ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

メワールとマルワール

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マルワリ商人のハヴェリ(邸宅)


最近、「Veer」という映画のことを書いたのだけれど、その中にマルワール地方というのが出てきた。いったいどこなんだよ? マルワールとメワールってカタカナ表記の違いだけで実は同じもの?
私のようなインドと歴史素人はこういった疑問を抱いてしまうので、メワールとマルワール、そしてラジプートについてまとめておく。

メワール(Mewar)とマルワール(Marwar

なんとなく響きも綴りも似ていて混同しがちなのだけれど、メワール(Mewar)とマルワール(Marwar)は実はまったく違うものだ。

メワール(Mewar)はラジャスタン中南部の地域でBhilwara、Rajsamand、Chittorgarh、Udaipur、Tehsil Pirawa of Jhalawar District、Neemuch and Mandsaur districts of Madhya Pradesh、Gujaratのいくつかの地域。
メワールは「メダパタ」という地域の名前からきていて、メダパタはメダ族というその地域に住む部族の名前から。

マルワールはBarmer、Jalore、Nagaur、Jodhpur、Pali、Sikarの一部地域。
マルワールはサンスクリット語の「マル(砂漠)」とラジャスタン語の「ワド(地域)」からきていて砂漠地域とでもなろうか。
……とか書いてもなかなかイメージしにくいので、地図にマッピングしてみた。

赤がメルワール、紫がマルワールだ。

どちらの地域もラジプート族の地なのだけれど、1950年にラジャスタン州となるまでの過程も言語も違う。 


メワール王国は734年Bappa Rawalが建国。戦、敗戦、王位継承、設立といった歴史。
Sonar, Lohars, Bhilsといった職人さんはMewarの人たちで、Mewari(メワール人)の性質的には大胆さがあげられる。言語はデーヴァナーガリー語からの影響を受けたメワール語。
有名なお祭りは夫婦の絆を強め、未婚の女性はすてきな夫とめぐりあえるようにと行うGangaurで季節は春。

 

マルワールは6世紀にGurjara Pratiharaがジョドプールから9km離れたマンドールを都として建国。王位継承というよりもムガール帝国とラジプートがとっかえひっかえ治めたという歴史のある地域。
また、Birlas(ビルラー)をはじめとしたKhandelwal、 Agrawal、Maheshwari, ジャイナ教徒、Gahoi of Marwar、Bajajs, Goenkas Singhaniasなどのビジネスマングループがこの人たちだ。Marwari(マルワリ人)は性質的には当たりが柔らかく、どちらかというと菜食を好む。サンスクリット語とマハジャニ語からの影響を受けた言語を用いている。有名なお祭りはモンスーンの到来を祝うTeej。

 

ラジプート

吟遊詩人、弾唱詩人による伝承なので事実をたどることはできないが、ラジプートの家系は太陽、月、火という3つの別々の起源をもっているとされる。
マハーバーラタ」に述べられている伝承上の太陽や月の家系、そしてグジャラート州にあるアーブー山で賢者ヴァシシュタが守ってきたという「犠牲の火」に先祖をたどる家系だ。 

太陽系はウダイプールとチットールガルのシソーディア(Sisodias)家、ジョドプールとビカネールのラトール(Rathores)家、アンベールとジャイプールのカチワーハー家(Kachawas)。
月系はジャイサルメールのバティ(Bhattis)家
「犠牲の火」の系列はプラティーハーラ家、パラマーラ家、チャウハーン家などである。

 

理解が深まってから「Veer」を観るならこちらから。


 

参考記事: