ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

Land Of Widows

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インド(英語)ドキュメンタリー映画Land Of Widows」(2011)

配役:

Shreeji ka Kheda村のみなさん  

ネタバレしまくりなあらすじ:

Aarti Shrivastava監督によるインド・ラジャスタン州の違法採石場で働く労働者達の耐えがたい環境にフォーカスしたドキュメンタリー映画
ラジャスタンといえば、インドを訪れるほとんどの観光客が向かう観光のメッカだ。舞台となっているのはそのラジャスタン州Bhilwara近郊にある、180人ほどが暮らすShreeji ka Khedaという村で、村民はほとんどが未亡人とその子供。まさに「Land Of Widows(未亡人の地)」であり、男性は片手で数えられるほどしかいない。

村の男たちはこの10年間に雨後の筍の増えた違法な採石場できちんとした書類もなく違法に雇い入れられ、1日100円ほどの賃金で安全靴のかわりに素足かサンダル、手袋もヘルメットもない装備で発破作業などを行っている。
採石場で働く労働者の職業病としてはノイローゼ、珪(けい)肺症、結核石綿症、喘息があげられるが、ここ数年で村の60世帯のうち70人以上が珪(けい)肺症で命を落としている。いつか自分の命が奪われることがわかっていても死よりも怖い貧困の前にはなすすべもなく、男たちは違法な採石場へと仕事を求める。貧困で食べるものがなければ、子供たちの命が先に奪われるからだ。
この村で起きていることはほんの一例であり、インドじゅうに散らばる政治の腐敗と欲にまみれる違法採石場では今も同じことが起きている。労働者たちができることといえば、より良き明日への希望を持つことだけ。
「命の値段は安く、死はもっと安い」
労働者とその家族の未来には暗い影がのしかかっている。 

小僧的視点:

ラジャスタンで撮影がなされた映画の一覧を観ていたら、偶然目にとまったのでうっかり観てしまったドキュメンタリー映画

観光に携わる身なので、やれスタールビーだなんじゃかんじゃとラジャスタンの”石”に関わることがあるのだけれど、同じ石でも建築資材に使われる石や大理石の採石場が、こんなことになっているとは思いもしなかった。
カラフルで底抜けに明るいラジャスタンのイメージとは裏腹な現実は、とても勉強になった。

ラジャスタンにあるクリニックの医師が珪(けい)肺症の知識なく治療していたのは
「んまぁ、そんなこともあるかな」
だったが、医学部を出ていないだの学校にも行っていない”クリニックの主”が相当数いるのには正直びっくりした。
台湾の病院の看板にどこどこ大学卒業の医師などと大書してあって、こうでもしないと学歴詐称が横行しちゃうんだなとか理解して笑っていたけれど、それどころの話ではない。ニセ医者の横行である。


インドのヒンズー教徒のお葬式は火葬だが、それを執り行う際に女性は参加しないのが普通だ。しかし、未亡人ばかりのこの村では他の村から男衆に来てもらわなければ、葬式も出せない。映画のポスターのごとく、インドのお葬式では家族や参列者は白か淡い色の服を着るのが普通だが、未亡人達が葬式の時も普段のカラフルなサリーを身にまとっていたことに「あれ?」と思った。
未亡人は紺や黒など暗い色の服を着て一生暮らすときいていたが、二人の男性をのぞいて全員未亡人のこの村では「未亡人でない女性」の方が異質であり、すでにどうでもいいことなのかもしれない。

たった21分間の作品なのでごちゃごちゃ書くよりも観てもらった方が早い。

 

ロケ地
 Shreeji ka Kheda Village ( Outskirts of Bhilwara, Rajasthan)

ビルワラ郊外の村、検索しても地図には出てこない。だいたいの場所はこのあたり。 

 

 

この映画が観られるのは:ここ↓


Land Of Widows

 

 関係サイト:

shreejikakheda.wordpress.com