore(ラビンドラナート・タゴール)は、インドのベンガル地方コルカタの名門の家に1861年に生まれた。
写真を見るとなにやら神さまっぽいいでたちであるが、子供の頃は英国式の厳格な教育に馴染めず学校を3つもドロップアウト。17歳で英国留学をするも卒業はできず。
なのに1901年、宗教家の父が道場を開いていたカルカッタの北西・シャーンティニケータンに野外学校を設立。その後、この学校は1921年に大学となり、1951年にはインド国立大学とされ、現在はヴィシュヴァ・バーラティ国立大学となっている。
ダメダメな神さまは実は教育者であり、インド独立にもけっこう加担するものちに政治から身をひいている。

8歳の頃から詩を作り始め、小説、戯曲のほか、音楽、絵画、思想、哲学など、タゴールの優れた才能はあらゆる方面に及び、インド国歌「Jana Gana Mana」やバングラデシュ国歌「我が黄金のベンガルよ」の作詞作曲者としても有名だ。
自らの詩を英訳した、“神への捧げ歌”という意味の「Gitanjali(ギタンジャリ)」で世界的な名声を得て、1913年にはアジアで初のノーベル文学賞を受賞。今回のMinnie役の役者の名前はGeetanjali Thapa、綴りは違うが偶然にもギタンジャリだ。「Gitanjali」は青空文庫にて無料で読めるので、興味のある方は是非。
まぁ、これほどの才能があれば型にはめるのが無理というか、そもそもこういう人に学校なぞ必要がなかったんだろうと思う典型である。

日本の文化や伝統を愛していたというタゴールは1902年にはインドを訪ねた岡倉天心と親交を結び、1913年の天心の死までその交友は続いた。
1916年に初来日。アメリカからの帰途で立ち寄った時も含めると生涯のうち五回も日本を訪れ、日本の西欧化や帝国主義に警鐘を鳴らしたという。

この映画のたたき台となっている「Kabuliwala」は、1892年に 「Sadhana」誌に発表した短編小説で、タゴールの作品の中でも最も多言語に翻訳されているものだ。
舞台はおよそ100年前のインド首都・英領カルカッタ(現コルカタ)で、アフガニスタンから来た果物売りの大男と少女の友情、父親の娘へのしみじみとした愛情が、作家である「私」の一人称で語られている。

作家である「私」の娘で5歳になるミニーはおしゃべり好き。あるとき、ひょんなことからミニーはカブールから来た行商人、果物売りの大男と仲良くなる。
ミニーと果物売りの男が毎日ゲラゲラ笑ってはふたりで楽しそうに話していて、「私」の妻はそれを心配していた。そんなある日、果物売りは掛けを踏み倒した客を殴ってしまい刑務所へ入れられてしまう。それ以来、「私」の家族はミニーも含めてこの男のことをすっかり忘れてしまっていた。
思い出したのは8年後、ミニーが嫁いでいく日のこと。昨日出所したという果物売りが、ミニーに会うためにやってくる。最初は追い払おうとした「私」だが、果物売りの男にミニーと同じくらいの娘がいたことを知り、娘を想う親の不憫さに同情し意を決してミニーに会わせるも……


この小説の発表当時、タゴール自身の長女もミニーとほぼ同じ年令だった。当時は12~13歳で結婚する のが普通であったベンガルの娘たちへの父親の想いはひとしおであったのだろうと想像できる。
100年前のことと思っていたけれど、インド人の友人たち(みんな三十路)の母親が40代で、祖母が50代であることを知ると、ごく最近までそうだったんだなと思わずにはいられない。 

「Kabuliwala」はヒンディー語がOKならば、下記のリンクから無料でスマートホンで楽しめる。


日本語は無料にてWebというわけにはいかないので、書籍をどうぞ。

 

 
「Bioscopewala」はアフガニスタン人、行商人、ミニーにさまざまなことを教えてくれる人という「Kabuliwala」の基本設定をいかしつつも、まったく違った物語となっている。冒頭の部分は服役していた理由が殺人とあって、ちょっとだけサスペンス調。
アフガニスタン絡みのシーンと、優しい嘘が心の糸にひっかかる

 

個人的には落語「くっしゃみ講釈」に出て来る「八百屋お七」ののぞきからくりとは随分雰囲気の違う、インド版Bioscopeの比較が出来たのが楽しかった。
八百屋お七のぞきからくりはこんな感じ。

 

 

普段は広告関係の仕事をしていて、映画は初というDeb Medhekar監督は母親がベンガル人。子守歌もベンガル語ならタゴールの歌もよく聞かせてくれたとのことで、子供の頃からタゴールに親しんできたのだという。
もともとAmitabh Bachchanアミターブ・バッチャン)を主役に立ててタゴール作品を映画にしようとしていたのだけれど、製作がズルズルと底なし延期になったため、監督からアイディアを引き継いでDeb Medhekarがメガホンをとったという経緯がある。

なぜ、Amitabh BachchanではなくDanny Denzongpaの起用となったのかといえば、アフガニスタンにはパシュトゥーン人とハザーラ人という二つの大きな部族があり、ハザーラ族はモンゴロイドの顔つきでシッキム出身のDanny Denzongpaに合致したからなのらしい。
パシュトゥーン族の顔つきであるAmitabh BachchanがBioscopewalaだったとしても特に問題はないように思うのだが、まぁ、そのあたりは大人の理由なのだろう。
Danny Denzongpaを観ていて
「あれ? どっかで観たような……」
と思ったのだが、「Khuda Gawah(1992)」にKhuda Baksh役で出ていた。

 つまり、カブール・ロケに行ったことがあるのだ。
今回、実際にアフガニスタンでロケは行われておらず、かわりに突っ込みどころ満載ながらラダックで撮影されている。
撮影場所の選定などについても、Danny Denzongpaの過去の経験は役に立ったのではないかと想像できる。

もうひとつ、Minnie役のGeetanjali Thapaを観ている間じゅう「えーっと、何ていう名前だったっけなぁ。あの人にそっくり……」とそればかり考えていたのだが、ようやっと思い出せた。

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森川由加里だ。
監督がMeena Kumariのファンで、Meena Kumari似のGeetanjali Thapaを抜擢したのだそうだが、はっきりいってあんまり似ていない。

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のぞきからくりの中の登場人物としても現れるMeena Kumari

森川由加里似であることからもわかるのだが、シッキム出身のGeetanjali Thapaもまたモンゴロイド系なのだ。つまり同じような顔つきのDanny DenzongpaとGeetanjali Thapaが二人寄ると
「もしかしてこの二人って同郷なの?」
とか間違った発想をしてしまうし、かたやモスリムでかたやヒンドゥーという風に見えない。むしろ
「二人ともチベット仏教徒なんじゃ?」
な感じがしてしまうのである。Meena Kumariは1972年に亡くなっているので実際問題無理な話なのだけれど、それこそMeena KumariとDanny Denzongpa、もしくはAmitabh BachchanとGeetanjali Thapaであればもっとスムーズなのにと思わなくもないが、人として普遍的な”愛”に触れることのできる、切ないけれど幸せになれるとてもいい映画だ。

 

カブールとカルカッタ

アフガニスタンと当時インドの首都であったカルカッタ(現・コルカタ)は、どれくらいの距離があったのだろうと地図を開いてみると……
なんと2570km!!
今ある舗装された道を歩いて来たとしても521時間である。
Google Mapに電車や車、飛行機という設定はあるが”馬”とか”らくだ”はないので、ちょっと計算しずらいのだけれど、寝たり食事したり山を越えたりと考えると馬や列車を使っても2週間くらいだろうか。
と、遠い……。

 

 

 ロケ地:

ジャンムー・カシミール州と西ベンガル州にて。

 

 

 

ロケ地
 North-western Ladakh (Janmu Kashmir)

アフガニスタンのシーンはラダック北西部にて。 

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'Bioscopewala', a modern take of Tagore's famous Kabuliwala - The Hindu

A major part of the film is set in Afghanistan. Tell us about the different shooting locations that you used in the film.

Well, the Afghanistan sequences are actually shot in the north-western Ladakh. The landscapes as well as the architecture there had great similarity to what we found out about Afghanistan in our research. We actually went through the photographs from the 1990s, in particular those taken by Steve McCurry during the time he was travelling through Afghanistan. We went back to magazines and studied an immense amount of photographs. After completing our research, we did the recce for about 10-12 days in order to find exactly the right locations for our shoot.

 

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ロケ地
 Kolkata (West Bengal)

 

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この映画が観られるサイト:

Bioscopewala (2018) Hindi in HD - Einthusan

 

Parmanu: The Story of Pokhran

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ヒンディー映画「Parmanu: The Story of Pokhran」(2018)

配役:

Ashwat Raina役:John Abraham ←プロデューサーでもある
Capt. Ambalika Bandyopadhyay役:Diana Penty
Himanshu Shukla首相第一秘書役:Boman Irani
Dr. Viraf Wadia役:Aditya Hitkari
Prem Singh少佐役:Vikas Kumar
Dr. Naresh Sinha役:Yogendra Tiku
Puru Ranganathan役:Ajay Shankar 
Ashwatの妻Sushma Raina役: Anuja Sathe
パキスタンのスパイ役:Darshan Pandya
Stephen役:Zachary Coffin
Daniel役:Mark Bennington
前・首相第一秘書官Suresh Yadav役:Satinder Singh Gahlot

