ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

Parmanu: The Story of Pokhran

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ヒンディー映画「Parmanu: The Story of Pokhran」(2018)

配役:

Ashwat Raina役:John Abraham ←プロデューサーでもある
Capt. Ambalika Bandyopadhyay役:Diana Penty
Himanshu Shukla首相第一秘書役:Boman Irani
Dr. Viraf Wadia役:Aditya Hitkari
Prem Singh少佐役:Vikas Kumar
Dr. Naresh Sinha役:Yogendra Tiku
Puru Ranganathan役:Ajay Shankar 
Ashwatの妻Sushma Raina役: Anuja Sathe
パキスタンのスパイ役:Darshan Pandya
Stephen役:Zachary Coffin
Daniel役:Mark Bennington
前・首相第一秘書官Suresh Yadav役:Satinder Singh Gahlot

 

ネタバレしっぱなしのシンプルなあらすじ:

インド・ラジャスタン州のポカランで1998年に行われた2回目の核実験という史実に基づいた映画。中国が43回の実験をこなしているかたわら、インドは西側諸国やパキスタンからのプレッシャーのもと1975年に1度実験を行ったのみだった。
アメリカの監視衛星の軌道を計算し、その監視の目が届かない時間帯だけに目を盗んで作業を続け、カシミール紛争で各国の視線をカシミールへ誘導しつつ、Ashwat Raina(ジョン・エイブラハム)を中心としたチームがラジャスタン州で核実験を極秘裏に準備、CIAをはじめパキスタンのスパイたちの鼻をあかしてインドの国力を世界に知らしめた。

 

小僧的視点:

以前観た「Dor」という映画で出てきたPokhran PalaceがどうやらPokhran Fortのようなので名前に惹かれて観てみた。

しかして、インドがこっそり核実験を行った裏側に、こんな忍者まがいのからくりがあったとは!
監視衛星が巡って来る時間が昼間なので、どうしても秘密裡に夜作業することになるわけだが、もともと寝坊助で夜型のインド人にピッタリじゃないか! などとくだらないことを思ったりも。

 

 

Operation Shakti-98 10の豆知識

1. インドのラジャスタン州、ジャイサルメール地方に属するPokhran。その地名には5つの塩脈が存在することから、 “the land of five mirages(五つの蜃気楼の地)”という意味がある。

2. 核実験の準備は実験の約10日前から始まった。ムンバイのBARCから核爆弾がPokhranへと搬送されたがの5/1のことだった。たった4台のトラックが使われ、ほとんど誰にも気付かれなかった。

3. プロジェクトの代表コーディネーターは首相への科学的アドバイザーで、のちにインドの大統領となったDr. APJ Abdul Kalamであった。

以前観た「I am Kalam」でChhotuが勝手に名前を自分につけた、あのKalamである。


4. 世界のたくさんの国、特にアメリカはインドが核を保有してほしくないと思っており、「Eye in the Sky」という監視衛星を10億ドルを投じて配備。インドは1982年から1998年までこの監視にはばまれて実験を遂行できずにいた。

5. この計画について知っていた政策決定者は9名のみであった。

6. 1995年、PV Narshimha Rao首相が核実験に関する技術者を設定し、始動しようとした時点でアメリカ大統領Bill Clintonからプレッシャーがかけられて延期となった。

7. Pokhranは軍人がたくさんいる場所で、科学者たちはカモフラージュのために迷彩服を着用した。 Dr APJ Abdul Kalamはコードネームで「Major General Prithviraj」と呼ばれた。

8. この実験にはさまざまな名前がつけられているものの、正式な名前は「Operation Shakti-98 (Power-98)」である。5つの核爆弾はShakti-I、Shakti- II、 Shakti-III、Shakti-IV 、Shakti-Vと名付けられた。

9. 実験場に入るためのパスワードは「Din dhal jaye」という映画「Guide(1965)」の曲の歌詞からとられていた。


 

 10. 核実験に各国が反対するなか、支持したのはイスラエルのみだった。

 

 

 

Mark Bennington
CIAの諜報部員Danielを演じていたMark Bennington。カタコトのヒンズー語を話すのでナニモノなのだろうと思って調べてみたら、もともとは国際的に有名なアメリカ人写真家であった。
かと思うとテレビドラマの「Star Trek: Voyager」にも出ていたし、ボリウッド映画「Detective Byomkesh Bakshy! (2015)」でもみかけたことがある。
どうやらゴアで知り合ったインド人学者さんと2013年に結婚してMumbaiに住んでいるようだ。

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Puneでの結婚式の様子

以前、「Lagaan(2001)」という映画で、6か月ヒンズー語を勉強してAndrew役にのぞんだPaul Blackthorneのことを「さすが、島国とはいえヨーロッパ人。アメリカ人ではこうはいかない」と書いた覚えがあるのだが、


まさしく「こうはいかない」そのものであった。
写真家としてのMark Benningtonの写真はご本人のWebサイトで閲覧可。ボリウッドの役者を撮影した作品もある。
Mark Bennington: Portrait photographer + New York City / Mumbai

 

ロケ地:

撮影はデリー、マハーラーシュトラ州、ラジャスタン州にて。

参考記事:

The reports also stated that, besides the Pokhran Fort, the other important locations where the film will be shot include RTDC Midway, Aada Bazaar, Gandhi Chowk Main Market and Gomat railway station. 

ロケ地
Rashtrapati Bhavan President's Estate (New Delhi, Delhi)

要は大統領官邸。

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ロケ地
Pokhran Fort (Pokhran, Rajasthan)

ポカランはラジャスタンのタール砂漠にある人里離れたところで、核兵器開発計画のための実験場。
1974年5月18日、1998年5月13日の二回、インド初の核兵器を地下100m以下の深さで爆発させる核実験が行われた。パキスタンとの国境に近く、人口密度が低いことからここが選ばれた。
1974年の核実験の際はコードネームから微笑むブッダ (Smiling Buddha) と呼ばれ、核実験成功の際には「Buddha is smiling」 という電報が打たれた。1998年のコードネームはShakti
砦といいつつ、現在はヘリテージ・ホテルになっているところ。ホテルのブログ(Parmanu: The story of Pokhran)によれば、役者連中はここに宿泊していたようだ。

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ロケ地
 Gomat Railway Station (Jaisalmer, Rajasthan)

 列車のシーン

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ロケ地?
 Aada Bazaar (Rajasthan)

 Ada BazaarといえばJodhpurが思い浮かぶのだが、洋服屋や宝石店だらけのこのエリアが映っている場面が特定できず。PokhranもJaisalmerエリアになるのでPokhranのAada Bazaarだったりするのかもしれない。
どちらにしてもRajasthanに間違いはないが、地図は鵜呑み禁止。

 

ロケ地
 Gandhi Chowk Main Market (Jaisalmer, Rajasthan)

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ロケ地
 Jaisalmer Fort (Jaisalmer, Rajasthan)

AshwatがPokhranに到着したシーン、実はJaisalmer。

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ロケ地
Midtown Restaurant  (Jaisalmer, Rajasthan)

 CIAのスパイDanielとパキスタンのスパイが食事をするシーンで数回登場。

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ロケ地
Motel Pokaran - RTDC/ RTDC Midway (Pokhran, Rajasthan)

 Ashwatとパキスタンのスパイ達が泊まっていたことになっているゲストハウスはここ。ホテルもあるが、ドライブインでもある。

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この映画が観られるサイト:

Parmanu: The Story Of Pokhran (2018) Hindi in HD - Einthusan

 

Sonu Ke Titu Ki Sweety

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ヒンディー映画「Sonu Ke Titu Ki Sweety」(2018)

配役:

Tituの親友Sonu Sharma役:Kartik Aaryan 
Sonuの親友Titu Sharma役:Sunny Singh
Sweety Sharma役:Nushrat Bharucha
Tituの祖父Ghasitaram Sharma役:Alok Nath
Tituの祖母の兄Lalu Kaka役:Virendra Saxena
Tituの祖母役:Madhumalti Kapoor
Pihu役:Ishita Raj Sharma(特別出演)
Sweetyの母Renu Sharma役:Deepika Amin
Sweetyの父役:Rajesh Jais
Tituの母役:Ayesha Raza Mishra
Tituの父役:Pawan Chopra 
Babu役:Pritam Jaiswal
Sonalli Sehgall(特別出演)
Sakshi Malik (「Bom Diggy Diggy」という曲の中での特別出演)


 

ネタバレしない程度のあらすじ:

 

幼なじみでのSonu(カルティク・アールヤン)とTitu(サニー・シン・ニッジャル)は大の仲良しで、TituがいじめられればSonuがかばうという関係。Tituが恋人のPihu(イシター・ラージ・シャルマー)に泣かされれば、二人を別れさせたりもするといった具合だ。

ガールフレンドと別れて心の傷が癒えないTituだったが、ある日見合い話が持ち上がる。見合い相手のSweety(ヌスラト・バルーチャー)は優しくて子供好きでNGOで働いており、絵に描いたような家庭的で理想のお嫁さんといった女性だった。Tituはすっかり惚れ込んで、結婚に向けて話は進みはじめる。

そんなTituの結婚話をSonuは懐疑的に思っていた。仲良しのTituが自分から離れていってしまう寂しさもあるが、Sweetyがあまりにも理想的で非の打ちようがないのでかえって「なにか裏があるのでは?」と思ってしまったのだ。
SonuはSweetyが前のボーイフレンドに暴行を加えてひどい仕打ちをしたことをあばいたり、あらゆる手を使って結婚の邪魔をするが、賢いSweetyはそれを巧妙にかわして行く。
婚約が無事済んだその夜、Sweetyが計略的でズル賢いことに気付き、Tituを護らねばと思ったSonuに「結婚を壊せるものなら壊してみたら? 私はTituの人生からあなたを葬り去ってやる」と挑発。SonuとSweetyの水面下での大戦争がはじまった!
男同士の友情が勝つのか? 男女のロマンスがやはり勝つのだろうか?

 

小僧的視点:

恋愛における男性の本音もりだくさんの「Pyaar Ka Punchnama (2011)」や「Pyaar Ka Punchnama 2(2015)」のLuv Ranjan(ラヴ・ランジャン)監督作品。同じ役者を採用しているのでシリーズものといえばくくれるけれど、続編ではない。

相当に計算高い女性が相手とはいえ親友の結婚を妨害するというストーリーであるにもかかわらず、作品を通してコミカルなタッチで陰湿さはまったくない。根底にあるのは頼りないTituとそれを護ってきたSonu二人の友情だからなのだろうか。

最後にプールサイドでTituがこぼしていた
「婚約をした日の夜に、SweetyがSonuを追い出すって言ったって僕に言えば、こんな無駄なお金がかからなかったのに」
この台詞が映画を観ている間じゅう私がずっと考えていたことを代弁するのだけれど、これを言ってしまってはこの映画自体が成り立たないのである。にしても、うまい。この台詞で心の中の緊張がスキっとおちる。(←オマエだけだ!) 

 

色恋あり、踊りあり 

最後はほろ苦いけれどハッピーエンド、男女というより人間臭さたっぷりで、前作、前々作よりもさらに楽しめた。

 

Kartik Aaryan

微笑みつつ妨害を進めていくSonu役のKartik Aaryan。時々、角度によっては若かりし日のShahid Kapoorっぽく見えないこともない。

 

「 Shahidかも? Shahidかも?」と思って観ると、そんな風に見えて来る不思議。

視線での芝居もそこそこできるのに、このシリーズにしか出演しておらず他の映画には出ていない。もう少したつと垢ぬけてくるのかな?

 

 

お嫁んさん選びインタビュー


Tituのお嫁さんを選ぶためのSonuによるインタビューという設定。
お嫁さん候補者が次々出現するのだが、演じているのは全員部Sweety役のNushrat Bharuchaだ。
最初に来るのはインスタグラムやSNSに夢中のスマホ女子、次に来るのは儀式道具持参の宗教どっぷり女子、次はボリウッド映画狂い女子、最後にやっとNGOで働く子供好きというまともな女子(すなわちSweety)がやってきて
「ねー、もう彼女でOK出してよ」
TituがSonuに懇願し、OKが出るかどうかは劇場でね! という流れ。

映画の予告編、プロモーションとしては秀逸。「ハッシュタグ  早く話せ」「ハッシュタグ インタビュー」とかの切り返しが相当笑えた。

 

ロケ地:

撮影はデリー、ウッタル・プラデーシュ州、マハーラーシュトラ州、ウッタラカンド州、グルジアなどにて。

 

ロケ地
India Gate (Delhi)

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ロケ地
 Mumbai (Maharashtra)

 

 

 

ロケ地
Rishikesh (Uttarakhand)

 TituとSweetyのデートにSonuがついていき、ラフティングなどをするシーンがRishikesh。

 

ロケ地
Mahagun Moderne (Noida, Uttar Pradesh)
Mahagun Marvella (Noida, Uttar Pradesh)

 Tituの家のシーン。要は分譲マンション(Mahagun Marvella Sector-78 Noida)だが、プールなどもある。「Pyaar Ka Punchnama」や「Pyaar Ka Punchnama 2」の時も主人公達の住む場所は、Noidaのアパートという設定だったように思う。

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ロケ地
Georgia

独身最後の旅行でアムステルダムへ行ったはずなのに、なぜグルジアで撮影されているのか。それはFilm in Georgiaというプログラムがあるからだ。
雇用創出や地域振興のためにグルジア政府が映画のロケを誘致しており、映画製作会社に20~25%のキャッシュバックがあるため製作費用削減につながるようだ。
Amsterdamなのだからグルジアのどこと特定されるような撮り方がなされていない。

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この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/7qe6/?lang=hindi

 

Pad Man

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ヒンディー映画「Pad Man」(2018)

配役:

Lakshmikant Chauhan役:Akshay Kumar
Pari Walia役:Sonam Kapoor
Gayatri Chauhan役:Radhika Apte
Tinku's mother役:Riva Bubber
Savitri役:Urmila Mahanta
発明賞表彰式のゲスト役:Amitabh Bachchan(特別出演) 

 

 


 冒頭の歌詞の「すっぱりひーろー」の連呼は「Super Hero」のこと。インドは書いてある通りに発音するのがお約束だ。「Gun(拳銃)」は「ぐん」であって「がん」ではない。オーストラリアの「とぅだい いず ぐっだい まいと(Today is good day, mate) 」と同じで慣れればなんということはないが、それまではインド英語は難しい……。

ネタバレしない程度のあらすじ:

Madhya Pradesh州の製鉄工場で働くLakshmiことLakshmikant Chauhan(アクシャイ・クマール)は、学はないけれど頭の回転が早く、器用なアイディアマン。新婚の愛妻Gayatri(ラーディカー・アープテー)が玉ネギを切って涙を流しているのを見れば、子供のオモチャを改良して自動玉ネギ刻み機を作るといった具合だ。

ある日、Gayatriが突然母屋から離れへと行ってしまい、不審に思ったLakshmiが後を追おうとすると家族が行くなと引き留める。聴く耳持たずでLakshmiが離れへ行ってみると、生理中の女性は不浄なので”隔離”されなければならず、生理期間中の女性に男性は触れてはいけないといった習慣を知る。またGayatriが布きれを生理用ナプキンのかわりに使い、その布切れを恥ずかしいのでサリーの下に隠して干し、太陽にもさらさないでいるという事実が判明。
そんなことをしていては病気になってしまうという近所の医師の意見もあり、Gayatriの身体を心配したLakshmiが薬局にナプキンを買いにいくも55ルピーと驚くほど高価だった。友達に15ルピーを借りてまで買って帰ったものの、Gayatriはそんな高価なものは使えないし、牛乳代にも事欠いてしまうから返品してくるようにと断る。買った薬局は返品を受け付けない店だったためラクシュミーは誰も使わない生理用ナプキンを見本に自作しようと、村で手に入る材料を「サンプル」としてタダで集める。

試行錯誤の末に試作品を完成させるも、試作品を使ってくれる人がいない。妻ですら家族への遠慮から使おうとせず、実の姉にも断られる。なんとか試作品を使ってもらおうと医学校の生徒にアプローチしているところを近所の人が見て、医学生と浮気していると勘違いされたり、近所の初潮を迎えた少女に試作品を提供しようとしたところ夜這いと勘違いされたりで、大変な騒ぎに。
辱しめを受けたとしてGayatriは迎えに来た実家からの人たちと去ってしまい、Lakshmiは村を出て生理用ナプキンの開発に情熱を注ぎ込む。
そんな折、ひょんなことから知り合い、試作品の初めての使用者となったPari(ソナム・カプール)の出現で思わぬ展開に……。

 

 

小僧的視点:

トイレの次は生理用品なのである。
昨年、「Toilet: Ek Prem Katha(2017)」でトイレの無い村にトイレを普及させる男を演じたAkshay Kumarが、今度は安価な生理用ナプキンの開発をする男を演じている。

確かに日本にもその昔、生理中の女性を”不浄”とする考え方はあった。同じくヒンドゥー教のバリでも生理中の女性や出産後間もない女性、怪我で流血している場合は男性でも女性でも神聖な寺院の境内に入れないというようなきまりはいまだにある。
ただ、このご時世に家で”隔離”って……。貧しい村とはいえ、『離れ』があるような裕福な家だからこそ出来ることで、それこそ家族6人が1部屋で暮らしているようなところは、表にベッド出して寝たりするんだろうかとか思ったり。夜、女性ひとりだけそんなことしたら、とてつもなく危ない気も……。

ただ、この映画、ゆるーく事実に基づいている。
モデルとなったのはタミル・ナードゥ州で安価な生理用ナプキンの製造と普及に尽力した社会活動家Arunachalam Muruganantham(アルナーチャラム・ムルガナンタム)で、この映画は主演のAkshay Kumarの妻で元女優、現在は執筆業にいそしみこの映画のプロデューサーもつとめるTwinkle Khanna(トウィンクル・カンナー)が、Arunachalamの人生から発想を得て書いた短編「The Legend of Lakshmi Prasad」の映画化だから。
いやはや、インドの衛生概念はいまだにこれほどかと思ってしまう。
Sonam Kapoorがスマートフォンを使っているので混乱するが、Arunachalam Murugananthamの話に基づいていると仮定すれば設定は2001年のはずだ。55ルピーも当時と今では違った意味を持っていたのかもしれない。

興味深かったのは55ルピーでは牛乳代を圧迫するから生理用ナプキンが使えないだの、とてつもない額だといっていたGayatriが宗教がらみのちゃちいからくり機械に51ルピーを出すことをなんとも思っていなかったこと。
衛生よりも宗教にお金をかけ、病気になっても死んでもいいから恥をかきたくないというインドの日常が上手く切り取られている。

シャツの裾をズボンにタックインするという小さな仕草が、そこかしこでさまざまな意味で繋がって来るきめ細やかさもいい。

ニューヨークからの飛行機の中、デリーの空港、空港からPariが父親と家に戻るシーンなど、上手い役者が演じていればもう少し胸が痛むところなのだが、Sonam Kapoorのダイコンっぷりがいい意味で功を奏してさらっと表現されているのも「不倫は絶対に許されません」のインド式思考に洗脳されている私には逆に好感がもてた。

色恋あり、ハッピーエンド、ちょっと少な目ではあるけれど初潮のお祝いの様子を描くシーンで踊りもある。


 

ロケ地:

 撮影はMadhya Pradesh州、Delhi、アメリカのニューヨークにて。

 

ロケ地
Maheshwar (Madhya Pradesh)

どこのガートだろう? バラナシかな? と思って観ていたけれど、まわりの風景がちっともバラナシっぽくないのだ。
そう、川が違うのだ。ガンジス河ではなくてNarmada river(ナルマダー川)で、この川沿いにあるMaheshwarという町だった。
ヤギの血(もしくは撮影用の血糊?)とはいえ、血まみれでガンジス河へ飛び込んだらとんでもないブーイングに違いない。

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ロケ地
Kalakund railway station (Madhya Pradesh)

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ロケ地
The Delhi Indira Gandhi International Airport  (Delhi)

 ニューヨークから戻った時のちょっとせつないシーン。f:id:bokenkozo:20180723005930j:plain

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ロケ地
The statue of Liberty (New York, USA)

 

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ロケ地
Brooklyn Bridge (New York, USA)

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ロケ地
Times Square (New York, USA)

 相変わらず、シャツの裾出てる……。

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ロケ地
Lincoln Center (New York, USA)

 

ロケ地
United Nations headquarter (New York, USA)

UNICEFでのカタコトの英語でのスピーチのシーン。
国連総本部内部での撮影、ボリウッド映画では”Half Girlfriend”に続いて2作目となる。 


 

この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/2bJx/?lang=hindi

 

 

Hum Saath-Saath Hain

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ヒンディー映画「Hum Saath-Saath Hain」(1999)

配役:

次男Prem役:Salman Khan
Sapna役:Karisma Kapoor
三男Vinod役:Saif Ali Khan
Sadhana役:Tabu
Preeti役:Sonali Bendre
長男Vivek役:Mohnish Behl 
Ramkishan役:Alok Nath
Mamta役:Reema Lagoo 
Sangita役::Neelam Kothari
Sangitaの夫Anand役:Mahesh Thakur
Mamtaの兄弟Vakil役:Ajit Vachhani 
Vakilの妻役:Himani Shivpuri
Preetiの父親Pritam役:Satish Shah
Sapnaの父親Dharamraj役:Sadashiv Amrapurkar
Sapnaの祖母Durga Mausi役:Shammi 
Sadhnaの父親Adarsh役:Rajeev Verma
Vivekの親友Anwar役:Shakti Kapoor 
Raghuveer役:Dinesh Hingoo
Anurag役:Dilip Dhawan
Shanti役:Kunika
Krishna役:Jayshree T. 
Rehana役:Huma Khan
Dr. Sen役:Jatin Kanakia
Khan Saheb役:Achyut Potda
Raju役:Zaki Mukaddam
Babloo役:Hardik Tanna
Radhika役:Zoya Afrozl

 

ネタバレしない程度の/すっかり人任せなあらすじ:

ウッタル・プラデーシュ州の著名なビジネスマン大家族の話。
家族の長であるRamkishan(アローク・ナース)とその妻Mamta(リーマ・ラグー)の銀婚式が盛大に祝われ、継子長男Vivek(モーニシュ・ベール)はSadhana(タッブー)と結婚、次男Prem(サルマン・カーン)はPreeti(ソーナーリ・ベンデレ)と婚約、三男Vinod(サイーフ・アリ・カーン)はSapna(カリシュマ・カプール)に夢中。
Ramkishan一家の信条は、「一緒に祈り、一緒に食べ、一緒に暮らす」というもの。すべてはうまく行っているかに見えたある日、Sangitaが夫兄弟の諍いの結果Bangloreへ移り住むことになったと泣きながら電話をしてきて、これがMamtaの心をかき乱す。Mamtaの3人の友達のそそのかしも絆のよじれを加速させ……。

 

小僧的視点:

ウッタル・プラデーシュ州の著名な事業家で、同じウッタル・プラデーシュ州のRampurへ新婚旅行というか家族旅行にいくという設定なのだが、まったくウッタル・プラデーシュっぽくなくてものすごくラジャスタンっぽいというか、間違いなくラジャスタンなのでわけがわからなくなる。
ラジャスタンの事業家で出身地であるラジャスタンの村へ旅行に行ったんじゃ、何がイケナイのだろう? ラジャスタンには電気のない村がないとでもいうからなのだろうか? 

Prem役のサルマン・カーンはやんちゃで有名な役者ながら、Premの持つShanti(静か)的側面が彼の人間性の奥底に実はあるんだろうなということを、この映画を観ていて気付いた。ただ、Shantiとやんちゃのバランスがゆえに、人生を難しくしているんだろうなとも。

さて、Sapna、Sadhana、Preeti、Sangitaの4人組のうち選ぶとしたら誰だろう? 
これは監督の意図的なのかもしれないが、この作品でいちばん魅力的に映る女性はTabuだと思う。ただ、いかんせんダンスが下手くそすぎというか、キレがなさすぎて笑う。新劇の役者のようではあるが、ダンスはキレッキレなKarisma Kapoorの脇にいると、特にそれが引き立つ。でもまぁ、それもTabuのキャラだし美しいからよしとしよう。

お気に入りのシーンは父と二人で暮らしてきたSadhanaが、大家族を憧憬のまなざして眺めるところ。大家族には大家族の大変さがあるに決まっているのだけれど、そういうところは見えないんだよなぁ……などとひとり感情移入してしまっただけ。

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あとは、二人の結婚式で不自由なVivekの右手をSadhanaそっとささえる場面。



と、結局は監督の意図にはまり、Tabuばかり見てしまうことになる映画なのである。
色恋ふんだん、踊りふんだん、お約束のハッピーエンド。インドの濃ぉーい家族愛いっぱいで、途中の揉め事もご愛敬程度にしか思えない、大変幸せになれる映画である。

 

 

 

Tabu
ごく最近の「Missing (2018)」から「Fitoor (2016)」や「Haider (2014)」や「Life of Pi トラと漂流した227日 (2012)」、少し古いものでは「The Namesake (2006)」といったTabuが母親役で出ている映画を観ているのだが、共通していえることは「この人、家庭臭がしない」
ということ。これはいったいどこから来るのだろうか?

Tabuは芸名だがもともとの愛称でもあり、本名はTabassum Fatima Hashmiという。Fatimaという名前を見ればわかる通り、モスリムの家庭に生まれている。
両親が生まれてすぐに離婚をしたため父親の顔を見たことはなく、教師である母親が父親も兼ねつつ、教授職を退いて学校経営をしていた祖父母に育てられた。
祖父は数学の、祖母は英文学の教授であった。Tabu自身はHyderabad(ハイデラバード)のSt. Anns高校を出た後はムンバイのSt. Xavier's Collegeで2年間学んでいる。
結婚はというとしていない。
Shakti the Power (2002)」でNandini (カリシュマ・カプール) の夫役をしていたSanjay Kapoor(サンジェイ・カプール)やプロデューサーの Sajid Nadiawalaと一時的に婚約したりしていたが、1996年のテルグ映画「Ninne Pelladata」での共演をきっかけにAkkineni Nagarjunaとの恋愛関係がなんと20年あまりも続き、ようやく見切りをつけて現在に至っている。
調べてみるとAkkineni Nagarjunaは1992年にはAmala Akkineniという女優と結婚しているので、1996年時点ではすでに妻帯者(一部には婚姻関係はなく同棲状態だったという意見もある)だったはず。恋愛関係とはいっても、そんな位置づけだったための見切りだったのかもしれない。ただ、先ほども書いたようにTabuはモスリムの家庭に生まれているために、「イスラム名物4人まで妻が持てる」的考えがどこかにあってのことだったとすると責められるには値しないかもしれない。(ただし、Akkineni Nagarjunaはヒンドゥー教徒
年ごろとしてはすでに母親の領域であるにもかかわらず、母親を演じさせると家庭の匂いはおろか母親臭がただよってこないうえに、Tabuの妖艶さや魔性具合が逆に引き立つのはこんな背景があるのかもしれない。
 

  

ロケ地:

ラジャスタン州、カルナータカ州、あとは砂漠のシーンも含めてムンバイのスタジオでの撮影。

 

ロケ地
Mehrangarh Fort  (Jodhpur, Rajasthan) 

Rampurへの家族旅行のシーン、「Mhare Hiwda Mein Naache Mor 」という曲の中に出て来る。

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ロケ地
Jaswant Thada (Jodhpur, Rajasthan)

「Mhare Hiwda Mein Naache Mor 」という曲の中に出て来る。

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奥に見えているのがMeherangarhだ。 

 

ロケ地?
Mathura (Uttar Pradesh)

私にはセットにしか見えないのだが、

4 Places Where Bollywood Has Celebrated Janamashtami | MakeMyTrip Blog

The song The song Maiyya Yashoda, from Sooraj Barjatya’s Hum Saath Saath Hai was shot in Mathura

という記事を見つけたので一応。「Maiyya Yashoda」はここで撮られたらしいということにしておく。Mathuraはクリシュナの生誕地とされている。

 

 

ロケ地
Chennakesava Temple (Somanathapura, Mysuru, Karnataka)

 ものすごくカンボジアの「アンコール・ワット」っぽく見える、「Mhare Hiwda Mein Naache Mor 」という曲の中に出て来るお寺がここ。

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この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/78nZ/?lang=hindi

 

Black

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ヒンディー映画「Black」(2005)

配役:

教師Debraj Sahai役:Amitabh Bachchan
Michelle McNally役:Rani Mukerji
幼少のMichelle McNally役:Ayesha Kapur
Michelleの母親Catherine McNally,役:Shernaz Patel
Michelleの父親Paul McNally役:Dhritiman Chaterji
Michelleの妹Sarah McNally役:Nandana Sen
Mrs. Gomes役:Sillo Mahava
Mrs. Nair役:Mahabanoo Mody-Kotwal

 



すっかり人任せなあらすじ:

これでインディア 2005年2月

 

小僧的視点:

つい最近、「Hichki」という映画を観て
Rani Mukerjiラニ・ムケルジ)って、前にもこういう役演じてたなぁ」
この映画のことを思い出した。

盲目で耳が聞こえず、水に名前があるということを知るところからはじまるあたり、ヘレン・ケラーとサリバン先生をたたき台にしているんだろうなと思われる。
Sanjay Leela Bhansali(サンジェイ・リーラ・バーンサリ)監督作品なので悲劇で胸がつまって泣かされるのであるが、映像はとても美しくHimachal PradeshのShimlaはまるでスイスみたいだなぁと思う。Amitabh Bachchanアミターブ・バッチャン)とRani Mukerjiという演技派の二人だからこそ成り立っているともいえる。

ただ、色恋なし、踊りナシ、夢は叶ったけれどハッピーエンドとはいいがたく、好きなタイプのインド映画ではない。
役者陣はみな迫真の演技で素晴らしいが、Michelleの母親などヒンディー語を話さなければ「英国人かな?」と思う顔つきであり、英語もまたそうだ。
「はて、この映画がインド映画である必要は?」
考えてしまう。

 

 

ロケ地
 Woodville Palace Hotel (Shimla Himachal Pradesh)

Mishelleの家の噴水
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「Water」という言葉に気付いてはじめて言葉を発し、大喜びのシーン

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ロケ地
 Indian Institute of Advanced Studies (Shimla Himachal Pradesh)

 Mishelleが入学した大学
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ロケ地
 Christ Church (Shimla Himachal Pradesh)

 ラストシーン
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 教会の正面にもっと距離があると思っていたが実際は違った。

 

ロケ地
 Afghan Church (Mumbai Maharashtra)

 Mishelleの卒業スピーチのシーン
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この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/0962/?lang=hindi#

 

Rang De Basanti

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ヒンディー映画「Rang De Basanti」(2006)

配役:

Karan Singhania(Bhagat Singh)役:Siddharth Narayan
'DJ' ことDaljit Singh (Chandrashekhar Azad)役:Aamir Khan
Lakshman Pandey(Ramprasad Bismil)役:Atul Kulkarni
Aslam Khan (Ashfaqullah Khan)役:Kunal Kapoor 
Sonia (Durgawati Devi)役:Soha Ali Khan ←Saif Ali Khanの妹
Sukhi Ram (Rajguru)役:Sharman Joshi 
Sue McKinley役:Alice Patten
Flight Lt. Ajay Rathod役:R. Madhavan (特別出演)
Mrs. Rathod, Ajay's mother役:Waheeda Rehman
Sueの祖父James McKinley's grandfather役:Steven Mackintosh
Karanの父親Rajnath Singhania役:Anupam Kher
DJの母親Mitro役:Kiron Kher
Aslamの父親Amanullah Khan役:Om Puri
DJの祖父役:Lekh Tandon
Rahul (Radio Jockey)役:Cyrus Sahukar 
防大臣Shastri役:Mohan Agashe

 


 

ネタバレしない程度のあらすじ:

イギリス人のSue McKinley(アリス・パッテン)は祖父の手記をもとにインド革命家の映画を創ろうと考えるが、なかなかスポンサーが見つからない。見切りをつけたSueは単身デリーへ乗り込む。

友人のSonia(ソーハー・アリー・カーン)の協力を得て準備を始めたSueはSoniaの友人達の'DJ' ことDaljit Singh(アーミル・カーン)、Karan Singhania(シッダールタ・ナラヤン)、Aslam Khan(クナール・カプール)、Sukhi Ram(シャルマン・ジョーシー)達と出会う。
彼らを革命家の姿と重ねたスーは映画出演を依頼するが、はじめのうちは英領インド時代に自由と独立のために命を捧げた若者たちの行動を馬鹿にしてふざけてばかりいたDJ達が、次第に撮影が進むにつれて真剣に取り組むようになり、映画も無事に完成する。

撮影終了でホッと一息のDJたちだったが、SoniaのフィアンセAjay(R・マドハヴァン)の乗ったソ連製戦闘機MiG-21が墜落し、Ajayが殉死。以前からMiGの性能には疑問が投げかけられており、多くの兵士たちがMiGのために命を落としていた。ところが国防大臣Shastri(モーハン・アガーシェー)は、MiGが墜落するのは飛行機の欠陥ではなく、パイロットの無謀な運転のためだと言い、それをきいて激昂したDJたちは……。

すっかり人任せなあらすじと解説:

 

これでインディア 2006年1月

小僧的視点:

題名の「Rang De Basanti」は「黄色に染める」という意味なのだが、なにが黄色でなぜ黄色なのか? 

Pandit Ram Prasad 'Bismil' (ラム・プラサード・ビスミル:ペンネームがBismil)によるウルドゥー語の有名なガザル(詩)『Sarfaroshi ki Tamanna(命賭けの希望)』が、映画の中で何度か唱えられている。
作者の Ram Prasad 'Bismil' とは1925年8月29日、ケバブが名物のKakori(カーコーリー)という町を列車が通過した時に襲撃し、インド政庁に送り届けられるはずだった現金を強奪した革命グループのリーダーだ。

この事件で逮捕された19名は二か月後にラクナウ中央刑務所(現在のLucknow District Jail)に収監され、1927年の春
「Basantのための歌詞を作らないか?」
ということで、Ram Prasad 'Bismil'がAshfaqullah Khan、Thakur Roshan Singh、Sachindra Nath Bakshi、Ram Krishna Khatri 他14名とともに獄中で作ったのが「Mera rang de Basanti chola(我が衣をサフラン色に染めよ)」である。

Basantというのはサンスクリット語の「Vasanta」から来ていて春という意味であり、インドではヒンズー教徒とスーフィーからの影響でイスラム教徒が祝日ではないながら、黄色い服を着てターメリックを額に塗りつけ、サフランで黄色く染めた食べ物を口にしてお祝いをする。黄色は幸運や霊性の高さを表し、芥子菜など春の作物の実りにも代表される。

Ram Prasad 'Bismil'は「Mera rang de Basanti chola」から約半年後の1927年12月19日Gorakhpur刑務所にて死刑になっている。絞首刑の処される部屋へ進む時にこの歌詞を口ずさみ、死を前にしても笑みを浮かべていたという。

12月になぜ春の歌なのか? 12月の北インドはよく寒さで人が死ぬくらいの気温、ラクナウあたりは湿気がものすごいので底冷えがするはずなのに……春の歌? と思わないでもない。

そこで、この歌の歌詞を検証。 

Mera Rang De Basanti Chola Lyrics Translation | The Legend Of Bhagat Singh | Hindi Bollywood Songs

Lyrics Translation
Mera rang de Colour me
Mera rang de basanti chola, maiye rang de Colour my cloak saffron, o motherland
Mera rang de basanti chola, maiye rang de Colour my cloak saffron, o motherland
Mera rang de basanti chola, rang de rang de Colour my cloak saffron, please colour me
Rang de basanti chola, maiye rang de Colour my cloak saffron, o motherland


Nikle hai veer jeeya le yoon apna seena taane The courageous have left with a strong heart
Has haske jaan lutane azaad savera laane To give their life smilingly for a free morning
Marke kaise jeete hai is duniya ko batlane To show to the world, how to live not fearing death
Tere lal chale hai maiye ab teri laaj bachane Mother, your sons have left to protect your pride
Marke kaise jeete hai is duniya ko batlane To show to the world, how to live not fearing death
Tere lal chale hai maiye ab teri laaj bachane Mother, your sons have left to protect your pride
Azaadi ka shola banke khoon ragon mein dola The blood boils in us like an ember of freedom


Mera rang de Colour me
Mera rang de basanti chola, maiye rang de Colour my cloak saffron, o motherland
Mera rang de basanti chola, maiye rang de Colour my cloak saffron, o motherland
Mera rang de basanti chola, rang de rang de Colour my cloak saffron, please colour me
Rang de basanti chola, maiye rang de Colour my cloak saffron, o motherland


Din aaj ka bada suhana, mausam bhi bada sunehra Today is a great day, even the weather is good
Hum sar pe baandh ke aaye balidano ka yeh sehra We have come wearing the hat of martyrs
Betaab hamare dil mein ek masti si chaayi hai There is some joy in our restless hearts
Aye desh alvida tujhko kehne ki ghadi aayi hai Motherland, the time to say goodbye has come
Mehkenge teri fiza mein hum banke hawa ka jhonka We'll be like fragrance in the gust of your winds
Kismat walo ko milta aise marne ka mauka Only the lucky ones get a death like this
Nikli hai baraat saja hai inquilab ka dola The adorned procession of revolution has started


Mera rang de Colour me
Mera rang de Colour me
Mera rang de basanti chola, rang de rang de Colour my cloak saffron, please colour me
Rang de basanti chola, maiye rang de Colour my cloak saffron, o motherland
Mera rang de basanti chola, rang de rang de Colour my cloak saffron, please colour me
Rang de basanti chola, maiye rang de Colour my cloak saffron, o motherland


英語訳を見て気付く。黄色ではないのだ、サフラン色なのだ。

以前自分で書いた、ChittorgarthのJohaur(集団自決)についての記述を思い出してみる。

Guide - ぼうけんこぞう

2度目は1535年、グジャラートのスルタン・バハドゥール・シャーの攻撃を受けた時で13000人のラジプート女性がラニ・カルナワティの先導のもと炎に身を投じ、32000人の男性がサフラン色の死に装束をまとって敵に突撃して玉砕した。

