ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

台湾のお葬式

日本ではおごそかに行われるお葬式も、台湾では結婚式と同じくハデハデでとてもうるさい。

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今でこそ台湾の人の平均寿命は男性は77.01歳、女性は83.62歳(2016年)とあがってきてはいるが、私が台湾に住み始めた当時は70代前半だった。
だから、80歳を過ぎて亡くなった人のお葬式は、一種のお祭り状態。
「よくぞ、ここまで長生きした!」ということで、いわばお祝いなのである。
さすがに結婚式で見られるようなストリップショーまではないけれど、鐘や太鼓にマイク演説。さながら選挙演説のような賑わいをみせる。

台湾には「借人死、母借人生」ということわざがあって、「死ぬ場所は貸しても、生む場所は貸さない」というもの。
台湾の人は「不幸なことが終われば、次に幸運が回ってくるのが宇宙の真理」と信じている。
もしも、近所の人や友達に葬儀場として自分の家を貸せば、自分の家の不幸なことが1つ終わる計算になるので、お葬式をする場所は誰でも喜んで貸してくれる。
でも反対に子供を産む場所、または子供が生まれたことを祝う宴会の場所として自分の家を貸すと、おめでたい事が1つ終わってしまう計算になるので絶対に貸してはくれない。
台湾で産気づいた場合は、とにかく119番で救急車を呼んで病院へ行くべきなのである。

観光で台湾へ行って葬式に出ることはめったにないだろうけれど、参列の者は日本でいう黒い喪服を着る必要もなく、暗めの色であれば紺でも茶色でも大丈夫。
香典は日本と同じく白い袋に入れるのだが、日本人は香典でもお祝いでもお金をみんな白い封筒に入れるので
「はじめて日本人からお祝いのお金をもらった時、なんの嫌がらせかと思った」
赤い袋はご祝儀、白い封筒は香典……がしみついている台湾の人がびっくりするのも無理はない。

ちなみに80歳以下でが亡くなった場合は、お祝いではないので鐘や太鼓はナシ。代わりに『泣き屋』というプロのおねぇさん、おばさま方が勢揃いして大泣きするので、やはりウルサイことに変わりはないのである。