 

ネタバレしっぱなしのシンプルなあらすじ:

インド・ラジャスタン州のポカランで1998年に行われた2回目の核実験という史実に基づいた映画。中国が43回の実験をこなしているかたわら、インドは西側諸国やパキスタンからのプレッシャーのもと1975年に1度実験を行ったのみだった。
アメリカの監視衛星の軌道を計算し、その監視の目が届かない時間帯だけに目を盗んで作業を続け、カシミール紛争で各国の視線をカシミールへ誘導しつつ、Ashwat Raina(ジョン・エイブラハム)を中心としたチームがラジャスタン州で核実験を極秘裏に準備、CIAをはじめパキスタンのスパイたちの鼻をあかしてインドの国力を世界に知らしめた。

 

小僧的視点:

以前観た「Dor」という映画で出てきたPokhran PalaceがどうやらPokhran Fortのようなので名前に惹かれて観てみた。

しかして、インドがこっそり核実験を行った裏側に、こんな忍者まがいのからくりがあったとは!
監視衛星が巡って来る時間が昼間なので、どうしても秘密裡に夜作業することになるわけだが、もともと寝坊助で夜型のインド人にピッタリじゃないか! などとくだらないことを思ったりも。

 

 

Operation Shakti-98 10の豆知識

1. インドのラジャスタン州、ジャイサルメール地方に属するPokhran。その地名には5つの塩脈が存在することから、 “the land of five mirages(五つの蜃気楼の地)”という意味がある。

2. 核実験の準備は実験の約10日前から始まった。ムンバイのBARCから核爆弾がPokhranへと搬送されたがの5/1のことだった。たった4台のトラックが使われ、ほとんど誰にも気付かれなかった。

3. プロジェクトの代表コーディネーターは首相への科学的アドバイザーで、のちにインドの大統領となったDr. APJ Abdul Kalamであった。

以前観た「I am Kalam」でChhotuが勝手に名前を自分につけた、あのKalamである。


4. 世界のたくさんの国、特にアメリカはインドが核を保有してほしくないと思っており、「Eye in the Sky」という監視衛星を10億ドルを投じて配備。インドは1982年から1998年までこの監視にはばまれて実験を遂行できずにいた。

5. この計画について知っていた政策決定者は9名のみであった。

6. 1995年、PV Narshimha Rao首相が核実験に関する技術者を設定し、始動しようとした時点でアメリカ大統領Bill Clintonからプレッシャーがかけられて延期となった。

7. Pokhranは軍人がたくさんいる場所で、科学者たちはカモフラージュのために迷彩服を着用した。 Dr APJ Abdul Kalamはコードネームで「Major General Prithviraj」と呼ばれた。

8. この実験にはさまざまな名前がつけられているものの、正式な名前は「Operation Shakti-98 (Power-98)」である。5つの核爆弾はShakti-I、Shakti- II、 Shakti-III、Shakti-IV 、Shakti-Vと名付けられた。

9. 実験場に入るためのパスワードは「Din dhal jaye」という映画「Guide(1965)」の曲の歌詞からとられていた。


 

 10. 核実験に各国が反対するなか、支持したのはイスラエルのみだった。

 

 

 

Mark Bennington
CIAの諜報部員Danielを演じていたMark Bennington。カタコトのヒンズー語を話すのでナニモノなのだろうと思って調べてみたら、もともとは国際的に有名なアメリカ人写真家であった。
かと思うとテレビドラマの「Star Trek: Voyager」にも出ていたし、ボリウッド映画「Detective Byomkesh Bakshy! (2015)」でもみかけたことがある。
どうやらゴアで知り合ったインド人学者さんのと2013年に結婚してMumbaiに住んでいるようだ。

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Puneでの結婚式の様子

以前、「Lagaan(2001)」という映画で、6か月ヒンズー語を勉強してAndrew役にのぞんだPaul Blackthorneのことを「さすが、島国とはいえヨーロッパ人。アメリカ人ではこうはいかない」と書いた覚えがあるのだが、


まさしく「こうはいかない」そのものであった。
写真家としてのMark Benningtonの写真はご本人のWebサイトで閲覧可。ボリウッドの役者を撮影した作品もある。
Mark Bennington: Portrait photographer + New York City / Mumbai

 

ロケ地:

撮影はデリー、マハーラーシュトラ州、ラジャスタン州にて。

参考記事:

The reports also stated that, besides the Pokhran Fort, the other important locations where the film will be shot include RTDC Midway, Aada Bazaar, Gandhi Chowk Main Market and Gomat railway station. 

