ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

Badrinath ki dulhania

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ヒンディー映画「Badrinath ki dulhania」(2017)
邦題「バドリーナートの花嫁」

配役:

"Badri" ことBadrinath Bansal役:Varun Dhawan 
Vaidehi Trivedi役:Alia Bhatt 
Badriの親友Somdev Mishra役:Sahil Vaid
Badriの父親Ambarnath Bansal役:Rituraj Singh
Badriの兄 "Alok"ことAloknath Bansal役:Yash Sinha
兄嫁Urmila Shukla Bansal役:Shweta Basu Prasad
Vaidehiの姉Kritika Trivedi役:Sukhmani Lamba

 


【日本語字幕付】『バドリナートの花嫁』予告編

 

ネタバレしない程度のあらすじ:

保守的で男尊女卑の父とおとなしい母に育てられ、兄と見合い結婚した兄嫁と一緒に暮らす、"Badri"”ことBadrinath(ヴァルン・ダーワン)はウッタル・プラデーシュ州Jhansiの裕福な家の出身。学校も中退し、父親が営む貸金業のとりたてを親友のSomdev(サーヒル・ヴァイド)としつつ日々を送っていた。

そんなある日、友人の結婚式で出会ったラジャスタン州Kotaに住むVaidehi(アーリア・バート)に一目惚れするも、Vaidehiは結婚もしたくなければ、仕事をもって自立することを考えていた。

最近結婚紹介業を始めたSomdevが一枚かんで手をまわし、Vaidehiとの結婚話を進めたところ、Badriの家が名家であることからもVaidehiの両親は結婚話に乗り気になった。Vaidehiを口説こうと4時間かけてKotaまでは赴いたBadriだが、「学がない」ことを盾にVaidehiに冷たくあしらわれる。

その後、BadriがVaidehiの姉Kritikaの結婚相手探しを手伝ったことから二人の距離は急速に縮まり、ついにKritikaと同時に結婚式をあげることになった。
しかし、結婚の儀式がはじまるその時になってもVaidehiは会場に現れず、迷いを捨てきれないVaidehiは逐電。花嫁が逃げるなどという前代未聞の顛末で、名誉を傷つけられたBadriの父は
「彼女を探し出して連れて来い、吊るして公開処刑してやる!」
とカンカン。

 Badriは情報をもとにSomdevとともにムンバイへ向かうが、そこで知らされたのはシルク・エアーにキャビンクルーの職を得たVaidehiはシンガポールで訓練中ということ。二人はシンガポールに飛び、Vaidehiを捕まえてトランクに押し込め……。

小僧的視点:

ここのところ、やれDVだ偽医者だ、歴史ものだ、ガサ入れだ……ちっともマサラムービーっぽくない映画ばかりなぜか観てしまっていたので、涙あり、笑いあり、恋愛あり、踊りありの久々に色んな意味でインド映画らしいインド映画であった。
Vaidehiの出身がラジャスタンの設定なので、お約束のダンスシーンの衣装が短い丈のチョリ(ブラウス)にボリュームのあるガガラ(Gagra)やレンガ(Lehenga)と呼ばれるギャザースカートなのも観ていて楽しい。


 

 

ただ、ムンバイからシンガポールへ舞台が変わるところが、(私が観たバージョンの編集のせいなのかもしれないが)とてもまぎらわしい。
BadriとSomdevはもともとJhansiから車でムンバイへ向かったのだが、シンガポールでも車を運転する場面からはじまるのでついインドだと思って観てしまう。
捕まってしょっ引かれた警察署の人もなぜかタミル語ではなくヒンディーを喋るため、「警察署ってこんなにキレイなんだ~」
キョロキョロするSomdevが
「牢屋もキレイよ、入る?」
女性警察官が言うあたりで、あれ? もしかしてここってシンガポール? とようやっと気付いたような具合である。

