インド映画ロケ地巡り Shuddh desi Romance
ヒンディー映画「Shuddh Desi Romance」(2013)
配役:
Raghu Ram役:Sushant Singh Rajput
Gayatri役:Parineeti Chopra
Tara役:Vaani Kapoor
Goyal役:Rishi Kapoor
ネタバレしない程度のあらすじ
Raghu Ram(スシャント・シン・ラジプート)はジャイプールのガイドだが、ウェディング・プランナーGoyal(リシ・カプール)とも組んで仕事をしている。
いつもは「結婚式のエキストラ参加者」として働くRaghu(本人がRaghu Ramっていうアホな名前で呼ぶな、Raghuって呼べ! と劇中キレていたので以降はこう呼ぶ)だが、自分の結婚式を前に苦悩していた。
顔さえも見たことのない女性に自分の人生を捧げることができるのか、うまくやっていけるのか……不安と疑問でいっぱいだった。
RaghuはGoyalから結婚式のエキストラ参加者としてGayatri(パリニーティ・チョープラー)を紹介され、結婚式へ向かうバスの中で隣に座る。夜通し走るバスの中でGayatriの自由な生き方、恋愛観を知り、Raghuはますます結婚に不安を抱くと同時にGayatriに恋してしまう。
結婚相手のTara(ヴァーニ・カプール)は大変美しい女性だったが、不安に耐えきれなくなったこともあり、Gayatriの自由な考え方に感化されたRaghuは結婚式の誓いの途中、「トイレに行ってくる」と言ったきり勇気をふりしぼって逐電。
ジャイプールに戻ったRaghuの前にGayatriが現れ、Raghuは彼女を口説きおとして2人の同棲生活が始まった。
「Gayatriの過去を知ってる?」
とか余計な告げ口をする近所の人に仲違いされそうになったりしつつも、やがて2人は結婚することに決める。だが、結婚式の当日、今度はガーヤトリーが逐電。
傷ついたRaghuはあろうことか結婚式当日に新郎に逃げられたあのTaraとヨリを戻すが、Gayatriとも再会。
さぁ、さぁ、どうするRaghu? 再度Taraを捨てGayatriとヨリを戻すのか、それともそのままTaraと?
小僧的視点:
2010年の「Band Baaja Baaraat」 、2011年の「 Ladies vs Ricky Bahl」に続く 中毒性のあるManeesh Sharma監督の3作目となる作品だ。
タイトルの「Shuddh Desi Romance」は、日本語に訳すと「純国産恋愛」となるのだけれど、南のムンバイなどの生活レヴェルの高い人達、もしくはセレブ達をのぞいて恋愛結婚はインドではいまだそれほど多くなく、親の決めた人と結婚する人がほとんどだ。
結婚自体が親のいいなりであるこの国において、同棲ということ自体が社会的には認められにくく、映画の中の二人も「きょうだい」ということで世間的には通していたりして
「いったいこれの、どこが純国産?」
という感はある。
異なる宗教や、いわゆる「カースト」と呼ばれるヴァルナとジャーテの違いで親から賛同を得られず、結婚を諦めるカップルも知っている。
楽しげなインド恋愛映画大人気の裏には、他民族・他宗教の国ゆえの恋の難しさもあるのだろうなと思う。
そんなことよりも、生き物がイチャイチャするのを眺めるの好きなくせに、チャライのが苦手な私としては、垢抜けないところが大部分を占めるRaghu(スシャント・シン・ラジプート) と気が強くてはっきりしているくせにこと恋愛がからむと急にオクテになってしまうGayatri(パリニーティ・チョプラ)のじゃれあいが楽しい。
Sushant Singh Rajputが出演している映画は2013年の「 Kai Po Che」、 2014年の「PK」、2015年の「Detective Byomkesh Bakshy!」、2016年の「M.S. Dhoni: The Untold Story」、2017年の「Raabta」とひととおり観てきたけれど、この映画のキャラクターが私は1番好きだ。
この映画はほとんどがラジャスタンで撮影されているのだが、ジョドプール、ジャイプールというラジャスタンという街とそこに生きる人々の持つ豊かな色彩には本当に心躍る。