ロケ地
Rashtrapati Bhavan President's Estate (New Delhi, Delhi)

要は大統領官邸。

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ロケ地
Pokhran Fort (Pokhran, Rajasthan)

ポカランはラジャスタンのタール砂漠にある人里離れたところで、核兵器開発計画のための実験場。
1974年5月18日、1998年5月13日の二回、インド初の核兵器を地下100m以下の深さで爆発させる核実験が行われた。パキスタンとの国境に近く、人口密度が低いことからここが選ばれた。
1974年の核実験の際はコードネームから微笑むブッダ (Smiling Buddha) と呼ばれ、核実験成功の際には「Buddha is smiling」 という電報が打たれた。1998年のコードネームはShakti
砦といいつつ、現在はヘリテージ・ホテルになっているところ。ホテルのブログ(Parmanu: The story of Pokhran)によれば、役者連中はここに宿泊していたようだ。

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ロケ地
 Gomat Railway Station (Jaisalmer, Rajasthan)

 列車のシーン

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ロケ地?
 Aada Bazaar (Rajasthan)

 Ada BazaarといえばJodhpurが思い浮かぶのだが、洋服屋や宝石店だらけのこのエリアが映っている場面が特定できず。PokhranもJaisalmerエリアになるのでPokhranのAada Bazaarだったりするのかもしれない。
どちらにしてもRajasthanに間違いはないが、地図は鵜呑み禁止。

 

ロケ地
 Gandhi Chowk Main Market (Jaisalmer, Rajasthan)

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ロケ地
 Jaisalmer Fort (Jaisalmer, Rajasthan)

AshwatがPokhranに到着したシーン、実はJaisalmer。

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ロケ地
Midtown Restaurant  (Jaisalmer, Rajasthan)

 CIAのスパイDanielとパキスタンのスパイが食事をするシーンで数回登場。

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ロケ地
Motel Pokaran - RTDC/ RTDC Midway (Pokhran, Rajasthan)

 Ashwatとパキスタンのスパイ達が泊まっていたことになっているゲストハウスはここ。ホテルもあるが、ドライブインでもある。

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この映画が観られるサイト:

Parmanu: The Story Of Pokhran (2018) Hindi in HD - Einthusan

 

Sonu Ke Titu Ki Sweety

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ヒンディー映画「Sonu Ke Titu Ki Sweety」(2018)

配役:

Tituの親友Sonu Sharma役:Kartik Aaryan 
Sonuの親友Titu Sharma役:Sunny Singh
Sweety Sharma役:Nushrat Bharucha
Tituの祖父Ghasitaram Sharma役:Alok Nath
Tituの祖母の兄Lalu Kaka役:Virendra Saxena
Tituの祖母役:Madhumalti Kapoor
Pihu役:Ishita Raj Sharma(特別出演)
Sweetyの母Renu Sharma役:Deepika Amin
Sweetyの父役:Rajesh Jais
Tituの母役:Ayesha Raza Mishra
Tituの父役:Pawan Chopra 
Babu役:Pritam Jaiswal
Sonalli Sehgall(特別出演)
Sakshi Malik (「Bom Diggy Diggy」という曲の中での特別出演)


 

ネタバレしない程度のあらすじ:

 

幼なじみでのSonu(カルティク・アールヤン)とTitu(サニー・シン・ニッジャル)は大の仲良しで、TituがいじめられればSonuがかばうという関係。Tituが恋人のPihu(イシター・ラージ・シャルマー)に泣かされれば、二人を別れさせたりもするといった具合だ。

ガールフレンドと別れて心の傷が癒えないTituだったが、ある日見合い話が持ち上がる。見合い相手のSweety(ヌスラト・バルーチャー)は優しくて子供好きでNGOで働いており、絵に描いたような家庭的で理想のお嫁さんといった女性だった。Tituはすっかり惚れ込んで、結婚に向けて話は進みはじめる。

そんなTituの結婚話をSonuは懐疑的に思っていた。仲良しのTituが自分から離れていってしまう寂しさもあるが、Sweetyがあまりにも理想的で非の打ちようがないのでかえって「なにか裏があるのでは?」と思ってしまったのだ。
SonuはSweetyが前のボーイフレンドに暴行を加えてひどい仕打ちをしたことをあばいたり、あらゆる手を使って結婚の邪魔をするが、賢いSweetyはそれを巧妙にかわして行く。
婚約が無事済んだその夜、Sweetyが計略的でズル賢いことに気付き、Tituを護らねばと思ったSonuに「結婚を壊せるものなら壊してみたら? 私はTituの人生からあなたを葬り去ってやる」と挑発。SonuとSweetyの水面下での大戦争がはじまった!
男同士の友情が勝つのか? 男女のロマンスがやはり勝つのだろうか?