最後の総攻撃の前夜、女たちは化粧をし、きらびやかな衣装を身に付け、婚礼の夜と同じように聖なる火の回りを7回まわって宴を催し、それから城内の巨大な穴に焚かれた火の中に次々と飛び込んだ。翌朝、もはや後顧の憂いのない兵士たちは神聖とされるサフラン色の衣装に身につけ、全ての城門を開き、総攻撃を敢行した。


そうか、そうだったのか!「Mera rang de Basanti chola」は『我が経帷子をサフラン色に染めよ』と訳さねばいけなかったのだ……ということに、こんな遠回りをしてようやっと気付いたのである。
何を黄色に染めるのかといえば死に装束であり、なぜ黄色なのかといえば自決、殉死だからである。
 

ロケ地:

 撮影はパンジャブ州、デリー、ラジャスタン州、ハリヤナ州などにて。

 

ロケ地
Golden Temple (Amritsar, Panjab)

みんなでお祈りに行くシーン。


この曲の「Ik Onkaar」は、シーク教聖典『Guru Granth Sahib(グル・グラント・サーヒブ)』の一節。

黄金寺院は私が今まで訪ねたなかで、世界イチ氣のいい場所だと思ったのだがこの映画ではじめて訪れたAamir Khanも同じことを言っていた。みなが同じように感じる不思議である。

この黄金寺院のすぐ隣に「なんだここ、何かの建物なの?」という入口があって

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「Bagh(庭)」と書いてあるが、入ってみるとなにやら公園っぽくなっている。

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ここがジャリヤーンワーラーという「アムリトサル虐殺」とも呼ばれるジャリヤーンワーラー広場事件があった場所。
 1919年3月、第一次大戦終了後の治安を維持するために、予防拘禁を含む弾圧法として悪名高いローラット法をインド政庁が制定。ローラット法による活動家たちの逮捕に抗議してジャリヤーンワーラー広場に集まっていた丸腰の一般市民約2万人に、ダイヤー将軍率いる完全武装の英国軍が発砲。死者1000人以上を出す惨事となり、反英運動に火をつけることになった。
撮影前にみんなが黄金寺院というかアムリトサル詣でをしたのは、こんな背景があってのことだ。

 

ロケ地
Mughal Sarai (Ludhiana District, Doraha, Punjab)

Ajay Rathod(R・マドハヴァン)がSonia(ソーハ・アリ・カーン)にプロポーズするシーンはここ。

 

ロケ地
India Gate (New Delhi, Delhi)

Ajayの事故に関して抗議するシーンと、若者らしいはしゃぎっぷりのシーン 。

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ロケ地
Modern School, Barakhamba Road (New Delhi, Delhi)

 クライマックスシーンの All India Radio Stationはここ


 

ロケ地
Habitat Centre (New Delhi, Delhi)

 オーディションのシーン

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ロケ地
Nahargarh Fort (Jaipur, Rajasthan)

 Nahargarh Fort 内部の貯水池にてビール飲みチャレンジやパーティーのシーンが撮影されていた。飛び込んだりしていたが、今は水が浅すぎてそれは怖い気がする。
歴史のある場所での撮影は事務仕事が大変で、地域の警察からインド考古調査局まで7つのお役所から許可をとって撮影された。

 

 

 

ロケ地
Pataudi Palace (Pataudi, Haryana)

 Saif Ali Khanのお城パタウディー・パレス、車で送り届けられてきたKaranと父親のシーンが続くのでKaranの家として撮影されたのだと思う(内部をみたことが自信はない)f:id:bokenkozo:20180710081130j:plain

 

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Sarfaroshi ki Tamanna
「Mera rang de Basanti chola(我が経帷子をサフラン色に染めよ)」よりもさらに有名な、Ram Prasad 'Bismil' によるウルドゥー語のガザル(詩)が『Sarfaroshi ki Tamanna(The desire for revolution)』だ。


 

歌詞 英語訳
Hai liye hathyaar dushman The armed enemy
Taak mein baitha udhar Is sitting ready there
Aur hum taiyaar hai And we're ready
Seena liye apna idhar With our courage here
Khoon se khelenge Holi We will play Holi with blood
Gar watan muskhil mein hai If our nation is in trouble
Sarfaroshi ki tamanna The desire for revolution
Ab hamare dil mein hai Is in our hearts


Haath jin mein ho junoon The hands that have the passion
Katt te nahi talvaar se No sword can cut them
Sar joh uth jaate hai The heads that rise up high
Woh jhukte nahi lalkaar se They don't bow down with any threat
Haath jin mein ho junoon The hands that have the passion
Katt te nahi talvaar se No sword can cut them
Sar joh uth jaate hai The heads that rise up high
Woh jhukte nahi lalkaar se They don't bow down with any threat
Aur bhadkega joh shola sa It will erupt like a fire
Hamare dil mein hai For what is there in our hearts
Sarfaroshi ki tamanna The desire for revolution
Ab hamare dil mein hai Is in our hearts


Hum toh ghar se nikle hi the We had left from our homes
Baandhkar sar pe kafan Wearing a shroud on our head
Jaan hatheli par liye Taking our lives in our hands
Lo bhad chale hai yeh kadam Our legs are marching forward
Zindagi toh apni mehmaan Life is our guest
Maut ki mehfil mein hai In the assembly of death
Sarfaroshi ki tamanna The desire for revolution
Ab hamare dil mein hai Is in our hearts


Dil mein toofano ki toli With a host of storms in our heart
Aur nason mein inquilaab And with revolution in our veins
Hosh dushman ke udha denge We will shock the enemy
Hum mein roko na aaj Don't try to stop us today
Door reh paaye joh humse It can't stay far away from us
Dum kahan manzil mein hai The destination doesn't have that valor
Sarfaroshi ki tamanna The desire for revolution
Ab hamare dil mein hai Is in our hearts
Sarfaroshi ki tamanna The desire for revolution
Ab hamare dil mein hai Is in our hearts

 Shahjahanpur生まれのRam Prasad Bismil 自身はヒンズー教徒のようで、絞首刑後土葬ではなくヒンズー式に荼毘に付されている。
ヒンズー語は家で父親から学び、ウルドゥー語イスラム学者のもとで学び、父親の反対を押し切って通っていたのは英語で授業がなされる学校であった。この頃から愛国的な詩を作らせると右に出るものがいなかったという。

