ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

Pad Man

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ヒンディー映画「Pad Man」(2018)

配役:

Lakshmikant Chauhan役:Akshay Kumar
Pari Walia役:Sonam Kapoor
Gayatri Chauhan役:Radhika Apte
Tinku's mother役:Riva Bubber
Savitri役:Urmila Mahanta
発明賞表彰式のゲスト役:Amitabh Bachchan(特別出演) 

 

 


 冒頭の歌詞の「すっぱりひーろー」の連呼は「Super Hero」のこと。インドは書いてある通りに発音するのがお約束だ。「Gun(拳銃)」は「ぐん」であって「がん」ではない。オーストラリアの「とぅだい いず ぐっだい まいと(Today is good day, mate) 」と同じで慣れればなんということはないが、それまではインド英語は難しい……。

ネタバレしない程度のあらすじ:

Madhya Pradesh州の製鉄工場で働くLakshmiことLakshmikant Chauhan(アクシャイ・クマール)は、学はないけれど頭の回転が早く、器用なアイディアマン。新婚の愛妻Gayatri(ラーディカー・アープテー)が玉ネギを切って涙を流しているのを見れば、子供のオモチャを改良して自動玉ネギ刻み機を作るといった具合だ。

ある日、Gayatriが突然母屋から離れへと行ってしまい、不審に思ったLakshmiが後を追おうとすると家族が行くなと引き留める。聴く耳持たずでLakshmiが離れへ行ってみると、生理中の女性は不浄なので”隔離”されなければならず、生理期間中の女性に男性は触れてはいけないといった習慣を知る。またGayatriが布きれを生理用ナプキンのかわりに使い、その布切れを恥ずかしいのでサリーの下に隠して干し、太陽にもさらさないでいるという事実が判明。
そんなことをしていては病気になってしまうという近所の医師の意見もあり、Gayatriの身体を心配したLakshmiが薬局にナプキンを買いにいくも55ルピーと驚くほど高価だった。友達に15ルピーを借りてまで買って帰ったものの、Gayatriはそんな高価なものは使えないし、牛乳代にも事欠いてしまうから返品してくるようにと断る。買った薬局は返品を受け付けない店だったためラクシュミーは誰も使わない生理用ナプキンを見本に自作しようと、村で手に入る材料を「サンプル」としてタダで集める。

試行錯誤の末に試作品を完成させるも、試作品を使ってくれる人がいない。妻ですら家族への遠慮から使おうとせず、実の姉にも断られる。なんとか試作品を使ってもらおうと医学校の生徒にアプローチしているところを近所の人が見て、医学生と浮気していると勘違いされたり、近所の初潮を迎えた少女に試作品を提供しようとしたところ夜這いと勘違いされたりで、大変な騒ぎに。
辱しめを受けたとしてGayatriは迎えに来た実家からの人たちと去ってしまい、Lakshmiは村を出て生理用ナプキンの開発に情熱を注ぎ込む。
そんな折、ひょんなことから知り合い、試作品の初めての使用者となったPari(ソナム・カプール)の出現で思わぬ展開に……。

 

 

小僧的視点:

トイレの次は生理用品なのである。
昨年、「Toilet: Ek Prem Katha(2017)」でトイレの無い村にトイレを普及させる男を演じたAkshay Kumarが、今度は安価な生理用ナプキンの開発をする男を演じている。

確かに日本にもその昔、生理中の女性を”不浄”とする考え方はあった。同じくヒンドゥー教のバリでも生理中の女性や出産後間もない女性、怪我で流血している場合は男性でも女性でも神聖な寺院の境内に入れないというようなきまりはいまだにある。
ただ、このご時世に家で”隔離”って……。貧しい村とはいえ、『離れ』があるような裕福な家だからこそ出来ることで、それこそ家族6人が1部屋で暮らしているようなところは、表にベッド出して寝たりするんだろうかとか思ったり。夜、女性ひとりだけそんなことしたら、とてつもなく危ない気も……。

ただ、この映画、ゆるーく事実に基づいている。
モデルとなったのはタミル・ナードゥ州で安価な生理用ナプキンの製造と普及に尽力した社会活動家Arunachalam Muruganantham(アルナーチャラム・ムルガナンタム)で、この映画は主演のAkshay Kumarの妻で元女優、現在は執筆業にいそしみこの映画のプロデューサーもつとめるTwinkle Khanna(トウィンクル・カンナー)が、Arunachalamの人生から発想を得て書いた短編「The Legend of Lakshmi Prasad」の映画化だから。
いやはや、インドの衛生概念はいまだにこれほどかと思ってしまう。
Sonam Kapoorがスマートフォンを使っているので混乱するが、Arunachalam Murugananthamの話に基づいていると仮定すれば設定は2001年のはずだ。55ルピーも当時と今では違った意味を持っていたのかもしれない。

興味深かったのは55ルピーでは牛乳代を圧迫するから生理用ナプキンが使えないだの、とてつもない額だといっていたGayatriが宗教がらみのちゃちいからくり機械に51ルピーを出すことをなんとも思っていなかったこと。
衛生よりも宗教にお金をかけ、病気になっても死んでもいいから恥をかきたくないというインドの日常が上手く切り取られている。

シャツの裾をズボンにタックインするという小さな仕草が、そこかしこでさまざまな意味で繋がって来るきめ細やかさもいい。

ニューヨークからの飛行機の中、デリーの空港、空港からPariが父親と家に戻るシーンなど、上手い役者が演じていればもう少し胸が痛むところなのだが、Sonam Kapoorのダイコンっぷりがいい意味で功を奏してさらっと表現されているのも「不倫は絶対に許されません」のインド式思考に洗脳されている私には逆に好感がもてた。

色恋あり、ハッピーエンド、ちょっと少な目ではあるけれど初潮のお祝いの様子を描くシーンで踊りもある。


 