 

小僧的視点:

恋愛における男性の本音もりだくさんの「Pyaar Ka Punchnama (2011)」や「Pyaar Ka Punchnama 2(2015)」のLuv Ranjan(ラヴ・ランジャン)監督作品。同じ役者を採用しているのでシリーズものといえばくくれるけれど、続編ではない。

相当に計算高い女性が相手とはいえ親友の結婚を妨害するというストーリーであるにもかかわらず、作品を通してコミカルなタッチで陰湿さはまったくない。根底にあるのは頼りないTituとそれを護ってきたSonu二人の友情だからなのだろうか。

最後にプールサイドでTituがこぼしていた
「婚約をした日の夜に、SweetyがSonuを追い出すって言ったって僕に言えば、こんな無駄なお金がかからなかったのに」
この台詞が映画を観ている間じゅう私がずっと考えていたことを代弁するのだけれど、これを言ってしまってはこの映画自体が成り立たないのである。にしても、うまい。この台詞で心の中の緊張がスキっとおちる。(←オマエだけだ!) 

 

色恋あり、踊りあり 

最後はほろ苦いけれどハッピーエンド、男女というより人間臭さたっぷりで、前作、前々作よりもさらに楽しめた。

 

Kartik Aaryan

微笑みつつ妨害を進めていくSonu役のKartik Aaryan。時々、角度によっては若かりし日のShahid Kapoorっぽく見えないこともない。

 

「 Shahidかも? Shahidかも?」と思って観ると、そんな風に見えて来る不思議。

視線での芝居もそこそこできるのに、このシリーズにしか出演しておらず他の映画には出ていない。もう少したつと垢ぬけてくるのかな?

 

 

お嫁んさん選びインタビュー


Tituのお嫁さんを選ぶためのSonuによるインタビューという設定。
お嫁さん候補者が次々出現するのだが、演じているのは全員部Sweety役のNushrat Bharuchaだ。
最初に来るのはインスタグラムやSNSに夢中のスマホ女子、次に来るのは儀式道具持参の宗教どっぷり女子、次はボリウッド映画狂い女子、最後にやっとNGOで働く子供好きというまともな女子(すなわちSweety)がやってきて
「ねー、もう彼女でOK出してよ」
TituがSonuに懇願し、OKが出るかどうかは劇場でね! という流れ。

映画の予告編、プロモーションとしては秀逸。「ハッシュタグ  早く話せ」「ハッシュタグ インタビュー」とかの切り返しが相当笑えた。

 

ロケ地:

撮影はデリー、ウッタル・プラデーシュ州、マハーラーシュトラ州、ウッタラカンド州、グルジアなどにて。

 

ロケ地
India Gate (Delhi)

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ロケ地
 Mumbai (Maharashtra)

 

 

 

ロケ地
Rishikesh (Uttarakhand)

 TituとSweetyのデートにSonuがついていき、ラフティングなどをするシーンがRishikesh。

 

ロケ地
Mahagun Moderne (Noida, Uttar Pradesh)
Mahagun Marvella (Noida, Uttar Pradesh)

 Tituの家のシーン。要は分譲マンション(Mahagun Marvella Sector-78 Noida)だが、プールなどもある。「Pyaar Ka Punchnama」や「Pyaar Ka Punchnama 2」の時も主人公達の住む場所は、Noidaのアパートという設定だったように思う。

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ロケ地
Georgia

独身最後の旅行でアムステルダムへ行ったはずなのに、なぜグルジアで撮影されているのか。それはFilm in Georgiaというプログラムがあるからだ。
雇用創出や地域振興のためにグルジア政府が映画のロケを誘致しており、映画製作会社に20~25%のキャッシュバックがあるため製作費用削減につながるようだ。
Amsterdamなのだからグルジアのどこと特定されるような撮り方がなされていない。

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この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/7qe6/?lang=hindi

 

Pad Man

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ヒンディー映画「Pad Man」(2018)

配役:

Lakshmikant Chauhan役:Akshay Kumar
Pari Walia役:Sonam Kapoor
Gayatri Chauhan役:Radhika Apte
Tinku's mother役:Riva Bubber
Savitri役:Urmila Mahanta
発明賞表彰式のゲスト役:Amitabh Bachchan(特別出演) 

 

 


 冒頭の歌詞の「すっぱりひーろー」の連呼は「Super Hero」のこと。インドは書いてある通りに発音するのがお約束だ。「Gun(拳銃)」は「ぐん」であって「がん」ではない。オーストラリアの「とぅだい いず ぐっだい まいと(Today is good day, mate) 」と同じで慣れればなんということはないが、それまではインド英語は難しい……。

ネタバレしない程度のあらすじ:

Madhya Pradesh州の製鉄工場で働くLakshmiことLakshmikant Chauhan(アクシャイ・クマール)は、学はないけれど頭の回転が早く、器用なアイディアマン。新婚の愛妻Gayatri(ラーディカー・アープテー)が玉ネギを切って涙を流しているのを見れば、子供のオモチャを改良して自動玉ネギ刻み機を作るといった具合だ。

