ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

Aaja Nachle

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ヒンディー映画「Aaja Nachle」(2007)

配役:

Dia Srivastav役:Madhuri Dixit
MP Raja Uday Singh役:Akshaye Khanna
Anokhi役:Konkona Sen Sharma(舞台ではLaila役)
Lailaの兄弟Sanjay Mehra役:Jugal Hansraj
Imran Pathan役:Kunal Kapoor(舞台ではMajnu役)
Diaの親友Najma役:Divya Dutta(舞台ではLailaの母親役)
Steve役:Felix D'Alviella
Diaの娘'Radha役:Dalai
Doctor Saab役:Raghubir Yadav
Mr. Chojar役:Vinay Pathak
Chaudhary Om Singh役:Akhilendra Mishra
Dhan Kuber役:Nowaz
Makarand役:Darshan Jariwala 
Mrs. Chojar役:Sushmita Mukherjee
Najmaの夫役:Irrfan Khan
Mrs. Srivastav役:Uttara Baokar 
Inspector Sahib役: Yashpal Sharma(舞台ではLailaの父親役)
Mohan役:Ranvir Shorey 
P役:PAYEL 
Farooqueの召使役:Nawazuddin Siddiqui
Diaの父親役:Vinod Nagpal

 

 

youtu.be

ネタバレしない程度のさっぱりとした/すっかり人任せなあらすじ:

駆け落ち先のアメリカから11年振りに、故郷の町ウッタル・プラデーシュ州のシャームリーに帰って来たダンサーのDia(マードゥーリ・ディクシット)が、廃墟と化した劇場を再建する話。

これでインディア 2007年11月

 

小僧的視点:

「悲しいことや、悩み事があったら踊る」ことにしているので、なにか踊りたくなるような映画が観たいなと思いManeesh Sharma監督のFilmographyを見た。Maneesh Sharmaの監督作品ではないけれど、助監督として参画しているのがこの映画だったのだ。
「Devdas(2002)」でタワイフ役を演じ、鎧を着ていても? 


とんでもなく踊りが上手かったMadhuri Dixitのボリウッド復帰作だ。 主人公Diaのインド里帰りはMadhuriともオーバーラップする。月日は流れてもキュートな笑顔と美貌はそのままだ。


当初の目的「踊る」に際して、この動画が役立った。

Madhuri自身が通しで踊ってくれているので、振り付けが覚えやすい。
悲しいことがあったり、悩みごとのある人は是非、覚えて一緒に踊ってみてほしい。
悲しいこともなく、とくに悩みごとのない人も良かったら……(←結局全員かよ!)
だって、この映画のタイトル「Aaja Nachle」は「おいで、踊ろう!」だもの。

 

劇場でかけられたミュージカルは、中東の古典的悲恋物語である「ライラ マジュヌーン」を題材としている。
ライラはアラビア語で”夜”を意味する女性の名前だけれど、マジュヌーンは”ジン”に取り憑かれた人の意味で、本名?はカイスという。
ジンというのはアラブ世界では精霊とか妖怪などのことで、「アラジンと魔法のランプ」に登場するランプの精などが典型的な例だ。

映画ではディテールがなぜか「Mirza Sahiban」っぽくなっていたけれど、ライラという美女に恋い焦がれたカイスが狂人(マジュヌーン)に成り果て、狂人のままその生涯を閉じるという壮絶な話。 

 

ライラとマジュヌーン

 

 やっと跡継ぎの男の子を授かったアラブのある地方の首長は、あらゆる徳が備わるように息子にカイスという名を付け、名門学校に入れる。カイスはクラスメートの美しいライラに恋をし、ライラもまたしかり。

 ここまでは通常の恋なのだけれど、カイスは次第に常軌を逸して、眠りにつかず獣のように野や町をさまよい、ライラの家の周りをうろつくようになった。今でいうストーカーだ。
カイスがマジュヌーンとなったその理由を知った父親はライラを嫁に迎えるべくライラの家へ赴くものの
「ストーカーに娘をやるわけにはいかない。まずは狂気封じの祈祷をせよ」
とライラの両親に一蹴されてしまう。あたりまえである。

 ライラを想うマジュヌーンは服や腰布も裂き、家族との絆も断ち切ってひとり野山をさすらい、ライラを求めて叫び声を上げる。見かねた親戚に薦められ父とマジュヌーンはメッカのカーバ神殿への巡礼に行くが、神殿の前で我が子の心の平穏を願う父に対し、マジュヌーンは神殿の扉を叩いてこう叫ぶ。
「たとえ私が死のうとも、この恋は残させたまえ」
完全にイッている……。