ロケ地:

 撮影はMadhya Pradesh州、Delhi、アメリカのニューヨークにて。

 

ロケ地
Maheshwar (Madhya Pradesh)

どこのガートだろう? バラナシかな? と思って観ていたけれど、まわりの風景がちっともバラナシっぽくないのだ。
そう、川が違うのだ。ガンジス河ではなくてNarmada river(ナルマダー川)で、この川沿いにあるMaheshwarという町だった。
ヤギの血(もしくは撮影用の血糊?)とはいえ、血まみれでガンジス河へ飛び込んだらとんでもないブーイングに違いない。

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ロケ地
Kalakund railway station (Madhya Pradesh)

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ロケ地
The Delhi Indira Gandhi International Airport  (Delhi)

 ニューヨークから戻った時のちょっとせつないシーン。f:id:bokenkozo:20180723005930j:plain

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ロケ地
The statue of Liberty (New York, USA)

 

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ロケ地
Brooklyn Bridge (New York, USA)

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ロケ地
Times Square (New York, USA)

 相変わらず、シャツの裾出てる……。

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ロケ地
Lincoln Center (New York, USA)

 

ロケ地
United Nations headquarter (New York, USA)

UNICEFでのカタコトの英語でのスピーチのシーン。
国連総本部内部での撮影、ボリウッド映画では”Half Girlfriend”に続いて2作目となる。 


 

この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/2bJx/?lang=hindi

 

 

Hum Saath-Saath Hain

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ヒンディー映画「Hum Saath-Saath Hain」(1999)

配役:

次男Prem役:Salman Khan
Sapna役:Karisma Kapoor
三男Vinod役:Saif Ali Khan
Sadhana役:Tabu
Preeti役:Sonali Bendre
長男Vivek役:Mohnish Behl 
Ramkishan役:Alok Nath
Mamta役:Reema Lagoo 
Sangita役::Neelam Kothari
Sangitaの夫Anand役:Mahesh Thakur
Mamtaの兄弟Vakil役:Ajit Vachhani 
Vakilの妻役:Himani Shivpuri
Preetiの父親Pritam役:Satish Shah
Sapnaの父親Dharamraj役:Sadashiv Amrapurkar
Sapnaの祖母Durga Mausi役:Shammi 
Sadhnaの父親Adarsh役:Rajeev Verma
Vivekの親友Anwar役:Shakti Kapoor 
Raghuveer役:Dinesh Hingoo
Anurag役:Dilip Dhawan
Shanti役:Kunika
Krishna役:Jayshree T. 
Rehana役:Huma Khan
Dr. Sen役:Jatin Kanakia
Khan Saheb役:Achyut Potda
Raju役:Zaki Mukaddam
Babloo役:Hardik Tanna
Radhika役:Zoya Afrozl

 

ネタバレしない程度の/すっかり人任せなあらすじ:

ウッタル・プラデーシュ州の著名なビジネスマン大家族の話。
家族の長であるRamkishan(アローク・ナース)とその妻Mamta(リーマ・ラグー)の銀婚式が盛大に祝われ、継子長男Vivek(モーニシュ・ベール)はSadhana(タッブー)と結婚、次男Prem(サルマン・カーン)はPreeti(ソーナーリ・ベンデレ)と婚約、三男Vinod(サイーフ・アリ・カーン)はSapna(カリシュマ・カプール)に夢中。
Ramkishan一家の信条は、「一緒に祈り、一緒に食べ、一緒に暮らす」というもの。すべてはうまく行っているかに見えたある日、Sangitaが夫兄弟の諍いの結果Bangloreへ移り住むことになったと泣きながら電話をしてきて、これがMamtaの心をかき乱す。Mamtaの3人の友達のそそのかしも絆のよじれを加速させ……。

 

小僧的視点:

ウッタル・プラデーシュ州の著名な事業家で、同じウッタル・プラデーシュ州のRampurへ新婚旅行というか家族旅行にいくという設定なのだが、まったくウッタル・プラデーシュっぽくなくてものすごくラジャスタンっぽいというか、間違いなくラジャスタンなのでわけがわからなくなる。
ラジャスタンの事業家で出身地であるラジャスタンの村へ旅行に行ったんじゃ、何がイケナイのだろう? ラジャスタンには電気のない村がないとでもいうからなのだろうか? 

Prem役のサルマン・カーンはやんちゃで有名な役者ながら、Premの持つShanti(静か)的側面が彼の人間性の奥底に実はあるんだろうなということを、この映画を観ていて気付いた。ただ、Shantiとやんちゃのバランスがゆえに、人生を難しくしているんだろうなとも。

さて、Sapna、Sadhana、Preeti、Sangitaの4人組のうち選ぶとしたら誰だろう? 
これは監督の意図的なのかもしれないが、この作品でいちばん魅力的に映る女性はTabuだと思う。ただ、いかんせんダンスが下手くそすぎというか、キレがなさすぎて笑う。新劇の役者のようではあるが、ダンスはキレッキレなKarisma Kapoorの脇にいると、特にそれが引き立つ。でもまぁ、それもTabuのキャラだし美しいからよしとしよう。

お気に入りのシーンは父と二人で暮らしてきたSadhanaが、大家族を憧憬のまなざして眺めるところ。大家族には大家族の大変さがあるに決まっているのだけれど、そういうところは見えないんだよなぁ……などとひとり感情移入してしまっただけ。

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あとは、二人の結婚式で不自由なVivekの右手をSadhanaそっとささえる場面。



と、結局は監督の意図にはまり、Tabuばかり見てしまうことになる映画なのである。
色恋ふんだん、踊りふんだん、お約束のハッピーエンド。インドの濃ぉーい家族愛いっぱいで、途中の揉め事もご愛敬程度にしか思えない、大変幸せになれる映画である。

 

 

 

Tabu
ごく最近の「Missing (2018)」から「Fitoor (2016)」や「Haider (2014)」や「Life of Pi トラと漂流した227日 (2012)」、少し古いものでは「The Namesake (2006)」といったTabuが母親役で出ている映画を観ているのだが、共通していえることは「この人、家庭臭がしない」
ということ。これはいったいどこから来るのだろうか?