ある日、Gayatriが突然母屋から離れへと行ってしまい、不審に思ったLakshmiが後を追おうとすると家族が行くなと引き留める。聴く耳持たずでLakshmiが離れへ行ってみると、生理中の女性は不浄なので”隔離”されなければならず、生理期間中の女性に男性は触れてはいけないといった習慣を知る。またGayatriが布きれを生理用ナプキンのかわりに使い、その布切れを恥ずかしいのでサリーの下に隠して干し、太陽にもさらさないでいるという事実が判明。
そんなことをしていては病気になってしまうという近所の医師の意見もあり、Gayatriの身体を心配したLakshmiが薬局にナプキンを買いにいくも55ルピーと驚くほど高価だった。友達に15ルピーを借りてまで買って帰ったものの、Gayatriはそんな高価なものは使えないし、牛乳代にも事欠いてしまうから返品してくるようにと断る。買った薬局は返品を受け付けない店だったためラクシュミーは誰も使わない生理用ナプキンを見本に自作しようと、村で手に入る材料を「サンプル」としてタダで集める。

試行錯誤の末に試作品を完成させるも、試作品を使ってくれる人がいない。妻ですら家族への遠慮から使おうとせず、実の姉にも断られる。なんとか試作品を使ってもらおうと医学校の生徒にアプローチしているところを近所の人が見て、医学生と浮気していると勘違いされたり、近所の初潮を迎えた少女に試作品を提供しようとしたところ夜這いと勘違いされたりで、大変な騒ぎに。
辱しめを受けたとしてGayatriは迎えに来た実家からの人たちと去ってしまい、Lakshmiは村を出て生理用ナプキンの開発に情熱を注ぎ込む。
そんな折、ひょんなことから知り合い、試作品の初めての使用者となったPari(ソナム・カプール)の出現で思わぬ展開に……。

 

 

小僧的視点:

トイレの次は生理用品なのである。
昨年、「Toilet: Ek Prem Katha(2017)」でトイレの無い村にトイレを普及させる男を演じたAkshay Kumarが、今度は安価な生理用ナプキンの開発をする男を演じている。

確かに日本にもその昔、生理中の女性を”不浄”とする考え方はあった。同じくヒンドゥー教のバリでも生理中の女性や出産後間もない女性、怪我で流血している場合は男性でも女性でも神聖な寺院の境内に入れないというようなきまりはいまだにある。
ただ、このご時世に家で”隔離”って……。貧しい村とはいえ、『離れ』があるような裕福な家だからこそ出来ることで、それこそ家族6人が1部屋で暮らしているようなところは、表にベッド出して寝たりするんだろうかとか思ったり。夜、女性ひとりだけそんなことしたら、とてつもなく危ない気も……。

ただ、この映画、ゆるーく事実に基づいている。
モデルとなったのはタミル・ナードゥ州で安価な生理用ナプキンの製造と普及に尽力した社会活動家Arunachalam Muruganantham(アルナーチャラム・ムルガナンタム)で、この映画は主演のAkshay Kumarの妻で元女優、現在は執筆業にいそしみこの映画のプロデューサーもつとめるTwinkle Khanna(トウィンクル・カンナー)が、Arunachalamの人生から発想を得て書いた短編「The Legend of Lakshmi Prasad」の映画化だから。
いやはや、インドの衛生概念はいまだにこれほどかと思ってしまう。
Sonam Kapoorがスマートフォンを使っているので混乱するが、Arunachalam Murugananthamの話に基づいていると仮定すれば設定は2001年のはずだ。55ルピーも当時と今では違った意味を持っていたのかもしれない。

興味深かったのは55ルピーでは牛乳代を圧迫するから生理用ナプキンが使えないだの、とてつもない額だといっていたGayatriが宗教がらみのちゃちいからくり機械に51ルピーを出すことをなんとも思っていなかったこと。
衛生よりも宗教にお金をかけ、病気になっても死んでもいいから恥をかきたくないというインドの日常が上手く切り取られている。

シャツの裾をズボンにタックインするという小さな仕草が、そこかしこでさまざまな意味で繋がって来るきめ細やかさもいい。

ニューヨークからの飛行機の中、デリーの空港、空港からPariが父親と家に戻るシーンなど、上手い役者が演じていればもう少し胸が痛むところなのだが、Sonam Kapoorのダイコンっぷりがいい意味で功を奏してさらっと表現されているのも「不倫は絶対に許されません」のインド式思考に洗脳されている私には逆に好感がもてた。

色恋あり、ハッピーエンド、ちょっと少な目ではあるけれど初潮のお祝いの様子を描くシーンで踊りもある。


 