ラジャスタンといえばその名の通り『ラジプート族の地』なのだが、ここにSushant Singh ”Rajput”という戦士の血を引く俳優がとても映えるのだ。
ジャイプールではアンベール城、ナルガール要塞、ジャンタルマンタル、水の宮殿、バープー・バザール、ジョハリーバザール、サワーイ・ラム・シン通り、シティパレス、Raj Mandir(映画館)、ジャイプール空港、中央公園、ジャイ・マハール(ホテル)のプロムナードなどなど、35日にわたる撮影により映画を観るだけでジャイプール観光をしたような気がしてしまう。
ジョドプールは『ブルーシティー』と呼ばれていて、メヘランガー砦やその麓にある青い街並みで撮影されたタイトルソングも一緒に踊りたくなるくらい楽しい曲だ。
ジャイプールは『ピンクシティ』と呼ばれているが曲のタイトルもまんま『ピンク』の「Gulabi」。この映画でデビューしたTara役のヴァニ・カプールとのからみでいくぶん甘めにはなっているが、全体的な光やTaraの服その他の色彩が、ピンクで統一されていてなるほどと思ったりもする。
メヘランガーのシーンもあったが、あの水かけあうシーンだけがどこだかわからなかった。
水の宮殿じゃないし、メヘランガーに堀ないし、いったいどこ?
思い悩むこと4年(←ながすぎるよ!)やっと判明した。
マンダワであった。
「Gurabi」という曲での相手役は、ストーリーの中でSushant がソデにした婚約者のVani Kapoor。
トリビア動画で、ロケ地はほとんど明らかになる。
JAL Mahal/水の宮殿 (Jaipur)
Hawa Mahal/水の宮殿 (Jaipur)
City Palace
ジャンタルマンタル(天文台)
Albert Hall museum
Raj Mandir(映画館)
ジャイプール空港
ラグがよりをもどしたタラを待ち伏せしていたのはここ。
アンベール城
タイガーフォート(ナワルガーフォート)
これで済めば、あーいろいろジャイプールで撮影したんだね……で終わりだったのだが、
THIS SLEEPY TOWN IN RAJASTHAN IS BOLLYWOOD’S LUCKY CHARM, ONLY YOU DON’T KNOW ABOUT IT!
こんな記述を見つけてしまったがためにマンダワまで行くことになったわけである。
「Gulabiという曲の振り付けがForts of Mandawaでなされた以外にも、いくつかのシーンが撮影されている」
というこの記事だけが頼りなのだが、訊ねまくった町の人はこの映画のことをまったく知らなかった。
どんだけこっそり、撮影したんだか……。
現地ガイドも「知らないし、マンダワでは撮影されていない」というので困り果てたが、とりあえず「Forts of Mandawa」という曖昧な記述の場所に連れて行ってくれと頼むと、連れていかれたのがHotel Castle MandawaというMandawa Palaceを改装したところであった。
いやいや、連れていって欲しいのは Mandawa Fortだというと、お城と砦とホテルは全部同じだというではないか。
入口入って左がホテルで、右側が砦ということになっていて、砦に入るには鍵を開けてもらわなければならい。
その、鍵をあけてくれる係のおじさんが唯一
「あ、これ。知ってる。ここここ」
教えてくれたのが入口入ってすぐの中庭である。
Forts of Mandawa
ここが、その振り付けが行われたところだとおじさんは言いはるのだが、Gulabiを見ている限りそれらしいシーンはない。
砦っぽい岩肌で、水がびしゃーっとはねるところを予想していたのだが……この砦では水がないのだ。
結婚式が行われてラグーが逃げ出すシーンがHAVELIっぽいので、それもマンダワか? と思わないでもないが、結局特定できず。
ただ、この砦の中の美しいフレスコ画を見せてもらえたので良しとするか……という程度のちょっと哀しい幕切れとなった。
この映画が観られるサイト:
https://einthusan.tv/movie/watch/2227/?lang=hindi