ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

Raazi

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ヒンディー映画「Raazi」(2018)

配役:

Sehmat Khan役:Alia Bhatt
Iqbal Syed役:Vicky Kaushal
Khalid Mir役:Jaideep Ahlawat
Sehmatの父親Hidayat Khan役:Rajit Kapur
Brigadier Syed役:Shishir Sharma 
Teji Khan役:Soni Razdan ←Alia Bhattの実母
Munira役:Amruta Khanvilkar
Abdul役:Arif Zakaria
Mehboob Syed役:Ashwath Bhatt
Nikhil Bakshi役:Aman Vasishth
成人のNikhil Bakshi役:Kanwaljit Singh 
Samar Syed役:Sanjay Suri  ←Sehmatの息子

 

ネタバレしない程度のあらすじ:

東ベンガルパキスタンからの独立運動が高まり、インドとパキスタンの間の緊張が高まっていた1971年のこと。
デリー大学の学生Sehmat Khan(アリア・バート)は、ガンで余命いくばくもない父Hidayat Khan(ラジト・カプール)から故郷のカシミールへ「緊急」だとして呼び戻された。
父は親友のパキスタン准将の息子Iqbal(ヴィッキー・コーシャル)との結婚を勧めるも、その結婚の目的はスパイ。祖父から父へと綿々と続いて来た「国に尽くす」ために、パキスタン軍関係者である嫁ぎ先で動きを探って欲しいというのだった。
逡巡したあげくこれを引き受けたデリーに戻ったSehmatはインドの諜報機関RAW(Research and Analysis Wing<インド版CIA>)のKhalid Mir(ジャイディープ・アフラーワト)のもとで約一か月、モールス信号や暗号、盗聴といった通信にまつわること、戦闘、拳銃の扱い方などスパイとしての特訓を受けてパキスタンへと嫁いでいく。

さて、素人いや、新米スパイの活躍はいかに?

 

小僧的視点:

 

この映画で、私にとって印象的だったのは素人スパイのあぶなっかしさでもなく、虫けらのように見捨てられることでもなく、「マジ! これ事実?」でもなく、Iqbalの動きだった。 
まず、カシミールで結婚式をあげてパキスタンの自分の家に着いた時、自ら車のドアを開けて表へ出ようとするSehmatを制して、自分がまわりこんでドアを開けたところ。何回かインドに行っているけれど、こんなことをしてもらった覚えは一度もない。この家だけのしきたりなのだろうか、それともパキスタンがこうなのだろうか?
次は見合い(もなにも結婚式当日に会っただけだけど)結婚をした君には時間が必要だといって、夫婦の寝室を引き戸で仕切って別々にして決して無理強いしなかったこと。
ふと思い出したのは、「Jodhaa Akbar(2014)」のAkbarが同じことをJodhaaにしたということ。

生まれ変わっても7回同じ人と結婚する(予定)のヒンドゥー教の人たちにとって離婚は「基本ありません」なものだけれど、
「男女ともに離婚の権利が与えられていると聖典に書いてある」
映画の中でHrithik Roshanいや、Akbarが言っていた。
この二つの紳士的な振る舞いは、モスリムという宗教的背景から来るものなのだろうか? ということばかりが気になってしまった映画であった。(←相変わらず、引っかかるところがくだらなすぎる……) 

 

Calling Sehmat

映画のアイディアを得たのは「Calling Sehmat」というHarinder Sikkaの小説からということになっているが、Sehmatは名前こそ違うが実在する人物であり、映画公開の少し前に亡くなっている。

1999年4月、パキスタンが支配の境界線である管理ラインを越え、偽装戦闘員をインド側に送り込んだことがきっかけとなった武力衝突があった。カシミール地方カルギル地区で起きたためカルギル紛争と呼ばれる。

元軍人である著者Harinder Sikkaによるとこのカルギル紛争の時、「母の話」としてSehmat(仮)の息子本人から聞かされたのがこの小説を書くきっかけとなったという。Harinder Sikkaはパンジャブ州Malerkotlaにこの息子の母親を訪ね、詳細を打ち明けてもらったようだ。
名前やディテールなどに手を加えて「小説化」するのに8年の月日を費やしたけれど、嫁ぎ先でのAbdulがらみの逸話は事実のままなのだとか。

この息子は冒頭の軍艦のシーンで、Sanjay Suri(サンジェイ・スーリ)演じるSamar Syedとして登場している。

 

 

ロケ地:

屋内の撮影はほぼマハーラーシュトラ州、あとはジャンムー・カシミール州、パンジャブ州、デリーなどにて。

1971年当時のパキスタンを現代で、しかもインドでセットではなくロケで復元。相当手が込んでいる。


 

ロケ地
Dargah of Manakpur Sharif (Mohali district, Punjab)

 お祈りのシーン

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ロケ地
Yadvinder Public School (Patiala, Punjab)

 デリーの訓練所のシーン。調べてみたらスタジアムの中に組み込まれている学校だった。f:id:bokenkozo:20180809061256j:plain

 

ロケ地
Central State Library(Patiala, Punjab)

盗聴器を仕掛ける訓練? 中、なんでこんなに本がいっぱいなのかと思ったら……

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 実はパンジャブの図書館であった。f:id:bokenkozo:20180809055901j:plain

 

 

ロケ地
Neemrana's Baradari Palace (Patiala, Punjab)

 「Ae Watan」の歌の練習をするBaigの家のシーン。f:id:bokenkozo:20180809055045j:plain

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ロケ地
Moti Bazaar (Malerkotla, Punjab)

 いわゆるメインマーケット、エージェント達とのやりとり、爆弾爆発のシーンなどf:id:bokenkozo:20180809055405j:plain

 

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ロケ地
Civil Hospital  (Pahalgam, Srinagar, Jammu and Kashmir)

 病院のシーンf:id:bokenkozo:20180809085550j:plain

 

ロケ地
Colonel's Retreat Kashmir  (Shiv Pora, Srinagar, Jammu and Kashmir)

 結婚式のシーン

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ロケ地
 Doodhpathri  (Budgam, Jammu and Kashmir)

 国境のシーン

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ロケ地
 Miranda House University Of Delhi (Delhi)

 キャンパスシーンf:id:bokenkozo:20180809064750j:plain

ロケ地
 India Gate (Delhi)

 

ロケ地
 INS Viraat (Mumbai, Maharashtra)

 海軍の軍艦のシーン

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この映画が観られるサイト:

Raazi (2018) Hindi in HD - Einthusan