 巡礼後も荒野を彷徨い、ある時は踊り、詩を吟唱したりしていたマジュヌーンは、人目を避けて砂漠や野山に住むようになる。こんな息子に両親は心を痛め、はるばる荒野まで息子を訪ねては変わり果てた姿に号泣し、実らぬ恋を諦めるよう説得。ところがマジュヌーンは
「真実の恋を知った私には、全世界は価値もないひと粒の種ほどにも見えません。どうか私をこのまま捨ておいてください」
と言っていて、完全に世捨て人である。
その後父が亡くなり、後を追うようにして母も天に召される。

 ライラは両親に嫁がされた男性のもとで身も心も頑なに閉ざし、異様な結婚は夫の身をむしばんでついに病で帰らぬ人となる。
アラブの習慣にのっとって2年間、ライラは家にこもって誰にも会わずに喪に服してマジュヌーンを想い続けたが、これがもとでライラも病を患い亡くなってしまう。

 ライラの死を知ったマジュヌーンはライラの墓に駆けつけて号泣。マジュヌーンはそのまま墓に留まり、ライラの待つあの世へと旅立っていく。
マジュヌーンの亡骸には、一年以上誰も気づかなかったという。

 

 マジュヌーンもそうだが、悲しいことや悩みごとが発生する原因は、一万年前と何も変わらず「執着」に他ならない。
他の地球における生き物とは違って人間は、「死」への「恐れ」を強く持ち、「生」への「安心」に強い執着を持つから、「死」と「生」は自然なものであるということを受け容れられないのだろう。

執着とはなんだろう。執着とは他者を自分の存在の中心として使うこと。
マジュヌーンはライラに執着し、「ライラなしには生きられない」と言う。
存在の中心がライラに移動しているのだ。
「これなしでは生きられない」とは、自分の魂が自分の中にないということに他ならない。 つまり中心が自分から他のものへと「移動」することこそが執着。
生きることは手放すこと。「Life of Pi トラと漂流した227日 」で主人公が教えてくれたっけ。

では、なぜ人は執着するのか。それはたぶん「感傷」だ。
人は感傷的になって小さなことに泣いたり、悲しんだり、感動したりする。心には簡単に嵐が起こる。もっと俯瞰的に物を見てさっぱりと生きなくてはいけない。

この映画を観ながら。そして踊りながら考えたことは、少しだけ悩みや悲しみをほどいてくれたように思う。

  

ロケ地

映画の舞台となるShamli(シャームリー)は、ウッタル・プラデーシュ州ムザッファルナガル県にある実在の地名。いろいろ調べてはみたけれど、Shamliで撮影されたという記事が見当たらないどころか、ムンバイのFilmcityくらいしか撮影場所として記されたものがない。
Devdasもびっくりのほぼ全編セット? 
車のナンバープレートがマディヤ・プラデーシュ州のものだったので、マディヤ・プラデーシュのどこかの町で撮影は行われたはずなのだが、それが「どこか」というのはこの映画にとってあまり重要なことではない。

 

youtu.be

 

ロケ地
Filmcity (Goregaon East, Mumbai, Maharashtra )

   

  

この映画が観られるサイト: 

https://einthusan.tv/movie/watch/0951/?lang=hindi

 

Duplicate

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ヒンディー映画「Duplicate」(1998)

配役:

Bablu Chaudhry / Manu Dada役:Shah Rukh Khan
Sonia Kapoor役:Juhi Chawla 
Lily役:Sonali Bendre
Babluの母親役:Farida Jalal
ホテルマネージャーRavi Lamba役:Mohnish Behl 
Inspector R.K Thakur役:Tiku Talsania
Dhingra役:Sharat Saxena  
Shalaku役:Gulshan Grover  
電車のホームでの女の子役:Kajol (特別出演)
Tony 役:Vishwajeet Pradhan (特別出演)


ネタバレしない程度のあらすじ:

ママ大好きで腰抜けのBablu Chaudhary(シャー・ルク・カーン)はリゾートホテルにシェフとして雇われ、マネージャーのSonia(ジューヒー・チャーウラー)と恋に落ちる。
ある日二人がデートをしていると、Babluに瓜二つのギャングManu Dada(シャー・ルク・カーン1人二役)に間違われて警察にしょっぴかれる。”Bebe”ことBabluの母親ファリーダー・ジャラル)が子供の頃の写真を持参して無事に釈放。
それもつかぬ間Babluの家にManuが押し入り、警察の発行したI.D.カードをManuが取り上げてBabluになりかわる。
仕方なくManuを演じることになったBabluがかえって手下どもの心を掴んでしまったり、Manuの情婦Lily(ソーナーリー・ベンドレー)に惚れ直されてしまったり……などややこしい展開に。 

小僧的視点:

ひと昔前のコメディ映画は安心して観ていられるので嬉しい。
悪役達もどこかお茶目で人間臭くて、殺し合いのシーンで惨殺されても
「いや、これ映画だから。実際は死んでないから」
という確固たる思いで流すことができる。ところが、最近のコメディー映画には凄惨な殺人シーンが織り込まれていたりして油断ならない。登場人物のBabluといい勝負くらいに腰抜けなので本や毛布で目を隠したり、隙間からのぞいたりと忙しくてめんどくさい。
緊張と緩和、恐怖が笑いをエスカレートさせるという構造はわかっているが、ちょっとヒヤっとするスリルくらいで十分であり、目を覆わんばかりのシーンはコメディ映画には要らないと思っている。

大コケしたスラップスティックだと思っていたらBabluの人柄と動き、そして小芝居と小ネタいくつかが可笑しくて意外に笑えた。

自分を裏切ったギャングを血祭りにあげる場面で、結構な大根足のおねーさんが登場。

 

「もうちょっとスタイルのいいダンサー使えばいいのに」
と思っていたら、女装したSRKだったのでコーヒー吹いた。 

上司Ravi Lamba(モーニシュ・ベーフル)が惚れていたSoniaから「バイヤー(お兄さん)」と呼ばれて泣きべそになるシーンもクスっときた。
インドで「お兄さん」と呼ばれるということはすなわち、「恋愛対象ではありません」という意味になる。同じように「妹」と呼ばれたら脈ナシ、「お母さん」といわれたら逆に神格化?されている可能性もある。

 

Kajol 特別出演

 巡礼に行くというBebeを見送る駅のホームに、ほんの一瞬だがKajolが通りかかる。

 「Dilwale Dulhania Le Jayenge (1995) 」のパロディーである。 

 話の筋からは「なにか唐突だな」と思ったら笑うところなので、見逃さないよう。

 

 

ロケ地

撮影はマハーラーシュトラとモーリシャス、そしてチェコ、スイスなどにて。

 

ロケ地
 National Museum (Prague, Czech Republic)

 「EK SHARARAT HONE KO」の曲はここ。

 

ロケ地
Wenceslas Fountain  (Prague, Czech Republic)

  「EK SHARARAT HONE KO」の曲はここ。

  

ロケ地
Mauritius (Mauritius)

 モーリシャスは主にホテルのシーンで、勝手に味付けしなおしたBebeをプールサイドに連れ出すところなど。
わざわざモーリシャスまで行かないでもと思わなくもないが。f:id:bokenkozo:20180625112243j:plain

  

ロケ地
Troja Palace (Prague)

 

  

 

この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/7gqh/?lang=hindi

 

Welcome To New York

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ヒンディー映画「Welcome To New York 」(2018)

配役:

Teji役:Diljit Dosanjh
Jeenal Patel役:Sonakshi Sinha
Riteish役:Riteish Deshmukh
Rana Daggubati役:Rana Daggubati
Sophia役:Lara Dutta
Karan/Arjun役:Karan Johar 
Kabir役:Emraan Hashmi
Mr. Garry役:Boman Irani
Aditya役:Aditya Roy Kapur 
Sushant役:Sushant Singh Rajput
Jeenal Patelの祖父役:Rajendra Shastri
イギリス人バーテンダー役:Sammy John Heaney


ちょろっと出演するみなさま
Disha Patani、Neha Dhupia、Preity Zinta、Taapsee Pannu、Shahid Kapoor、Suneil Shetty、Tiger Shroff、Salman Khan、Mohit Sinha、Katrina Kaif、Varun Dhawan
Alia Bhatt、Arjun Kapoor、Sonu Soodなど

  

ネタバレしない程度のあらすじ:

俳優志望のパンジャブ出身のTeji(ディルジート・ドーサンジ)と映画俳優の衣装を担当したいと夢見るグジャラート出身のJeenal Patel(ソーナクシー・シンハー)の二人は、ニューヨークで催されるIIFA(国際インド映画アカデミー)賞の授賞式に参加できるという新聞広告を見て応募。
見事二人が選ばれたのは、主催者Mr. Garry(ボーマン・イラーニー)を罠にはめてやろうと企む部下のSophia(ラーラー・ドゥッタ)の企みだった。そうとは知らない二人はニューヨークでカオスにはまる。

 

小僧的視点:

評論家たちから星5つのうち1だの0.5だのつけられ、
「この映画が存在すること自体が無駄」
とまで言われてしまっている映画。
なんでそんなものにかかずらわっているのかといえば、いつもの怖いものみたさでもない。
Sushant Singh Rajputの次の映画っていつ公開だっけなぁ? 調べていたら今年Sushantがこれに出演していることがわかり
「あれ? いつの間に? しまった、出遅れた!」
状態で観てみたのだが、インド映画で活躍している俳優達がわんさか出て来るし、ボリウッド映画のギャグやくすぐりもたくさんあって落語のような映画だった。
落語にゲージュツ性を求めても意味はないし、筋書きの稚拙さをどうのこうの言ってもはじまらない。落語の存在自体が無駄だといわれば、その通りである。
ボリウッド映画における一席の落語だな」
最初から割り切って付き合えば十分楽しめる。ただし、歌舞伎を知らなければ四段目はただ丁稚が階段から落ちる話であるように、ボリウッド映画をまったく知らなければただの駄作なので観る必要はない。

