ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

Manorama Six Feet Under

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ヒンディー映画「Manorama Six Feet Under」(2007)

 

配役:

Satyaveer Randhawa役:Abhay Deol
Sheetal/ Neetu役:Raima Sen
Nimmi Randhawa役:Gul Panag
Minister P P Rathore役:Kulbhushan Kharbanda
Manorama役:Sarika
Chhaila役:Nawazuddin Siddiqui

ネタバレしない程度のあらすじ:

売れっ子ミステリ小説家になるのが夢だった自治体の公共事業部門で働くSVことSatyaveer(アバイ・デオル)はインド典型的口うるさい妻Nimmi(グル・パナーグ)と息子の三人暮らし。「Manorama」という探偵小説を出版するにはしたものの200部しか売れずに鳴かず飛ばず、本業はといえば収賄容疑で停職になってしまった。
そんな彼のもとにある日、地元の大物政治家Rathore(クルブーシャン・カルバンダ)の妻を名乗る女(サリカ)がやってきて夫の浮気の証拠となる写真撮影を依頼する。小さな町では人目もあって探偵を雇えず、ミステリー作家だった彼に白羽の矢がたてられたのだ。
調査終了後、その女が実はRathore妻ではないことを知ったSatyaveerのもとに女が現れ「私の本当の名前はManoramaで、32歳だ」と伝えたのだが、その後、この女がトラックにひかれて「自殺」したという新聞記事を目にすることになる。

自殺事件に興味を抱いたSatyaveerは調査に乗り出し、自殺したとされる女のルームメイトであったSheetal(ライマ・セン)を訪ね、その女が孤児院の職員だったことや何らかの理由でRathoreを恐喝しようとしていたことを突き止めたものの、2人組から突然の襲撃を受けて乗っていたバイクもまた盗まれた。Sheetalもまた襲撃を受けたことを知ったSatyaveerは、Sheetalを家に匿うことに。妻子がディワリで実家に帰っている中、二人は次第に心を通い合わせるようになる。だがSheetalも実はルームメイトではなく、Rathoreに囲われている女性であり、SatyaveerRathoreの隠し子とその恋人の計画してきた思いもよらない陰謀に巻き込まれていく。

小僧的視点:

タイトルのSix Feet Underは死体を埋めるための穴の深さが6フィートということから「埋葬された」とか「葬られた」という意味なのだけれど、死体を荼毘にふしてガンジス川に流すインドでわざわざこのタイトルなのだからモスリムがらみなんだろうなと思ったら、まったく関係なくて裏切られた。
この映画は、恋と笑いと踊りとハッピーエンドをこよなく愛する私に
「時間の無駄だった」
独断と偏見でバッサリ切り捨てられた、同族間結婚の闇を描いたサスペンス映画「NH10」の監督Navdeep Singh(ナヴディープ・シン)のデビュー作である。

1974年に公開されたロマン・ポランスキー監督の「チャイナタウン」をベースにリメイクされており、本編中に「チャイナタウン」のくだんのシーンが居間のTVに流されるなんていうニクイ演出もあった。原作とは違って主人公が所帯持ちであることで、美しい娘Sheetalこと Neetuとのごちゃごちゃに深みが増している。
ただ、そのSheetalの機転のききっぷりは孤児院に勤める女性としては違和感を覚えてしまい、「なにか曲者だな」というのを否が応でも感じてしまう。ただ、この時考えた「諜報機関かなんかの人なんじゃ?」という予想は見事に裏切られた。ストーリーも含め、色々な意味で裏切られて騙されながら話が進むのが楽しい。
Dor」 (2006)で好演していたGul Panagが妻のNimmi役だったり、Nawazuddin Siddiquiがチョイ悪役だったり、口説き落とされて出演に至ったというSarikaがManorama役だったりと脇が存在感のある役者たちでしっかり固まっている。

 

Sarikaは「Jab Tak Hai Jaan」でサマルの主治医を演じていて
ヒンディー語の達者な医者って、ロンドンにもいるんだ~」
思ったDr.Kahn。覚えている人も多いのではないだろうか。

 

ロケ地
Mandawa (Jhunjhunu Rajasthan)

舞台はラジャスタン州にある「夏は暑さで人が100人死に、冬は寒さで100人の人が死ぬというLakhotという町」と映画の冒頭で語られているのだが、これがどこなんだよ? というのが今回私が映画以上にハマりこんだところである。

あちこちで記事を読んでみるに、存在しないだの、実はパキスタンのどこかにあるんだのいろんなことが書いてあるのだが、検索していたら引っかかってきたのが、ラジャスタンのPaliにあるHotel Krishna Palaceというホテル。

その説明に「このホテルは”Lakhot”から3kmのところにある」とあった。ちゃんとラジャスタンにLakhotは存在していた!
調べても調べてもLakhotという街の名前を地図にみつけることはできなかったのだけれど

Hotel Krishna Palaceから3kmほどのところにLakhotiya Lakeという湖があり、Lakhotiya Gardenなる公園もあることを発見した。

運河の利権を巡るごちゃごちゃにしては、パキスタンの国境沿いにジャイサルメールからビカネールまでひかれたくだんの運河とはちょっと離れているけれど、ぼうけんこぞう的にはもうここだということにしておこうと思う。

さて、舞台設定はともかく撮影は「ラジャスタンにおける映画撮影のメッカ」と私が勝手に呼んでいるマンダワがあるJhunjhunu地方で冬に行われた。砂漠なのでいつも暑くて乾燥しているというのは大きな勘違いであり、朝晩はものすごく冷え込むのが砂漠性気候。モンスーンの時期は氷雨だって降る。撮影隊は寒さや雨だけではなく、霧にも相当苦労させられたようだが、映画を観ている限りは「夏に撮ったのかな?」くらいな感じに仕上がっている。

参照記事:This Sleepy Town In Rajasthan Is Bollywood’s Lucky Charm, Only You Don’t Know About It!

この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/6440/?lang=hindi