Tabuは芸名だがもともとの愛称でもあり、本名はTabassum Fatima Hashmiという。Fatimaという名前を見ればわかる通り、モスリムの家庭に生まれている。
両親が生まれてすぐに離婚をしたため父親の顔を見たことはなく、教師である母親が父親も兼ねつつ、教授職を退いて学校経営をしていた祖父母に育てられた。
祖父は数学の、祖母は英文学の教授であった。Tabu自身はHyderabad(ハイデラバード)のSt. Anns高校を出た後はムンバイのSt. Xavier's Collegeで2年間学んでいる。
結婚はというとしていない。
Shakti the Power (2002)」でNandini (カリシュマ・カプール) の夫役をしていたSanjay Kapoor(サンジェイ・カプール)やプロデューサーの Sajid Nadiawalaと一時的に婚約したりしていたが、1996年のテルグ映画「Ninne Pelladata」での共演をきっかけにAkkineni Nagarjunaとの恋愛関係がなんと20年あまりも続き、ようやく見切りをつけて現在に至っている。
調べてみるとAkkineni Nagarjunaは1992年にはAmala Akkineniという女優と結婚しているので、1996年時点ではすでに妻帯者(一部には婚姻関係はなく同棲状態だったという意見もある)だったはず。恋愛関係とはいっても、そんな位置づけだったための見切りだったのかもしれない。ただ、先ほども書いたようにTabuはモスリムの家庭に生まれているために、「イスラム名物4人まで妻が持てる」的考えがどこかにあってのことだったとすると責められるには値しないかもしれない。(ただし、Akkineni Nagarjunaはヒンドゥー教徒
年ごろとしてはすでに母親の領域であるにもかかわらず、母親を演じさせると家庭の匂いはおろか母親臭がただよってこないうえに、Tabuの妖艶さや魔性具合が逆に引き立つのはこんな背景があるのかもしれない。
 

  

ロケ地:

ラジャスタン州、カルナータカ州、あとは砂漠のシーンも含めてムンバイのスタジオでの撮影。

 

ロケ地
Mehrangarh Fort  (Jodhpur, Rajasthan) 

Rampurへの家族旅行のシーン、「Mhare Hiwda Mein Naache Mor 」という曲の中に出て来る。

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ロケ地
Jaswant Thada (Jodhpur, Rajasthan)

「Mhare Hiwda Mein Naache Mor 」という曲の中に出て来る。

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奥に見えているのがMeherangarhだ。 

 

ロケ地?
Mathura (Uttar Pradesh)

私にはセットにしか見えないのだが、

4 Places Where Bollywood Has Celebrated Janamashtami | MakeMyTrip Blog

The song The song Maiyya Yashoda, from Sooraj Barjatya’s Hum Saath Saath Hai was shot in Mathura

という記事を見つけたので一応。「Maiyya Yashoda」はここで撮られたらしいということにしておく。Mathuraはクリシュナの生誕地とされている。

 

 

ロケ地
Chennakesava Temple (Somanathapura, Mysuru, Karnataka)

 ものすごくカンボジアの「アンコール・ワット」っぽく見える、「Mhare Hiwda Mein Naache Mor 」という曲の中に出て来るお寺がここ。

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この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/78nZ/?lang=hindi

 

Black

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ヒンディー映画「Black」(2005)

配役:

教師Debraj Sahai役:Amitabh Bachchan
Michelle McNally役:Rani Mukerji
幼少のMichelle McNally役:Ayesha Kapur
Michelleの母親Catherine McNally,役:Shernaz Patel
Michelleの父親Paul McNally役:Dhritiman Chaterji
Michelleの妹Sarah McNally役:Nandana Sen
Mrs. Gomes役:Sillo Mahava
Mrs. Nair役:Mahabanoo Mody-Kotwal

 



すっかり人任せなあらすじ:

これでインディア 2005年2月

 

小僧的視点:

つい最近、「Hichki」という映画を観て
Rani Mukerjiラニ・ムケルジ)って、前にもこういう役演じてたなぁ」
この映画のことを思い出した。

盲目で耳が聞こえず、水に名前があるということを知るところからはじまるあたり、ヘレン・ケラーとサリバン先生をたたき台にしているんだろうなと思われる。
Sanjay Leela Bhansali(サンジェイ・リーラ・バーンサリ)監督作品なので悲劇で胸がつまって泣かされるのであるが、映像はとても美しくHimachal PradeshのShimlaはまるでスイスみたいだなぁと思う。Amitabh Bachchanアミターブ・バッチャン)とRani Mukerjiという演技派の二人だからこそ成り立っているともいえる。

ただ、色恋なし、踊りナシ、夢は叶ったけれどハッピーエンドとはいいがたく、好きなタイプのインド映画ではない。
役者陣はみな迫真の演技で素晴らしいが、Michelleの母親などヒンディー語を話さなければ「英国人かな?」と思う顔つきであり、英語もまたそうだ。
「はて、この映画がインド映画である必要は?」
考えてしまう。

 

 

ロケ地
 Woodville Palace Hotel (Shimla Himachal Pradesh)

Mishelleの家の噴水
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「Water」という言葉に気付いてはじめて言葉を発し、大喜びのシーン

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ロケ地
 Indian Institute of Advanced Studies (Shimla Himachal Pradesh)

 Mishelleが入学した大学
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ロケ地
 Christ Church (Shimla Himachal Pradesh)

