ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

中国

乾爸⑭ 韶山

韶山翌日は湘潭の西駅から、国営のバスで韶山へ向かう。昨日、私が乗ったのは私営のバス。国営のバスは時間通りに出発するし、相変わらず乗客はスパスパ煙草を吸うものの……とりあえず車内にガソリンの入ったタンクを積んでいることもなさそうだった。 1時間…

乾爸⑬ あわや火だるま

バスに乗り込んで7元払う。乗客はみなスパスパ煙草を吸っている。もーー、なんでこうなのだぁ。空港なんかは全部禁煙なのに、バスの中や電車の中ではみんな煙草吸い放題。中国というのは世界でも珍しい、スモーカー天国の国かもしれない。ケムいのだけど、…

乾爸⑪ 置き土産

突然車が故障して、電灯ひとつない山の中で立ち往生。時計を見ると夜10時だった。運転手の兄ちゃんは「人を呼んでくる」と通りかかった車に乗ってどこかへ消えてしまった。懐華まではあと90km、とても歩いて帰れる距離ではない。暗闇の中に残されると、…

乾爸⑫ みちくさ

今回は乾爸を送り返すのだけが目的だから、任務を終えたらすぐに帰ろうと思っていたのである。しかし、長沙から香港へ戻る飛行機は週に2便のみ。夜中の1時にガセネタ通り? 列車があれば、翌日の昼頃には長沙に戻れて夜7時過ぎの飛行機には間に合った。し…

乾爸⑩ 依存体質

まったく反省の色の見えない次男ではあるが、彼が博打に走ったのは失恋がきっかけだったらしい。結婚しようと思っていた彼女が「どうしても大学へ進みたいが学費が足りない」と次男に泣きつき、次男は乾爸に「将来の嫁のため」と学費の援助をせがんだのだ。…

乾爸⑨ 博徒がふたり

68歳になる乾爸の弟さんとその息子二人、長男のお嫁さんとその子供。これが乾爸の家族である。甥が二人いると聞かされたけれど、先ほどから一人しか見当たらない。「あれ? もう一人はどこ?」聞いてみるに「長男は牢屋」という意外な返事にびっくり。なん…

乾爸⑧ 超高級住宅?

家の中には倉庫のようなところもあり、もみつきの米が山盛りに積み上げてあったが、私の興味を引いたのはシャンプーやトイレットペーパーやお酒や煙草など……いろんな雑貨が埃にまみれて置かれていた部屋である。 「あれ?ここは?」 私が聞くと 「甥が商売を…

乾爸⑦ やっと到着

松桃まで行って 「孟渓ってどう行くの?」 と聞いてみると 「あー、とっくに過ぎちゃったよぉ」 と言うではないか。 な、なにっ?松桃より手前だったのか? どうやら、松桃へ着く手前にある「太平」というガソリンスタンドを左折するはずだったのに知らずに…

乾爸⑥ 孟渓なんて知らない

翌朝、車掌さんに起こされると4時半。4時45分には到着するので、急いで荷物をまとめる。乾爸は「タオル、これ使っていいか?」と私のタオルを持って洗面所に行き「はい」と返してくれたらタオルびっちょびちょ。うーーん、どうやったらタオルをこんなに…

乾爸⑤ 懐華への列車

買物を終えて駅に戻ると、ふと「求人広告」の立て看板が目についた。運転手やら事務員やら、いろんな商売が書かれていたけれど、だいたい一ヶ月四百~六百元くらいの賃金が多かった。四百元、約七千円だ。 列車は239次17:42発の張家界行き、懐華までは十一…

乾爸④ 湖南も麻辣粉

招待所の受付のお姉さんは、乾爸の様子を目にしたからか「2時に部屋を空けてくれればいいから」と優しいことを言ってくれた。4階までエレベーターがあればいいものを、エレベーターはあるにはあるが動いていない。片手でてすりを握らせ、もう一方の手で杖…

乾爸③ 湖南省・長沙へ

結局、2個の手荷物を持ち、乾爸の手を引いて飛行機に乗り込んだ。機内では杖をついてそろりそろりと歩く乾爸を見かねてか、キャビンクルーが「香港で車椅子を手配してあげようか?」と声をかけてくれる。なんとか歩けることは歩けるのだが、なんといっても…

乾爸② 嫌な感じ

1995年、乾爸と同じように大陸帰りを決めた台湾の老人が、香港で置き去りにされるという事件があった。この老人は身体が不自由だったので、大陸から奥さんが香港まで迎えに来ていた。奥さんというのは当時大陸に残して来た女性のことだろう。車椅子で台…

乾爸① プロローグ

「ちょっとそこまでお使いへ行ってきて来てくれる?」こんな風に頼まれた経験、誰にでも1度や2度はあるのではないだろうか。母親に醤油の買物を言いつけられた青年は、小銭を手にぶらりと家を出て行くのだろう。それきり60年以上も家に帰れないだけでな…

鳴くトイレ

雲南省の勐拉(モンラー)で1泊しようと、いわゆるホテル『賓館』を探していた。なぜ賓館にこだわっているのかというと、1998年当時は下手に小さな宿泊施設に行くと、ライセンスが無いから外国人は泊められないなどと門前払いを受けることが多かったか…