ロケ地:

 撮影はMadhya Pradesh州、Delhi、アメリカのニューヨークにて。

 

ロケ地
Maheshwar (Madhya Pradesh)

どこのガートだろう? バラナシかな? と思って観ていたけれど、まわりの風景がちっともバラナシっぽくないのだ。
そう、川が違うのだ。ガンジス河ではなくてNarmada river(ナルマダー川)で、この川沿いにあるMaheshwarという町だった。
ヤギの血(もしくは撮影用の血糊?)とはいえ、血まみれでガンジス河へ飛び込んだらとんでもないブーイングに違いない。

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ロケ地
Kalakund railway station (Madhya Pradesh)

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ロケ地
The Delhi Indira Gandhi International Airport  (Delhi)

 ニューヨークから戻った時のちょっとせつないシーン。f:id:bokenkozo:20180723005930j:plain

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ロケ地
The statue of Liberty (New York, USA)

 

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ロケ地
Brooklyn Bridge (New York, USA)

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ロケ地
Times Square (New York, USA)

 相変わらず、シャツの裾出てる……。

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ロケ地
Lincoln Center (New York, USA)

 

ロケ地
United Nations headquarter (New York, USA)

UNICEFでのカタコトの英語でのスピーチのシーン。
国連総本部内部での撮影、ボリウッド映画では”Half Girlfriend”に続いて2作目となる。 


 

この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/2bJx/?lang=hindi

 

 

Hum Saath-Saath Hain

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ヒンディー映画「Hum Saath-Saath Hain」(1999)

配役:

次男Prem役:Salman Khan
Sapna役:Karisma Kapoor
三男Vinod役:Saif Ali Khan
Sadhana役:Tabu
Preeti役:Sonali Bendre
長男Vivek役:Mohnish Behl 
Ramkishan役:Alok Nath
Mamta役:Reema Lagoo 
Sangita役::Neelam Kothari
Sangitaの夫Anand役:Mahesh Thakur
Mamtaの兄弟Vakil役:Ajit Vachhani 
Vakilの妻役:Himani Shivpuri
Preetiの父親Pritam役:Satish Shah
Sapnaの父親Dharamraj役:Sadashiv Amrapurkar
Sapnaの祖母Durga Mausi役:Shammi 
Sadhnaの父親Adarsh役:Rajeev Verma
Vivekの親友Anwar役:Shakti Kapoor 
Raghuveer役:Dinesh Hingoo
Anurag役:Dilip Dhawan
Shanti役:Kunika
Krishna役:Jayshree T. 
Rehana役:Huma Khan
Dr. Sen役:Jatin Kanakia
Khan Saheb役:Achyut Potda
Raju役:Zaki Mukaddam
Babloo役:Hardik Tanna
Radhika役:Zoya Afrozl

 

ネタバレしない程度の/すっかり人任せなあらすじ:

ウッタル・プラデーシュ州の著名なビジネスマン大家族の話。
家族の長であるRamkishan(アローク・ナース)とその妻Mamta(リーマ・ラグー)の銀婚式が盛大に祝われ、継子長男Vivek(モーニシュ・ベール)はSadhana(タッブー)と結婚、次男Prem(サルマン・カーン)はPreeti(ソーナーリ・ベンデレ)と婚約、三男Vinod(サイーフ・アリ・カーン)はSapna(カリシュマ・カプール)に夢中。
Ramkishan一家の信条は、「一緒に祈り、一緒に食べ、一緒に暮らす」というもの。すべてはうまく行っているかに見えたある日、Sangitaが夫兄弟の諍いの結果Bangloreへ移り住むことになったと泣きながら電話をしてきて、これがMamtaの心をかき乱す。Mamtaの3人の友達のそそのかしも絆のよじれを加速させ……。

 

小僧的視点:

ウッタル・プラデーシュ州の著名な事業家で、同じウッタル・プラデーシュ州のRampurへ新婚旅行というか家族旅行にいくという設定なのだが、まったくウッタル・プラデーシュっぽくなくてものすごくラジャスタンっぽいというか、間違いなくラジャスタンなのでわけがわからなくなる。
ラジャスタンの事業家で出身地であるラジャスタンの村へ旅行に行ったんじゃ、何がイケナイのだろう? ラジャスタンには電気のない村がないとでもいうからなのだろうか? 