 ラストシーン
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 教会の正面にもっと距離があると思っていたが実際は違った。

 

ロケ地
 Afghan Church (Mumbai Maharashtra)

 Mishelleの卒業スピーチのシーン
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この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/0962/?lang=hindi#

 

Rang De Basanti

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ヒンディー映画「Rang De Basanti」(2006)

配役:

Karan Singhania(Bhagat Singh)役:Siddharth Narayan
'DJ' ことDaljit Singh (Chandrashekhar Azad)役:Aamir Khan
Lakshman Pandey(Ramprasad Bismil)役:Atul Kulkarni
Aslam Khan (Ashfaqullah Khan)役:Kunal Kapoor 
Sonia (Durgawati Devi)役:Soha Ali Khan ←Saif Ali Khanの妹
Sukhi Ram (Rajguru)役:Sharman Joshi 
Sue McKinley役:Alice Patten
Flight Lt. Ajay Rathod役:R. Madhavan (特別出演)
Mrs. Rathod, Ajay's mother役:Waheeda Rehman
Sueの祖父James McKinley's grandfather役:Steven Mackintosh
Karanの父親Rajnath Singhania役:Anupam Kher
DJの母親Mitro役:Kiron Kher
Aslamの父親Amanullah Khan役:Om Puri
DJの祖父役:Lekh Tandon
Rahul (Radio Jockey)役:Cyrus Sahukar 
防大臣Shastri役:Mohan Agashe

 


 

ネタバレしない程度のあらすじ:

イギリス人のSue McKinley(アリス・パッテン)は祖父の手記をもとにインド革命家の映画を創ろうと考えるが、なかなかスポンサーが見つからない。見切りをつけたSueは単身デリーへ乗り込む。

友人のSonia(ソーハー・アリー・カーン)の協力を得て準備を始めたSueはSoniaの友人達の'DJ' ことDaljit Singh(アーミル・カーン)、Karan Singhania(シッダールタ・ナラヤン)、Aslam Khan(クナール・カプール)、Sukhi Ram(シャルマン・ジョーシー)達と出会う。
彼らを革命家の姿と重ねたスーは映画出演を依頼するが、はじめのうちは英領インド時代に自由と独立のために命を捧げた若者たちの行動を馬鹿にしてふざけてばかりいたDJ達が、次第に撮影が進むにつれて真剣に取り組むようになり、映画も無事に完成する。

撮影終了でホッと一息のDJたちだったが、SoniaのフィアンセAjay(R・マドハヴァン)の乗ったソ連製戦闘機MiG-21が墜落し、Ajayが殉死。以前からMiGの性能には疑問が投げかけられており、多くの兵士たちがMiGのために命を落としていた。ところが国防大臣Shastri(モーハン・アガーシェー)は、MiGが墜落するのは飛行機の欠陥ではなく、パイロットの無謀な運転のためだと言い、それをきいて激昂したDJたちは……。

すっかり人任せなあらすじと解説:

 

これでインディア 2006年1月

小僧的視点:

題名の「Rang De Basanti」は「黄色に染める」という意味なのだが、なにが黄色でなぜ黄色なのか? 

Pandit Ram Prasad 'Bismil' (ラム・プラサード・ビスミル:ペンネームがBismil)によるウルドゥー語の有名なガザル(詩)『Sarfaroshi ki Tamanna(命賭けの希望)』が、映画の中で何度か唱えられている。
作者の Ram Prasad 'Bismil' とは1925年8月29日、ケバブが名物のKakori(カーコーリー)という町を列車が通過した時に襲撃し、インド政庁に送り届けられるはずだった現金を強奪した革命グループのリーダーだ。

この事件で逮捕された19名は二か月後にラクナウ中央刑務所(現在のLucknow District Jail)に収監され、1927年の春
「Basantのための歌詞を作らないか?」
ということで、Ram Prasad 'Bismil'がAshfaqullah Khan、Thakur Roshan Singh、Sachindra Nath Bakshi、Ram Krishna Khatri 他14名とともに獄中で作ったのが「Mera rang de Basanti chola(我が衣をサフラン色に染めよ)」である。

Basantというのはサンスクリット語の「Vasanta」から来ていて春という意味であり、インドではヒンズー教徒とスーフィーからの影響でイスラム教徒が祝日ではないながら、黄色い服を着てターメリックを額に塗りつけ、サフランで黄色く染めた食べ物を口にしてお祝いをする。黄色は幸運や霊性の高さを表し、芥子菜など春の作物の実りにも代表される。

Ram Prasad 'Bismil'は「Mera rang de Basanti chola」から約半年後の1927年12月19日Gorakhpur刑務所にて死刑になっている。絞首刑の処される部屋へ進む時にこの歌詞を口ずさみ、死を前にしても笑みを浮かべていたという。

12月になぜ春の歌なのか? 12月の北インドはよく寒さで人が死ぬくらいの気温、ラクナウあたりは湿気がものすごいので底冷えがするはずなのに……春の歌? と思わないでもない。

そこで、この歌の歌詞を検証。 

Mera Rang De Basanti Chola Lyrics Translation | The Legend Of Bhagat Singh | Hindi Bollywood Songs

Lyrics Translation
Mera rang de Colour me
Mera rang de basanti chola, maiye rang de Colour my cloak saffron, o motherland
Mera rang de basanti chola, maiye rang de Colour my cloak saffron, o motherland
Mera rang de basanti chola, rang de rang de Colour my cloak saffron, please colour me
Rang de basanti chola, maiye rang de Colour my cloak saffron, o motherland