そして、「そもそも、なんで2人はパスポート持ってたの?」とか、キャビンクルーの訓練にまつわる色々色々に「えーー?」的な異論が山ほど噴出するのだけれど、そこは映画なんだし大人なので「ああ、まぁ、そういうこともあるんだね、きっと」ということでなんとか乗り越えるのである。

で、今回インドからシンガポールに舞台を移した瞬間、普段インド映画を観ていて
「うん、うん、インドだからね。まぁ、そういうこともあるよね」
すましていたことが、全部見え方が違って来るのが面白かった。
たとえば「彼女を探し出して公開処刑」とか、Badriのストーカーまがいの追っかけまわしとか、Vaidehiの友達のパンジャビ男性に誤解して殴り掛かるとか、仲良しだからこそ海の中にSomdevを突き落とす愛情表現とか……すべてが乱暴で粗野なものとして映るようになるのだ。

 下記の動画を「ここはシンガポールなんだ」という意識のもと、首しめなくたっていいじゃない? ひっぱたかなくてもいいじゃない? 床に押し倒さなくてもいいじゃない? 突き放さなくてもいいじゃない?……という視点で観てもらうと私が言わんとしていることの意味が少しは伝わるかもしれない。 



普段、インドを旅していて幾人ものインド人たちと触れ合っている時は別段何も思わないのだけれど、シンガポールでインドから出稼ぎに来ているインド人達が行う粗野な動きをみて
「うわーっ、迷惑だなぁ」
舌打ちしたくなることがあるのだが、まさにその感覚がこの映画でよみがえった。

これと同じ感覚はイタリア人でも起こる。
イタリアを旅しているうちは、「はいはい誰にでも女性とみればお世辞言って、ママが大好きなイタリア人は人生楽しんでるんだね~」で済むのに
イギリスで道路に寝転がって騒いでいるヨーロッパ人をさして
「あんなことするのはイタリア人に違いない。まったく」
舌打ちするスーツをきちんと着こなした英国紳士に、密かに共感しちゃったりするのである。
ヨーロッパで道路に寝ているとしたらイタリア人、アジアで道路に寝転がっているとしたらインド人……などと白人バックパッカーがくくっているのを聞いたことがあるが、やはり人生を自由に謳歌している人々は切り取って「きちんとした所」へ連れてきてみると迷惑でしかないのであろう。

ただ、迷惑をかける側とかけられる側。人生としてどちらが楽しいんだろうか? それはまた別の話だ。

撮影はインドとシンガポールの二か国で行われている。 

 

ロケ地
Ghatotkach Circle (Kota, Rajasthan)

Kotaにあるいわばロータリー

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ロケ地
Kishore Sagar Lake (Kota, Rajasthan)

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ロケ地
Chambal River (Kota, Rajasthan)

 二人がジェットスキーをしていたのが、この川。ワニがいるので有名で、実際ロケ中にワニと遭遇してヒヤっとする場面もあったらしい。

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ロケ地
Seven Wonders Park (Kota, Rajasthan)

 Kotaに呼び出されたBadriがVaidehiとまわるのがここ。

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ロケ地
Taragarh Fort (Bundi, Rajasthan)

 「Humsafar」という歌の冒頭、そのあともデート場所として出て来る砦。

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Humsafar (Full Video) | Varun & Alia Bhatt | Akhil Sachdeva | "Badrinath Ki Dulhania

 

ロケ地
Henderson Waves (Bridge in Singapore)

 二人が寝そべっているのはHenderson roadにかかる高さ36m、長さ284mの波のカタチをした橋の上。

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ロケ地
Old Hill street Police Station / MICA Building (Singapore)

 警察署があったのはこの通り。

 

ロケ地
Marina Bay / Singapore flyer (Singapore)

 

 

ロケ地
Clarke Quay (Singapore)

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ロケ地
 National Gallery (Singapore)

Badriがシンガポールをうろうろするところにちょっとだけ見える。

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この映画が観られるサイト: 

https://einthusan.tv/movie/watch/4nlG/?lang=hindi#