ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

Harud

 

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ウルドゥ映画「Harud」(2012)
邦題:兄の見た風景

配役:

父親Yusuf役: Mohammad Amir Naji
Rafiq役:Shahnawaz Bhat
母親Fatima役:Shamim Basharat
Shaheen役:Salma Ashai
Ishaq役:Mudessir Ahmed Khan

ネタバレしない程度のあらすじ

舞台は現代のカシミールRafiqは観光写真を撮るカメラマンのTauqirの死を受け入れようと努めていた。Tauqirはカシミール動乱後に居なくなった何千という若者のうちの一人だった。Rafiqは国境を越えてパキスタンで軍人になろうと試みるが失敗し、カシミールに戻るも心に残るのは空虚な思いだけ。ところが、ある日偶然にも兄の遺品であるカメラを見つけ、事態は動き出してゆく。

小僧的視点

Harudとは日本語で「秋」という意味。
政治・社会問題をテーマにした映画はお気に入り俳優でも出ていなければほとんど観ない私が、まったくお気に入りの俳優がいないこの映画を観ることになったのはカシミール人との雑談がきっかけだった。

カシミールといえばカシミールが舞台になった「Haider」か、カシミールで撮影したくせにパキスタンだと主張する「 Bajrangi Bhaijaan」しか思いつかないのだが
「Haiderなんて、5%しかカシミールで撮影されてない」
カシミール人が吐いて捨てるように言うので、じゃぁ、純カシミールで良い映画があれば教えてくれと頼んだところ、この映画を薦められたのである。

せつなさ、笑い、踊り、ハッピーエンド、時空越え、……私が映画に求める5大要素のうち、この映画にあったものはせつなさのみ。1時間40分の尺なのに、見終わったらどっと疲れてしまったものの、確かに
カシミールとはどんなところなのか」
というのが、タイトル通りカシミールの秋の風景とともに把握できることは確か。

多分、自力ではまず観ない映画だっただけに出会いには感謝するし、そういえばこの似たような映画を観たなぁと思い出した。「Sarbjit」だ。
印パ国境といえば、アムリトサルから行くバガー国境の国旗上げ下ろし時の馬鹿騒ぎしかしらないけれど、「Sarbjit」を見る限り、ここからがインドでここからがパキスタンですという線引きはそれこそ、工事中の道路にある三角コーンくらいの石の目印がポンポンと置いてある程度だった。

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インドからのぞむ、パキスタン国境

うっかり酔っぱらって国境線を越えて寝こけていたら、パキスタン側でしょっぴかれ、政治犯じゃないのに拷問され「そうだっていえば拷問終わる」にほだされて「そうだ」ってうっかりいってしまって、それから仲間に暴行されて死ぬまでずっと牢屋というストーリーだったのだけれど、この映画の主人公の兄Tauqirにだって同じようなことが起きていないとも限らない。
全然違う映画なのになぜかリンクして考えてしまうのである。

この映画が観られるサイト:
https://einthusan.tv/movie/watch/1340/?lang=hindi

ウルドゥ語でサブタイトルないけれど、雰囲気だけならここから