Nikle hai veer jeeya le yoon apna seena taane The courageous have left with a strong heart
Has haske jaan lutane azaad savera laane To give their life smilingly for a free morning
Marke kaise jeete hai is duniya ko batlane To show to the world, how to live not fearing death
Tere lal chale hai maiye ab teri laaj bachane Mother, your sons have left to protect your pride
Marke kaise jeete hai is duniya ko batlane To show to the world, how to live not fearing death
Tere lal chale hai maiye ab teri laaj bachane Mother, your sons have left to protect your pride
Azaadi ka shola banke khoon ragon mein dola The blood boils in us like an ember of freedom


Mera rang de Colour me
Mera rang de basanti chola, maiye rang de Colour my cloak saffron, o motherland
Mera rang de basanti chola, maiye rang de Colour my cloak saffron, o motherland
Mera rang de basanti chola, rang de rang de Colour my cloak saffron, please colour me
Rang de basanti chola, maiye rang de Colour my cloak saffron, o motherland


Din aaj ka bada suhana, mausam bhi bada sunehra Today is a great day, even the weather is good
Hum sar pe baandh ke aaye balidano ka yeh sehra We have come wearing the hat of martyrs
Betaab hamare dil mein ek masti si chaayi hai There is some joy in our restless hearts
Aye desh alvida tujhko kehne ki ghadi aayi hai Motherland, the time to say goodbye has come
Mehkenge teri fiza mein hum banke hawa ka jhonka We'll be like fragrance in the gust of your winds
Kismat walo ko milta aise marne ka mauka Only the lucky ones get a death like this
Nikli hai baraat saja hai inquilab ka dola The adorned procession of revolution has started


Mera rang de Colour me
Mera rang de Colour me
Mera rang de basanti chola, rang de rang de Colour my cloak saffron, please colour me
Rang de basanti chola, maiye rang de Colour my cloak saffron, o motherland
Mera rang de basanti chola, rang de rang de Colour my cloak saffron, please colour me
Rang de basanti chola, maiye rang de Colour my cloak saffron, o motherland


英語訳を見て気付く。黄色ではないのだ、サフラン色なのだ。

以前自分で書いた、ChittorgarthのJohaur(集団自決)についての記述を思い出してみる。

Guide - ぼうけんこぞう

2度目は1535年、グジャラートのスルタン・バハドゥール・シャーの攻撃を受けた時で13000人のラジプート女性がラニ・カルナワティの先導のもと炎に身を投じ、32000人の男性がサフラン色の死に装束をまとって敵に突撃して玉砕した。

最後の総攻撃の前夜、女たちは化粧をし、きらびやかな衣装を身に付け、婚礼の夜と同じように聖なる火の回りを7回まわって宴を催し、それから城内の巨大な穴に焚かれた火の中に次々と飛び込んだ。翌朝、もはや後顧の憂いのない兵士たちは神聖とされるサフラン色の衣装に身につけ、全ての城門を開き、総攻撃を敢行した。


そうか、そうだったのか!「Mera rang de Basanti chola」は『我が経帷子をサフラン色に染めよ』と訳さねばいけなかったのだ……ということに、こんな遠回りをしてようやっと気付いたのである。
何を黄色に染めるのかといえば死に装束であり、なぜ黄色なのかといえば自決、殉死だからである。
 

ロケ地:

 撮影はパンジャブ州、デリー、ラジャスタン州、ハリヤナ州などにて。

 

ロケ地
Golden Temple (Amritsar, Panjab)

みんなでお祈りに行くシーン。


この曲の「Ik Onkaar」は、シーク教聖典『Guru Granth Sahib(グル・グラント・サーヒブ)』の一節。

黄金寺院は私が今まで訪ねたなかで、世界イチ氣のいい場所だと思ったのだがこの映画ではじめて訪れたAamir Khanも同じことを言っていた。みなが同じように感じる不思議である。

この黄金寺院のすぐ隣に「なんだここ、何かの建物なの?」という入口があって

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「Bagh(庭)」と書いてあるが、入ってみるとなにやら公園っぽくなっている。

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ここがジャリヤーンワーラーという「アムリトサル虐殺」とも呼ばれるジャリヤーンワーラー広場事件があった場所。
 1919年3月、第一次大戦終了後の治安を維持するために、予防拘禁を含む弾圧法として悪名高いローラット法をインド政庁が制定。ローラット法による活動家たちの逮捕に抗議してジャリヤーンワーラー広場に集まっていた丸腰の一般市民約2万人に、ダイヤー将軍率いる完全武装の英国軍が発砲。死者1000人以上を出す惨事となり、反英運動に火をつけることになった。
撮影前にみんなが黄金寺院というかアムリトサル詣でをしたのは、こんな背景があってのことだ。

 

ロケ地
Mughal Sarai (Ludhiana District, Doraha, Punjab)

Ajay Rathod(R・マドハヴァン)がSonia(ソーハ・アリ・カーン)にプロポーズするシーンはここ。

 

ロケ地
India Gate (New Delhi, Delhi)

Ajayの事故に関して抗議するシーンと、若者らしいはしゃぎっぷりのシーン 。

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ロケ地
Modern School, Barakhamba Road (New Delhi, Delhi)

 クライマックスシーンの All India Radio Stationはここ


 

ロケ地
Habitat Centre (New Delhi, Delhi)

 オーディションのシーン

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ロケ地
Nahargarh Fort (Jaipur, Rajasthan)

 Nahargarh Fort 内部の貯水池にてビール飲みチャレンジやパーティーのシーンが撮影されていた。飛び込んだりしていたが、今は水が浅すぎてそれは怖い気がする。
歴史のある場所での撮影は事務仕事が大変で、地域の警察からインド考古調査局まで7つのお役所から許可をとって撮影された。

 

 

 

ロケ地
Pataudi Palace (Pataudi, Haryana)

 Saif Ali Khanのお城パタウディー・パレス、車で送り届けられてきたKaranと父親のシーンが続くのでKaranの家として撮影されたのだと思う(内部をみたことが自信はない)f:id:bokenkozo:20180710081130j:plain

