ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

The Namesake

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ベンガル・米映画「The Namesake」(2006)
邦題「その名にちなんで」

配役:

"Gogol" ことNikhil Ganguli役:Kal Penn
Ashima Ganguli役:Tabu  
Ashoke Ganguli役:Irrfan Khan 
Sonia Ganguli役:Sahira Nair
Maxine Ratcliffe役:Jacinda Barrett

 

すっかり人任せなあらすじと解説:

これでインディア 「The Namesake」

 

小僧的視点:

コルカタから移民してきた父Ashoke(イルハン・カーン)と、Ashokeがロシア人作家ニコライ・ゴーゴリから名づけたニューヨーク生まれの息子Gogol(カール・ペン)との名前をめぐる物語を中心に、母親Ashima(タッブー)が持つ伝統的・インド的価値観とその子供たちのアイデンティティを含む葛藤、親子と夫婦の愛、インド的深すぎる家族の絆による齟齬とそのすり合わせ……といったものが淡々と描かれていく。

スリルもサスペンスもない、日常を切り取った映画がとかく好きなのだが、あまり世界には存在しない気がする。
主人公は誰なのかというのも実ははっきりせず、GogolでもAshimaでもAshokeでも、誰でもその時々の中心人物の気持ちにすっと寄り添える。

見合い前にAshimaがAshokeの靴を履いてみるシーンがあるのだが、月日が経ってGogolが父の靴を履いてみるシーンがオーバーラップしてきて、ニクイ演出だなと思ったりもした。
全編通してAshimaとAshokeのやりとりが特に観ていて心地よい。

後半、Gogolが髪を剃り落としてAshimaの前に現れるところがある。
「そんな必要ないのに」
Ashimaが言う。これは家族や親戚が亡くなると、その家の成人男性がみな丸坊主になるというヒンズー教徒のしきたりにもとずいている。インド人だから祖父・祖母をはじめとした親の兄弟といった親戚も多いわけで、誰かがなくなると坊主なので生えそろわないうちにまた坊主になっていたりすることもある。
「え? また?」
会うたびに落語「大山詣り」よろしく一族郎党男子がツルツルなのは、不謹慎だがちょっと可笑しい。

印米合作作品で基本は英語だが、ベンガル語ヒンディー語がごちゃまぜになっていて、この部分が英語字幕だと
(現地の言葉でなにか言っている)
みたいな字幕が特にヒンディー語のところで出て、これではなんのことやら? になりかねないのだが、日本語字幕のDVDが手頃な価格で出ている。 

 

 撮影はニューヨーク、コルカタとその近郊、アグラなどで行われている。(シドニーも?)

 

ロケ地
 Taj Mahal (Agra UP)

原作より
Apart from visiting relatives there was nothing to do in Calcutta. He's already been to the planetarium and the Zoo Garden and the Victoria Memorial a dozen times. 

親戚を訪ねる以外はカルカッタですることがなかったGogol。プラネタリウムでも動物園でもビクトリアメモリアルでないアグラへ家族旅行だ。

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いつ、どこで、誰がみても美しいものは美しい。

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 「こんなお墓を作るなんて、シャー・ジャハーンはどんなにかムムターズを愛してんでしょうね」
「どのカップルだって愛しあってるんじゃないかな。ただ、(タージ・マハールを)作るだけのお金が無いんだよ」
遠まわしな言い草がとても好きだ。 

 

ロケ地
Victoria Memorial (Kolkata)

結婚後20年あまりしてから、Ashokeが「見合いの時、なぜ僕にオッケーを出したの?」とAshimaに訊くシーン。 

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「靴が好きだった」だの「条件がよかった」だの答えられたあげく、 「アメリカ式に愛してるっていうべき?」の会話が続く。

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 それをきいたAshokeがこのあと、ひとりにやけるのが微笑ましい。

 

ロケ地
 Howrah Station (Calcutta, West Bengal)

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若き日の列車事故のことを思い出すのか、飛行機にすればよかったとか言い出すAshoke。撮影はコルカタからSantiniketan行きの列車にて行われた。

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この映画が観られるサイト:

http:// https://einthusan.tv/movie/watch/2393/?lang=hindi