 


飛行機の中で映画でM.S. Dhoniというクリケット選手の役を演じていたSushant Singh RajputにでくわしたTejiは、Sushantを完全にM.S. Dhoni本人だと勘違いし、横でJeenalが「彼はSushant Singh Rajputなのよ」

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こっそり教えてくれているのに「わかってるわかってる」とまったく聞く耳をもたず。

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「ところで、奥様のSakshiさんはお元気ですか?」
独身のSushant Singh RajputにM.S. Dhoniの妻のことを訊ねてダメ押し。

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「もちろん元気ですよ」
この笑顔で答えたSushant Singh Rajputだったが、しまいにはM.S. Dhoniとしてサインをさせられるはめになっていた。
当初の目的である「Sushant Singh Rajputの出演作品」としても楽しめたので、大変満足。(←え? そうなの? 幸せのハードル低すぎないか?)

 

 

なんちゃってロケ地
The FuseIage of Air India (Sky)

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 ロケ地特定も、今回はギャグで応酬。ただ、面倒くさいだけでは決してない。

 

この映画が観られるサイト:


Welcome to New York 2018 full movie - Video Dailymotion

ヒンディー語のみ

 

 

Lagaan

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ヒンディー映画「Lagaan」(2001)

配役:

Bhuvan役:Aamir Khan
Gauri役: Gracy Singh
Elizabeth Russell役:Rachel Shelley 
指揮官Andrew Russell役:Paul Blackthorne 
Bhuvanの母親Yashodama役:Suhasini Mulay
Raja Puran Singh役:Kulbhushan Kharbanda
Mukhiya Ji役:Rajendra Gupta
Bhura役: Raghubir Yadav 
占い師Guran役:Rajesh Vivek 

 


ネタバレしない程度のあらすじ:

1893年、英国領チャンパネール(現在のインド・グジャラート州)では、農民達が干ばつに苦しんでいた。
Andrew Russell指揮官(ポール・ブラックソーン)は村人Bhuvan(アーミル・カーン)に狩りを邪魔され、屋敷を訪ねて来たインド人領主が肉を食べるのを拒んだことから、去年の延滞分と合わせて2年分の年貢を一度に払うようにと無理な要求をする。
とばっちりを受けた農民達は領主のところに押し掛けるが、Bhuvanがイギリス人将校達が興じていたクリケットを馬鹿にしたことから、
「3カ月後にクリケットの試合をし、Bhuvan達がクリケットでイギリス人チームに勝てば3年間年貢は免除、負ければ3倍支払う」
AndrewとBhuvanは賭け試合をすることになってしまう。

しかし、村人の誰ひとり一人クリケットなどやったことはない。尻込みする村人を巻き込んでチームを作り上げてゆくBhuvanにAndrewの妹Elizabeth (レイチェル・シェレイ)が強く惹かれ、Bhuvanの幼なじみでに恋心を抱くGauri(グレーシー・シン)がやきもちをやく。Gauriに思いを寄せているGuranはBhuvanへの嫉妬心から、Andrewを訪れてBhuvan達チームメイトを裏切って八百長試合をする約束をする。Guranの密告で妹のElizabethがBhuvan達に加担していることがわかったAndrewはElizabethを咎めて大喧嘩となる。

そして試合当日、Guranの裏切りに加えAndrew達のチームはデッドボールなどいろいろと汚い手を使ってきて、にわか造りのBhuvanのチームは苦戦。
果たして、年貢は3年間ナシなのか三倍になるのか?!

小僧的視点:

「Ram Ram」という挨拶をしていたせいなのか、勝手に舞台はラジャスタンだと勘違いしたのだけれど、架空の町だと思っていたチャーンパネールというところがグジャラートにちゃんとあった。ただ、撮影はチャーンパネールでは行われていない。

乾燥していて農業メインの電気と情報伝達手段と車がない場所をRajasthan、Nasik、UPなどに探した結果、グジャラート州Bhuj近郊のこの村を探し当てた。伝統的な集落は約4か月かけて地元の人が作り上げたもので、リアルだけれどセットだ。
干ばつという設定だったが、撮影時は本当にまったく雨が降らず設定がホントになってしまった。撮影終了数週間後に恵みの雨である大雨が来てホッとしたのもつかぬ間、次にはグジャラート地震がこの地方を襲った。イギリス人を含むスタッフが義援金を集めて寄付したという。

日本人にはあまり馴染みがないがクリケットイギリス、オーストラリア、インド、南アフリカ西インド諸島といった英連邦諸国を中心に人気のスポーツで、世界の競技人口はサッカーの次に多いと言われている特にインド、パキスタンスリランカバングラデシュなどの南アジア諸国では圧倒的な人気を誇り、トップ選手の年収は30億円を超え、「M.S. Dhoni: The Untold Story (2016) 」や「Sachin: A Billion Dreams (2017) 」といった現役選手の伝記モノ映画も創られてヒットしたりもしている。
M.S. Dhoni: The Untold Story (2016) 」などは主にその人物像に焦点があたっているので、試合シーンなどルールを知らなくても楽しめるが、4時間近い(224分)尺のうち1時間ちかくがクリケットシーン割かれているこの映画だと少しキツイかもしれない。

もし、これから観るのであれば基本的なルールをさっと読んでおくと良いと思う。
映画の中では6ボールで試合をしているが、本当は1983年当時英国は5ボールでのプレイだったはず。まぁ、ご愛敬ということで。

 

Paul Blackthorne

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Andrew役のPaul Blackthorneはイギリス人なのに、なぜヒンズー語がそこそこ達者なのか、非常に不思議であった。印僑かなにかなのかと思いきや、6か月ヒンズー語を勉強して役にのぞんだ結果なのだという。
島国とはいえ、さすがヨーロッパ人である。アメリカ人ではこうはいかない。
この映画で結構有名になって、アメリカの映画やテレビに出るようになっている。

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右肩上の写真は2016年のものだが、Aamir Khanより4歳若いようには見えない。
当時もPaul Blackthorneは普通にオジサンで、Aamir Khanは普通にバイヤー(おにーさん)だ。やはり、アジア人は若作りがきくということがよくわかった。

 

ロケ地

撮影は主にグジャラート州にて。  

 

ロケ地
 Jam Kunaria Village (Bhuji, Gujarat)

ほとんどの歌はこの村が舞台。
お気に入りはクリシュナ&ラーダ

やきもちを焼いたGauriが「もう二度と私に話しかけないで!」と立ち去ろうとする場面で、「へい、彼女!」と引き留めるところから始まるこの歌もとてもキュート。


雨を待ち望む雰囲気がよく伝わってくる雨乞いの歌。砂漠に暮らす民が「今日はいい天気だね」といったら、それは雨の日なのである。

 

ロケ地
 Vijay Vilas Palace (Mandvi, Gujarat)

Andrewの勤務する本部f:id:bokenkozo:20180622230336j:plain

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ロケ地
 Paragmal Palace (Bhuji, Gujarat)

Andrewがクリケットの賭け試合に関して警告を受けた、英国本部はここf:id:bokenkozo:20180622230359j:plain

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この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/0523/?lang=hindi

 ※最後の最後のところで、アミターブ・バッチャンのナレーションの字幕が出なくなる……

Sanam Teri Kasam

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ヒンディー映画「Sanam Teri Kasam」(2016)

配役:

Inder Parihaar役:Harshvardhan Rane ←テルグ映画の俳優さん ヒンディー映画は初
"Saru"ことSaraswati Parthasaarthy役:Mawra Hocane    ←パキスタン人の新人
Saru'の父親Jayram Parthasaarthy役: Manish Choudhary
Saruの母親役:Pyumori Mehta
Saruの妹Kaveri Parthasaarthy役:Divyetta Singh 
Saruの友達のちに婚約者Abhimanyu Shastry役:Anurag Sinha
警察官役:Murli Sharma
Inderの彼女Ruby Malhotra役:Shraddha Das
スタイリスト役:Vijay Raaz
Inderの父親役:Sudesh Berry 

ネタバレしない程度のあらすじ:

厳格なバラモンの家に育ったSaru(マウラー・フセイン)の父(マニーシュ・チョウドゥリー)は、同じカースト印僑もしくは海外へ出て行く男性でなければと娘の結婚相手に固執

Saruは黒ぶちメガネのぱっとしない容貌の図書館司書。10人もの見合い相手にすでに断られているのだが、姉よりも先の結婚を許されない妹からは早く結婚してくれないと自分の結婚相手に逃げられると急かされていた。

Saru一家と同じマンションに住むInder(ハルシュヴァルダン・ラーネー)は有名な弁護士の息子ではあるが、8年にわたる殺人罪の服役を終えたところ。経歴と全身の入れ墨、ケバい女性と階段の踊り場でキスをしていたりして、Saruの父親からは目の敵にされていた。

ある日、自分のせいで怪我をしたInderの手当てをするSaruをマンションのセキュリティーが目撃し、連絡を受けたSaruの父親がInderの部屋に駆け付けて誤解をし、激高した父は生きているのにSaruの葬式をあげて事実上の勘当をする。
行き場を失ったサルーはInderの助けで一人暮らしを始め、Inderの紹介してくれたスタイリストによって美しい女性に変身。Inderの入手した「バラモンで海外に縁のある男性リスト」を使って見合いしようとしたところに、友人のAbhimanyu Shastry(アヌラグ・シンハ)からプロポーズを受ける。
ところが、結婚当日Abhimanyuは結婚登録所に現れず、SaruがAbhimanyuの家に行ってみるとAbhimanyuの父親が出てきて
「父親から葬式をあげられて死んだことになっている娘との結婚は認められない」
と言われるが、その裏にあった真実は……。