 

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Sarfaroshi ki Tamanna
「Mera rang de Basanti chola(我が経帷子をサフラン色に染めよ)」よりもさらに有名な、Ram Prasad 'Bismil' によるウルドゥー語のガザル(詩)が『Sarfaroshi ki Tamanna(The desire for revolution)』だ。


 

歌詞 英語訳
Hai liye hathyaar dushman The armed enemy
Taak mein baitha udhar Is sitting ready there
Aur hum taiyaar hai And we're ready
Seena liye apna idhar With our courage here
Khoon se khelenge Holi We will play Holi with blood
Gar watan muskhil mein hai If our nation is in trouble
Sarfaroshi ki tamanna The desire for revolution
Ab hamare dil mein hai Is in our hearts


Haath jin mein ho junoon The hands that have the passion
Katt te nahi talvaar se No sword can cut them
Sar joh uth jaate hai The heads that rise up high
Woh jhukte nahi lalkaar se They don't bow down with any threat
Haath jin mein ho junoon The hands that have the passion
Katt te nahi talvaar se No sword can cut them
Sar joh uth jaate hai The heads that rise up high
Woh jhukte nahi lalkaar se They don't bow down with any threat
Aur bhadkega joh shola sa It will erupt like a fire
Hamare dil mein hai For what is there in our hearts
Sarfaroshi ki tamanna The desire for revolution
Ab hamare dil mein hai Is in our hearts


Hum toh ghar se nikle hi the We had left from our homes
Baandhkar sar pe kafan Wearing a shroud on our head
Jaan hatheli par liye Taking our lives in our hands
Lo bhad chale hai yeh kadam Our legs are marching forward
Zindagi toh apni mehmaan Life is our guest
Maut ki mehfil mein hai In the assembly of death
Sarfaroshi ki tamanna The desire for revolution
Ab hamare dil mein hai Is in our hearts


Dil mein toofano ki toli With a host of storms in our heart
Aur nason mein inquilaab And with revolution in our veins
Hosh dushman ke udha denge We will shock the enemy
Hum mein roko na aaj Don't try to stop us today
Door reh paaye joh humse It can't stay far away from us
Dum kahan manzil mein hai The destination doesn't have that valor
Sarfaroshi ki tamanna The desire for revolution
Ab hamare dil mein hai Is in our hearts
Sarfaroshi ki tamanna The desire for revolution
Ab hamare dil mein hai Is in our hearts

 Shahjahanpur生まれのRam Prasad Bismil 自身はヒンズー教徒のようで、絞首刑後土葬ではなくヒンズー式に荼毘に付されている。
ヒンズー語は家で父親から学び、ウルドゥー語イスラム学者のもとで学び、父親の反対を押し切って通っていたのは英語で授業がなされる学校であった。この頃から愛国的な詩を作らせると右に出るものがいなかったという。

 

 

この映画が観られるサイト: 

https://einthusan.tv/movie/watch/6418/?lang=hindi#

 

参考資料:

History in a barrack - Indian Express

Bhool Bhulaiyaa

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ヒンディー映画「Bhool Bhulaiyaa」(2007)

配役:

Siddharth Chaturvedi役:Shiney Ahuja
Avni Chaturvedi / Manjulika役:Vidya Balan
精神科医Aditya Shrivastav役Akshay Kumar
Radha役:Ameesha Patel
Batukshankar Upadhyay役:Paresh Rawal
Natwar aka Chhote Pandit役:Rajpal Yadav
Murari役:Asrani
Acharya Yagyaprakash Bharti役:Vikram Gokhale
Badrinarayan 'Badri' Chaturvedi役:Manoj Joshi 
Rasika Joshi as Janki Upadhyay役:
Tarina Patel as Nandini Upadhyay役:
Professor Sharad Prahlad / Shashidhar役:Vineeth
Girja Upadhyay役:Kaveri Jha 
子供の頃のAvni役:Navika Kotia 
Chandu役:Jimit Trivedi ←その後、グジャラート映画で主役をこなしている 

 

ネタバレなどしないあらすじ:

幽霊邸宅に住み着いたベンガルの踊り子Manjulikaが引き起こす奇奇怪怪な出来事をアメリカからやってきた精神科医Adityaが謎解き、幽霊と対峙する話。(←おいっ! シンプルすぎるだろ)

すっかり人任せなあらすじ:

これでインディア 2007年10月

 

小僧的視点:

題名のBhool Bhulaiyaaは「迷宮」とでも訳すべきか。1993年のMalayalam映画「Manichitrathazhu」のリメイクである。

スプラッターモノとかスリラー映画は基本的に好きではないのだが、この映画は幽霊映画でありながらコメディタッチの部分が多いのでまったくもって怖くない。笑いが恐怖を増幅するのではなく、恐怖が笑いを増幅している感もあるくらいだ。
色恋あり、怖いながらも踊りあり、Akshay Kumarお得意のダメなヤツかと思ったらデキるヤツだった的役どころやVidya Balanの演技力の凄まじさも楽しめ、幽霊退治の方法もしごくインド的なおおらかさで
「え? いいのそれで? バレないの? それでオッケーなの?」
思わなくもないが、最後がハッピーエンドなので大変私向きであった。

しいていえばSiddharth役のShiney Ahujaの印象があまりにも薄い。この映画の二年後、メイドからレイプで訴えられて7年の刑を言い渡されて以来下り坂。2015年にボリウッド復帰はしているもののそれほどスター性はこの時も感じられない。
確かにメインの役者はVidya Balan(ヴィディヤー・バーラン)とAkshay Kumar(アクシャイ・クマール)なのだが、もう少し印象強めな役者をSiddharthに据えても良かったと思うし、Chanduの役まわりが今ひとつ中途半端なのでSiddharthと一緒に調査してもいいのになという気もした。