 

 

この映画が観られるサイト: 

https://einthusan.tv/movie/watch/6418/?lang=hindi#

 

参考資料:

History in a barrack - Indian Express

Bhool Bhulaiyaa

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ヒンディー映画「Bhool Bhulaiyaa」(2007)

配役:

Siddharth Chaturvedi役:Shiney Ahuja
Avni Chaturvedi / Manjulika役:Vidya Balan
精神科医Aditya Shrivastav役Akshay Kumar
Radha役:Ameesha Patel
Batukshankar Upadhyay役:Paresh Rawal
Natwar aka Chhote Pandit役:Rajpal Yadav
Murari役:Asrani
Acharya Yagyaprakash Bharti役:Vikram Gokhale
Badrinarayan 'Badri' Chaturvedi役:Manoj Joshi 
Rasika Joshi as Janki Upadhyay役:
Tarina Patel as Nandini Upadhyay役:
Professor Sharad Prahlad / Shashidhar役:Vineeth
Girja Upadhyay役:Kaveri Jha 
子供の頃のAvni役:Navika Kotia 
Chandu役:Jimit Trivedi ←その後、グジャラート映画で主役をこなしている 

 

ネタバレなどしないあらすじ:

幽霊邸宅に住み着いたベンガルの踊り子Manjulikaが引き起こす奇奇怪怪な出来事をアメリカからやってきた精神科医Adityaが謎解き、幽霊と対峙する話。(←おいっ! シンプルすぎるだろ)

すっかり人任せなあらすじ:

これでインディア 2007年10月

 

小僧的視点:

題名のBhool Bhulaiyaaは「迷宮」とでも訳すべきか。1993年のMalayalam映画「Manichitrathazhu」のリメイクである。

スプラッターモノとかスリラー映画は基本的に好きではないのだが、この映画は幽霊映画でありながらコメディタッチの部分が多いのでまったくもって怖くない。笑いが恐怖を増幅するのではなく、恐怖が笑いを増幅している感もあるくらいだ。
色恋あり、怖いながらも踊りあり、Akshay Kumarお得意のダメなヤツかと思ったらデキるヤツだった的役どころやVidya Balanの演技力の凄まじさも楽しめ、幽霊退治の方法もしごくインド的なおおらかさで
「え? いいのそれで? バレないの? それでオッケーなの?」
思わなくもないが、最後がハッピーエンドなので大変私向きであった。

しいていえばSiddharth役のShiney Ahujaの印象があまりにも薄い。この映画の二年後、メイドからレイプで訴えられて7年の刑を言い渡されて以来下り坂。2015年にボリウッド復帰はしているもののそれほどスター性はこの時も感じられない。
確かにメインの役者はVidya Balan(ヴィディヤー・バーラン)とAkshay Kumar(アクシャイ・クマール)なのだが、もう少し印象強めな役者をSiddharthに据えても良かったと思うし、Chanduの役まわりが今ひとつ中途半端なのでSiddharthと一緒に調査してもいいのになという気もした。

最初ちょっと怖いけど、途中のタイムスリップした後のミゴトな踊りご覧あれ。


さて、この映画での大発見は、Rajpal Yadav(ラジパール・ヤダフ)というコメディアンだった。そんなこと言われても「だれ?」だろうが、頭がヘンになってしまって意味もなく車をとめてみたり、Adityaに相談したら水を避けるようにいわれてお風呂に入らなかったNatwar aka Chhote Pandit役の役者さんだ。
なにがどう大発見かというと、数年前のHoli(春祭り)の時にSMSで誰かがあげていたこんな感じの画像。

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「Holiの色粉遊び、自分では左(Ranveer)だと思ってるかもしれないけど、客観的に見るとこうなってるよ」
みたいなキャプションがつけられていて、つい笑ってしまったのだがこの「客観的バージョン」がこの映画から来ていることをはじめて知ったのである。
ベタな感じのコメディを得意のする役者さんのようだが、日本でいうと志村けん的なのだろうか? 以降、もうすこし気を付けて観て確認してみようと思う。

 

ロケ地

撮影はウッタル・プラデーシュ州、ラジャスタン州、カルナータカ州など。

 

ロケ地
Chomu Palace Hotel (Chomu,Rajasthan)

幽霊マンションの外観は、ジャイプールの北32km車で1時間ほどのところにあるChomuという村にあるホテル。

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ロケ地
Amber Fort (Jaipur,  Rajasthan)

SiddharthとRadhaが抱き合っているのはガネーシュ門(Ganesh Pol)の前。f:id:bokenkozo:20180708153511j:plain

Diwan-i-Khasのあたりも映っている。f:id:bokenkozo:20180708153529j:plain

 

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ロケ地
 Chand Bawri Step Well (Abhaneri, Rajasthan)

紫と赤のサリーをまとったバックダンサーたちが 、階段井戸に並んで踊る様子は圧巻。とても効果的な使われようだと思う。

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ロケ地
 Vanaras (UP)

冒頭の部分は ガンジス河の川べりで撮影されている。
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その後、何度かガートだとされる場面が出て来るけれど

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 まったくバラナシのガートっぽくないので、役者連中はバラナシへは行っていないのではないか疑惑。

 

ロケ地
Kannada (Karnataka) 

 Aditya(アクシャイ・クマール)がAvni(ヴィディヤー・バーラン)の育った場所であるMalikapurへChandu(ジミット・トリヴェディ)と共に行くシーン。

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遠回りな旅

Aditya(アクシャイ・クマール)がAvni(ヴィディヤー・バーラン)が育ったMalikapurへ行く場面があった。
Chanduの台詞によるとMalikapurは「国の中央」なのだ。
地図で探してみるとウッタル・プラデーシュ州にも西ベンガル州にもオリッサ州にもその地名がある。
ベンガルの踊り子Manjulikaがとりついたという設定なのでベンガル語を話すという点からも、ここは西ベンガルを採用したいところなのだが、西ベンガルは国の東であって中央ではない。ただ、縦方向の位置的に北か南かといえば中央ではある。

とまぁ、考えあぐねるところではあるが、いずれにせよバスの上部に「Kannada」とあり、ナンバープレートも「KA」になっているので国の南のKarnataka州で撮影されているのは間違いない。

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北インドのバラナシから南のカルナタカ経由で東のコルカタに行ったのだろう。

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相当な遠回りだが、映画は夢をみるためのもの。そういうことにしておこう(←あくまでも夢は壊さない主義)

 

 

 

この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/0464/?lang=hindi