小僧的視点:

 映画の中ででてくる「からくり」は、タイのショートムービーにもあった。


なかなか素敵なカラクリだなと思ったのだけれど、ここのところ図書館はバーコードでピッ!になりつつある。
古い本だとそのままポケットがついていたりするけれど、最新の本にはもうないんじゃないだろうか。洒落た恋の告白もデジタル化とともになくなってしまうのか……と思うとちょっと残念だ。

この映画を観るのははじめてなのに、驚いたことに映画に使われていた曲を3曲知っていた。というか、携帯に入れていつも聴いていた曲だった。「最近流行りのボリウッド音楽」みたいなのをダウンロードしたときに紛れ込んでいたのだろう。

 なんてせつない歌詞なんだろうと思っていたけれど、この場面で使われていたのかと逆に納得するようなていたらく。

 

ロケ地

撮影は南アフリカマハーラーシュトラ州にて。

 

ロケ地
Central Railway (Mumbai, Maharashtra)  

 もう1曲は大麻の入ったバング・ラッシーを飲んで酔っ払っているシーンで使われたこの曲だったが、映画を知らずに聴いていた身としてはソナム・カプールあたりがこの曲で盛大にはっちゃけているんだろうと勝手に勘違いをしていた。

駅のシーンで時計が映りこんでいるために、よくよく注意してみるとSaruがタイムトラベラーであることが判明する。

タイムトラベラー疑惑

 

Abuzar Khan's answer to What are some interesting examples of movie mistakes in Bollywood? - Quora

Scene 1: Harsh goes to collect ticket from ticket counter at 12:57 PM.

Scene 2: By the time he gets the ticket, it is 1:21 PM.

 

What?! 24 minutes to get a local train ticket even though there is no queue?. ............One can travel from Ghatkopar to CST in a Fast local in 24 minutes!

Scene 3: Meanwhile Mawra does time travel and appears at 9:34 AM.

Scene 4: She does it again! Now she goes back to 8:24 AM......I bet she is drinking some time travel potion.

これは笑った。(←ロマンス映画なのに、コメディー扱い)

 

 

ロケ地
 Central Library Cape Town (Cape Town, South Africa)

Saruが勤める図書館は、南アフリカケープタウンにあった。


 

 

ロケ地
Birkenhead House (Hermanus, South Africa)

予告編リリースの時に相当話題になったらしい、バスタブのシーン。
スイートルームで、21時間バスタブに浸かりっぱなしで撮影。
ひぃー、ふやける。

 

 

 

この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/2886/?lang=hindi

 

 

Anaarkali of Aarah

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ヒンディー映画「Anaarkali of Aarah」(2017)

配役:

Anarkali役:Swara Bhaskar 
大学副総長Dharmender Chauhan役:Sanjay Mishra
Rangeela役:Pankaj Tripathi 
同郷のHiraman Tiwari役:Ishteyak Arif Khan 
Inspector Chulbul Pandey役:Vijay Kumar
Chamki Rani役:Ipsita Chakraborty Singh 
Faiyaz Bhai役:Manmohan Joshi 
Sukhilal Sipahi役:Abhishek Sharma 
Dukhilal Sipahi役:Vishwas Bhanu
Anwar役:Mayur More
スタジオのオーナー役:Nitin Arora  

 

ネタバレしない程度のあらすじ:

Anaarkali of  is the story of Anaarkali (スワーラ・バスカー)はインド・ビハール州Aarahの街で、催し物の舞台で掛け言葉のような二重に意味を持つ歌詞の歌を披露しつつ踊るダンサーだった。
ある日、大学の催し物のステージに立っていたAnaarkaliを副総長のDharmender Chauhan (サンジェイ・ミシュラ)が性的いやがらせをし、Anaarkaliは警察に事件として扱うようにかけあうもとりあってもらえず。逆にDharmenderは権力を使ってAnaarkaliに謝らせようとし、それを拒んだAnaarkaliはしてもいない売春でしょっ引かれたり、家をめちゃめちゃに壊されたりする。Dharmenderの手下達に捕えられそうになったAnaarkaliは、彼女に密かな想いを寄せるAnwarの手引きでDelhiへと逃げる。
デリーで知り合ったAarah出身のHiraman Tiwari(イシュティヤク・アリフ・カーン)のつてで、AnaarkaliはCDデビューをするが皮肉なことにこのCDや新聞記事がもとで居場所がばれ、ビハール警察に「Anwar誘拐」という捏造された罪をきせられてしまう。
自首したDelhiからAarahへ連行されたAnaarkaliはDharmenderに赦しを乞い、大学での催し物で歌うことになったが……そこでどんな行動に出たのか?