最初ちょっと怖いけど、途中のタイムスリップした後のミゴトな踊りご覧あれ。


さて、この映画での大発見は、Rajpal Yadav(ラジパール・ヤダフ)というコメディアンだった。そんなこと言われても「だれ?」だろうが、頭がヘンになってしまって意味もなく車をとめてみたり、Adityaに相談したら水を避けるようにいわれてお風呂に入らなかったNatwar aka Chhote Pandit役の役者さんだ。
なにがどう大発見かというと、数年前のHoli(春祭り)の時にSMSで誰かがあげていたこんな感じの画像。

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「Holiの色粉遊び、自分では左(Ranveer)だと思ってるかもしれないけど、客観的に見るとこうなってるよ」
みたいなキャプションがつけられていて、つい笑ってしまったのだがこの「客観的バージョン」がこの映画から来ていることをはじめて知ったのである。
ベタな感じのコメディを得意のする役者さんのようだが、日本でいうと志村けん的なのだろうか? 以降、もうすこし気を付けて観て確認してみようと思う。

 

ロケ地

撮影はウッタル・プラデーシュ州、ラジャスタン州、カルナータカ州など。

 

ロケ地
Chomu Palace Hotel (Chomu,Rajasthan)

幽霊マンションの外観は、ジャイプールの北32km車で1時間ほどのところにあるChomuという村にあるホテル。

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ロケ地
Amber Fort (Jaipur,  Rajasthan)

SiddharthとRadhaが抱き合っているのはガネーシュ門(Ganesh Pol)の前。f:id:bokenkozo:20180708153511j:plain

Diwan-i-Khasのあたりも映っている。f:id:bokenkozo:20180708153529j:plain

 

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ロケ地
 Chand Bawri Step Well (Abhaneri, Rajasthan)

紫と赤のサリーをまとったバックダンサーたちが 、階段井戸に並んで踊る様子は圧巻。とても効果的な使われようだと思う。

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ロケ地
 Vanaras (UP)

冒頭の部分は ガンジス河の川べりで撮影されている。
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その後、何度かガートだとされる場面が出て来るけれど

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 まったくバラナシのガートっぽくないので、役者連中はバラナシへは行っていないのではないか疑惑。

 

ロケ地
Kannada (Karnataka) 

 Aditya(アクシャイ・クマール)がAvni(ヴィディヤー・バーラン)の育った場所であるMalikapurへChandu(ジミット・トリヴェディ)と共に行くシーン。

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遠回りな旅

Aditya(アクシャイ・クマール)がAvni(ヴィディヤー・バーラン)が育ったMalikapurへ行く場面があった。
Chanduの台詞によるとMalikapurは「国の中央」なのだ。
地図で探してみるとウッタル・プラデーシュ州にも西ベンガル州にもオリッサ州にもその地名がある。
ベンガルの踊り子Manjulikaがとりついたという設定なのでベンガル語を話すという点からも、ここは西ベンガルを採用したいところなのだが、西ベンガルは国の東であって中央ではない。ただ、縦方向の位置的に北か南かといえば中央ではある。

とまぁ、考えあぐねるところではあるが、いずれにせよバスの上部に「Kannada」とあり、ナンバープレートも「KA」になっているので国の南のKarnataka州で撮影されているのは間違いない。

youtu.be

北インドのバラナシから南のカルナタカ経由で東のコルカタに行ったのだろう。

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相当な遠回りだが、映画は夢をみるためのもの。そういうことにしておこう(←あくまでも夢は壊さない主義)

 

 

 

この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/0464/?lang=hindi

 

メワールとマルワール

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マルワリ商人のハヴェリ(邸宅)


最近、「Veer」という映画のことを書いたのだけれど、その中にマルワール地方というのが出てきた。いったいどこなんだよ? マルワールとメワールってカタカナ表記の違いだけで実は同じもの?
私のようなインドと歴史素人はこういった疑問を抱いてしまうので、メワールとマルワール、そしてラジプートについてまとめておく。

メワール(Mewar)とマルワール(Marwar

なんとなく響きも綴りも似ていて混同しがちなのだけれど、メワール(Mewar)とマルワール(Marwar)は実はまったく違うものだ。

メワール(Mewar)はラジャスタン中南部の地域でBhilwara、Rajsamand、Chittorgarh、Udaipur、Tehsil Pirawa of Jhalawar District、Neemuch and Mandsaur districts of Madhya Pradesh、Gujaratのいくつかの地域。
メワールは「メダパタ」という地域の名前からきていて、メダパタはメダ族というその地域に住む部族の名前から。

マルワールはBarmer、Jalore、Nagaur、Jodhpur、Pali、Sikarの一部地域。
マルワールはサンスクリット語の「マル(砂漠)」とラジャスタン語の「ワド(地域)」からきていて砂漠地域とでもなろうか。
……とか書いてもなかなかイメージしにくいので、地図にマッピングしてみた。

赤がメルワール、紫がマルワールだ。

どちらの地域もラジプート族の地なのだけれど、1950年にラジャスタン州となるまでの過程も言語も違う。 


メワール王国は734年Bappa Rawalが建国。戦、敗戦、王位継承、設立といった歴史。
Sonar, Lohars, Bhilsといった職人さんはMewarの人たちで、Mewari(メワール人)の性質的には大胆さがあげられる。言語はデーヴァナーガリー語からの影響を受けたメワール語。
有名なお祭りは夫婦の絆を強め、未婚の女性はすてきな夫とめぐりあえるようにと行うGangaurで季節は春。

 

マルワールは6世紀にGurjara Pratiharaがジョドプールから9km離れたマンドールを都として建国。王位継承というよりもムガール帝国とラジプートがとっかえひっかえ治めたという歴史のある地域。
また、Birlas(ビルラー)をはじめとしたKhandelwal、 Agrawal、Maheshwari, ジャイナ教徒、Gahoi of Marwar、Bajajs, Goenkas Singhaniasなどのビジネスマングループがこの人たちだ。Marwari(マルワリ人)は性質的には当たりが柔らかく、どちらかというと菜食を好む。サンスクリット語とマハジャニ語からの影響を受けた言語を用いている。有名なお祭りはモンスーンの到来を祝うTeej。

 

ラジプート

吟遊詩人、弾唱詩人による伝承なので事実をたどることはできないが、ラジプートの家系は太陽、月、火という3つの別々の起源をもっているとされる。
マハーバーラタ」に述べられている伝承上の太陽や月の家系、そしてグジャラート州にあるアーブー山で賢者ヴァシシュタが守ってきたという「犠牲の火」に先祖をたどる家系だ。 

太陽系はウダイプールとチットールガルのシソーディア(Sisodias)家、ジョドプールとビカネールのラトール(Rathores)家、アンベールとジャイプールのカチワーハー家(Kachawas)。
月系はジャイサルメールのバティ(Bhattis)家
「犠牲の火」の系列はプラティーハーラ家、パラマーラ家、チャウハーン家などである。

 

理解が深まってから「Veer」を観るならこちらから。


 

参考記事:


 

 

Veer

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ヒンディー映画「Veer」(2010)

配役:

Veerの父親Prithvi Singh役:Mithun Chakraborty
Madhavghar王、Yashodharaの父親Gyanendra Singh役:Jackie Shroff
Veer Pratap Singh役:Salman Khan
Veerの弟Punya Pratap Singh役:Sohail Khan
Yashodhara王女役:Zareen Khan
Yashodharaの兄Gajendra Singh役:Puru Raajkumar
Lady Angela Fraser(James Fraser知事の妻)役:Lisa Lazarus
ラジャスタン知事James Fraser役:Tim James Lawrence

 

 

 

すっかり人任せなあらすじ:

 ピンダーリという武装集団に属する架空の英雄Veerの物語。

これでインディア 2010年1月

 

小僧的視点:

興行的に大コケだったのには、19世紀当時には着ていないはずの衣装、話していないはずの言葉など時代考証がずさんだった以外にも、予告編の作りがよくなかったこともあると思う。
「部族間の復讐よりも祖国のことの方が大事じゃないのか? という地球人的俯瞰的発想が素敵だなぁ」
観終わった後に予告編を検索したのだが、これを観たら
「別に観たくないな」
思ったに違いないシロモノだった。

 全然観たくならない予告編。

 

色恋もあるし、踊るし、最後に救いもあるし(ただ、孫がやけにオッサンくさいのは否めない)、楽しめる映画なのにもったいないと思う。

踊りがイマイチなのであまりSalman Khanを評価していなかったのだけれど、なぜかこの映画ではじめて「あれ? もしかしてカッコイイ?」と勘違いできた次第である。 

 

Pindaris
VeerはThe Pindaris(ピンダーリ पिण्डारी / पिंडारी)だという設定だった。
Pindariとはムガール帝国崩壊後の18世紀にパターン族やジャート族などによって形成された武装騎馬集団 で、当時デカン高原から北インドまでを支配下に置いていたマラーター同盟と組んでみたり離れてみたりしながら、インド亜大陸を植民地化しようとする英国と戦った。Pindariのリーダー達は主にモスリムだがさまざまな階級から集められたため、宗教はさまざま。特に給料というのはなく、敵からの強奪によって日々の生計を立てていたようだ。
ピンダーリが主に活躍をしたのはマルワール地方(現在のマディヤ・プラデーシュ州南西部)で、英国と手を結んだラージプート族がMadhavgharの王Gyanendra Singh(ジャッキー・シュロフ)という設定だった。

マルワール地方ってなんぞ? という場合は以下をどうぞ。

 
 
 

 

ロケ地

撮影はマハーラーシュトラ州、ラジャスタン州、マディヤ・プラデーシュ州と英国にて。

 

ロケ地
Munbai (Maharashtra)

大学の場面は当初PuneにあるEngineering and the Agricultural Collegeで撮影される予定だったのが豚インフルエンザのためにムンバイに変更された。  


 

ロケ地
Madhavgarh (Madhya Pradesh)

冒頭の駅はここ

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ロケ地
Amber Fort  (Jaipur, Rajasthan)

婿選びの儀式「スワヤンヴァル」が行われたのも、VeerとGyanendra Singhの戦闘シーンもここ。
撮影時に屋根を壊したり、作ってはいけないところに壁築いたりと相当やらかし、ラジャスタンの最高裁から撮影停止を求められた。(罰金払ってから撮影再開)

 

 

 

ロケ地
Chandra Mahal Palace (City palace complex Jaipur, Rajasthan)

Gyanendra Singhに招待されてVeerとPunyaが赴いた宮殿で、PunyaがAngelaの気をひこうとしたシーン。

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シティパレスの中にあるこの宮殿は「Moon Palace月の宮殿)」 として知られている。

 

 

ロケ地
 Bikaner ( Bikaner, Rajasthan)

 砂漠のシーン

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ロケ地(ロンドン編)
Somerset House (London, England)
The Historic Dockyard Chatham
Wansford Station
Drapers' Hall
Rochester Castle and Cathedral

 これらの歌の中に出て来る全部ひっくるめてしまったのは、イギリスがいつも雨でいつも寒いからあまり好きじゃないとか、イギリス人の二枚舌外交と卑怯っぷりが相容れないとか、そういうことでは決してない。 

 

Veer2
一作目が大コケしたのに、Veer2が2020に公開予定らしい。

youtu.be

 

 

この映画が観られるサイト: 

https://einthusan.tv/movie/watch/1035/?lang=hindi