Prem役のサルマン・カーンはやんちゃで有名な役者ながら、Premの持つShanti(静か)的側面が彼の人間性の奥底に実はあるんだろうなということを、この映画を観ていて気付いた。ただ、Shantiとやんちゃのバランスがゆえに、人生を難しくしているんだろうなとも。

さて、Sapna、Sadhana、Preeti、Sangitaの4人組のうち選ぶとしたら誰だろう? 
これは監督の意図的なのかもしれないが、この作品でいちばん魅力的に映る女性はTabuだと思う。ただ、いかんせんダンスが下手くそすぎというか、キレがなさすぎて笑う。新劇の役者のようではあるが、ダンスはキレッキレなKarisma Kapoorの脇にいると、特にそれが引き立つ。でもまぁ、それもTabuのキャラだし美しいからよしとしよう。

お気に入りのシーンは父と二人で暮らしてきたSadhanaが、大家族を憧憬のまなざして眺めるところ。大家族には大家族の大変さがあるに決まっているのだけれど、そういうところは見えないんだよなぁ……などとひとり感情移入してしまっただけ。

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あとは、二人の結婚式で不自由なVivekの右手をSadhanaそっとささえる場面。



と、結局は監督の意図にはまり、Tabuばかり見てしまうことになる映画なのである。
色恋ふんだん、踊りふんだん、お約束のハッピーエンド。インドの濃ぉーい家族愛いっぱいで、途中の揉め事もご愛敬程度にしか思えない、大変幸せになれる映画である。

 

 

 

Tabu
ごく最近の「Missing (2018)」から「Fitoor (2016)」や「Haider (2014)」や「Life of Pi トラと漂流した227日 (2012)」、少し古いものでは「The Namesake (2006)」といったTabuが母親役で出ている映画を観ているのだが、共通していえることは「この人、家庭臭がしない」
ということ。これはいったいどこから来るのだろうか?

Tabuは芸名だがもともとの愛称でもあり、本名はTabassum Fatima Hashmiという。Fatimaという名前を見ればわかる通り、モスリムの家庭に生まれている。
両親が生まれてすぐに離婚をしたため父親の顔を見たことはなく、教師である母親が父親も兼ねつつ、教授職を退いて学校経営をしていた祖父母に育てられた。
祖父は数学の、祖母は英文学の教授であった。Tabu自身はHyderabad(ハイデラバード)のSt. Anns高校を出た後はムンバイのSt. Xavier's Collegeで2年間学んでいる。
結婚はというとしていない。
Shakti the Power (2002)」でNandini (カリシュマ・カプール) の夫役をしていたSanjay Kapoor(サンジェイ・カプール)やプロデューサーの Sajid Nadiawalaと一時的に婚約したりしていたが、1996年のテルグ映画「Ninne Pelladata」での共演をきっかけにAkkineni Nagarjunaとの恋愛関係がなんと20年あまりも続き、ようやく見切りをつけて現在に至っている。
調べてみるとAkkineni Nagarjunaは1992年にはAmala Akkineniという女優と結婚しているので、1996年時点ではすでに妻帯者(一部には婚姻関係はなく同棲状態だったという意見もある)だったはず。恋愛関係とはいっても、そんな位置づけだったための見切りだったのかもしれない。ただ、先ほども書いたようにTabuはモスリムの家庭に生まれているために、「イスラム名物4人まで妻が持てる」的考えがどこかにあってのことだったとすると責められるには値しないかもしれない。(ただし、Akkineni Nagarjunaはヒンドゥー教徒
年ごろとしてはすでに母親の領域であるにもかかわらず、母親を演じさせると家庭の匂いはおろか母親臭がただよってこないうえに、Tabuの妖艶さや魔性具合が逆に引き立つのはこんな背景があるのかもしれない。
 

  

ロケ地:

ラジャスタン州、カルナータカ州、あとは砂漠のシーンも含めてムンバイのスタジオでの撮影。

 

ロケ地
Mehrangarh Fort  (Jodhpur, Rajasthan) 

Rampurへの家族旅行のシーン、「Mhare Hiwda Mein Naache Mor 」という曲の中に出て来る。

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ロケ地
Jaswant Thada (Jodhpur, Rajasthan)

「Mhare Hiwda Mein Naache Mor 」という曲の中に出て来る。

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奥に見えているのがMeherangarhだ。 

 

ロケ地?
Mathura (Uttar Pradesh)

私にはセットにしか見えないのだが、

4 Places Where Bollywood Has Celebrated Janamashtami | MakeMyTrip Blog

The song The song Maiyya Yashoda, from Sooraj Barjatya’s Hum Saath Saath Hai was shot in Mathura

という記事を見つけたので一応。「Maiyya Yashoda」はここで撮られたらしいということにしておく。Mathuraはクリシュナの生誕地とされている。

 

 

ロケ地
Chennakesava Temple (Somanathapura, Mysuru, Karnataka)

 ものすごくカンボジアの「アンコール・ワット」っぽく見える、「Mhare Hiwda Mein Naache Mor 」という曲の中に出て来るお寺がここ。

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この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/78nZ/?lang=hindi