泡立てネットバラバラ事件
ラジャスタン州ジャイプールのとある三ツ星ホテルに泊まっていた時の話。
外出から戻ってみると、部屋の洗面所のレバーのところにリングで引っ掛けておいた泡立てネットが消えていた。
泡立てネットとはこんなんである。
別に高いものでもないし、それこそ何かのオマケでもらったようなものなのだけれど、インドのなかなか泡立たない石鹸には必需品。
こんなものが盗まれるわけがないので、部屋掃除の時にうっかり捨てられたか、タオルかなにかに紛れて間違って誘拐?されたかに違いない。
ホテルのスタッフをつかまえて事情を話し
「タオルかシーツかなにかに紛れてると思うので、汚れたリネン類のあるところに案内してくれない? 自分で探すから」
頼んだところホテルのマネージャーがとんできた。自分で探すっていってるのに、いやいや僕たちで探すからと形状はどんなんで、どんな色だと事情聴取がはじまった。
WEBで検索した画像を見せたり、使い方の説明をしたりしたあげく、ハウスキーピングスタッフみんなで家探し。
結果、ハウスキーピングの人たちが使っている物入れ棚で見つかったと持ってきてくれたのだが
なんと、こんなバラバラ殺人事件状態。
あっけにとられつつも、むしろ笑ってしまった。どうして私の部屋の洗面所に健全な状態で下がっていた泡立てネットが、こんなにバラバラに引き裂かれているのか、いったい誰がどういう意図でやったのか、それの方が気になって探偵したくなってしまうのである。
「いったい誰がやったのかは防犯カメラをトラックしてつきとめる」
マネージャーは言い、町中かけまわって探してきたという代用品を探し申し訳なさそうに持ってきてくれた。
それがこれ。
こんな高級品?じゃなくて、ペラッペラの貧乏くさい方がすぐ乾いて持ち運びやすいからいいんだけどなぁ……とか思ったのだけれど、弁償しようという努力も誠意も理解できたのでこれで納得することにした。
いや、ホント。インドは予想もしないことが起きるから面白い。