 

小僧的視点:

インドは楽しい人たちと素敵な場所のあふれる素晴らしい国だと思うけれど、ここにはまず住めないなといつも思う。
台湾に住んでいた時に日本とは違う情・理・法という順番に日々憤っていたものだが、インドはそれに汚職と腐敗と不条理が二乗、いやその百乗くらがのしかかるはずである。

インド在住の日本人ガイドさんからきいた話。
網棚に載せていた荷物が落っこちて、その下に座っていた人のラップトップパソコンが粉々になった。
日本人だったら荷物の持ち主はパソコンの持ち主に謝り倒すだろうし、場合によっては賠償するという流れになるところを、パソコンの持ち主も破片を拾い集めるだけで怒る様子もなく、荷物の持ち主も特に謝る様子もなく……
「しかたないね」
でこの事件は終わったというのだ。

インド人は不条理に慣れきっている。

カーストしかり、身分の差しかり、どうしようもないことに憤っても意味がない。また、権力のあるものにそれを持たざる者がたてついても、ろくなことにならないことをみな知っている。あれだけああでもない、こうでもないと言い訳と口答えをするインド人なのに不条理に遭遇するとある意味、やたらに諦めが早いのだ。

でも、いや、そうじゃない。
ということを訴えているのが、この映画のテーマなのである。

Avinash Das監督のデビュー作。

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Anarkali役のSwara Bhaskarは「Prem Ratan Dhan Payo」でRajkumari Chandrika(写真の左端)を演じていたので顔に覚えがあるのではないだろうか。
自宅でのオフの時と外出時のオンですっかり顔がわりがするのも楽しいが、やっぱりラストシーンに胸がすく。 

 

ロケ地

撮影はデリーとビハール州で行われている。

  

ロケ地
Veer Kunwar Singh University (Arrah, Bihar)

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Anaarkali のステージがこの大学の25周年記念祭の一環として催されたという設定のため、これをめぐり創設者の名誉を傷つけるおそれがあるので当該シーンを削除すべきといった議論炸裂。

 

 ま、せくしぃだけれども、別に名誉が傷つくような感じはしない……。

 

ロケ地
 India Gate (New Delhi, Delhi)

 Anwarとバスの車窓からインド門を見てはしゃぐf:id:bokenkozo:20180620140950j:plain

 

youtu.be

 

ロケ地
Yamuna Pushta, Yamnar River (Delhi)

 Hiraman Tiwariとヤムナー川のほとりを歩く。f:id:bokenkozo:20180620144256j:plain

 


 

ロケ地
Seelampur (Delhi)

 AnwarとAnarkaliがDelhiの住処としたスラムがここ。f:id:bokenkozo:20180620204803j:plain

メイキングの動画を観るとせまーい路地、見物客であふれかえっている。

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ArrahとAranya Devi
ビハール州パトナから80kmのところにあるArrahはガンジス川とソン川に挟まれた地域にあり、”Ara”と表記されることもある。
「アラー」だし、なにかイスラム教と関係があるのかと思ってしまうが、ヒンドゥ教で森林や動物をつかさどる女神アランヤニ(Aaranya Devi)を祀る、インドで唯一の有名なお寺があることからこの名がつけられている。
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女神アランヤニは、古代インドの聖典ヴェーダのうちの「リグ・ヴェーダ」に記載がある。野生の香りを身にまとった森の精霊で、ダンサーだと説明されている。姿は見えないが鈴のついたアンクレットをつけていて、チリンチリンと音をさせる。声は家畜を呼ぶようでもあり、木が倒れる音のようでもある。町に出て来ることはないが夜の森にいると、遠くから彼女が泣いているような声が聞こえることがある。
Anaarkaliの歌声はどちらかというと野太く、歌手でもあるがダンサーでもある。また、鈴のついたアンクレットもつけている……Aaranya Deviをモデルにしてる? などとチラリと思ったりするのである。
 
  

この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/3AuC/?lang=hindi

 

Sholay

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ヒンディー映画「Sholay」(1975)

配役:

Veeru役:Dharmendra 
"Thakur"ことThakur Baldev Singh役:Sanjeev Kumar
Basanti役:Hema Malini←Dharmendraの二人目の妻(妻2人持ち)
Jai (Jaidev)役:Amitabh Bachchan
Thakurの死んだ息子の嫁Radha役:Jaya Bhaduri ← Amitabh Bachchanの妻
Gabbar Singh役:Amjad Khan
Thakurの使用人Ramlaal役Satyen Kappu
村のイスラムリーダーRahim Chacha役:A. K. Hangal
イスラムリーダーの息子Ahmed役:Sachin
木材商人Soorma Bhopali役:Jagdeep
Basantiの叔母Mausi役:Leela Mishra
チャップリン風な看守:Asrani
監獄の床屋で密告屋Hariram役:Keshto Mukherjee
Gabbar Singhの手下Sambha役:Mac Mohan
Radhaの父親Inspector Khurana役:Iftekhar
 "Mehbooba Mehbooba"曲中特別出演:Helen 
 "Mehbooba Mehbooba"曲中特別出演:Jalal Agha

 


ネタバレなどしない、ものすごくシンプルなあらすじ:

5万ルピーの懸賞金のかかっているGabbar Singh(アムザード・カーン)は盗賊のカシラで、Ramgarh村で村人を脅し傍若無人な振る舞いをしていた。村に住む元警察官のThakur(サンジーブ・クマール)は追加の2万ルピーを払うから生け捕りにせよと、務所帰りの仲良し二人組Veeru(ダーメンドラ)とJai(アミターブ・バッチャン)を雇い入れる。
Veeruは村の娘Basanti(ヘマ・マリニ)に、JaiはThakurの義理の娘・未亡人Radha(ジャヤ・バードリ)に恋をして……

小僧的視点:

インド映画好きのみなみなさまが、みな口を揃えて「これを観ておかないとインド映画の理解が深まらない」的なことを書いておられるので
「はぁ、そうですか」
という感じで観てみた。
お笑い、色恋、歌と踊り、アクション、復讐劇……なんでもある荒物屋みたいな映画だったが、 286週連続公開という常識破りの記録を誇る、インド映画史上最大のヒット作であった。

Amitabh Bachchanは1973年31歳の時に結婚しているので、映画公開時はすでにはJaya Bachchanだったはずなのに、クレジットはJaya Bhaduriになっている。それもそのはず、撮影は2年に渡って行われたので撮影開始は1973年10月2日だったのだ。
30歳にして12本の大コケ、ヒット作2本のみだったAmitabh Bachchanをスターダムに押し上げた「Sholay」は今もなおカルト的人気くすぶる伝説の映画となっているだけあって、私のごときロケ地巡りをする人(=ロケ地巡りスト)がたんまり。
いつも映画のあらすじと解説を勝手にまかせっきりにしている、かの日本に亡命した自称デリー皇帝でさえもロケ地巡りストと化していた。

カルナタカ州RamgarhやRamnagaraまでデリー皇帝はバスやらリキシャで赴いたようだが、インド人はバイクでツーリングがてら行く人が多いようだ。 
なにやら50ルピーの入場料を取るゲートのようなものがあり、タイミングがズレるとゲートが閉まっていて行かれないような仕組みになっている。


 


 ロケ地巡りストの中でも面白かったのはこの記事でのロケ地、今昔。

 

当時(村全体が全部セット)

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当時

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今(岩のカタチも風雨によって変わっている!)

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当時

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当時

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当時

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3世代にわたってインド人はこの映画を観ているといわれるだけあって、40数年の月日が感じられる。

そして2017年、とうとうこの村に750万ルピーを投じSholay-the-3D Virtual Reality Village(Sholayのテーマ村)を作ろうという提案が持ちあがった。
いやぁ、インド人ののんびりっぷりはスケールが違う。公開から42年後って。

 2018年6月現在まだできているようすはない。というのも、このあたりが禿ワシの保護区となっていて、そこに観光施設を作るわけにはいかないのだという。保護区にひっかからないように建物の建設を場所をズラして行えばいい。でも、それってロケ地そのものじゃなくない? だったら専門ガイドをつけて、ロケ地そのものに行きたい人は案内すればいいんじゃないのか? といった討論になっていてちっとも進んでいないようだ。出来上がるのにまた50年かかる、げにインドな展開かもしれない。

上記の記事に「Sholay」にエキストラ出演したという現在保護区の夜警をしているVeeraiahなる人が出て来る。

Veeraiah, the 70-year-old night watchman at the sanctuary,
(中略)

Veeraiah hopes that he will be hired as an official tour guide if the project materialises. “I hope they give me a costume too,” he said.

 テーマ村ができたらオフィシャルガイドとして雇ってもらいたいとかいっているのだが、この人70歳なのである。こういう生き証人が生きているうちにできるといいなとか。120歳のガイドさんねぇ……とか考えてみるわけである。

Sholayのそんなファンでもないからかもしれないが、テーマ村ができたら行きたいかと問われれば、あまり行きたくはないのだ。
確かにここがこのシーン、ここがこのシーンと解説されながら回れば見落とさないのだろうけれど、なにか違う。
やはり私にとってのロケ地巡りは
「ここなんじゃないの? あれ、ちょっと違うな。やっぱりここかも。えー? なくなってんの! なんで?」
といった、そこに至る紆余曲折と冒険が楽しいのであって、その現場そのものをただ確認することにはあまり魅力を感じていないのかもしれない。
ロケ地テーマ村化の記事にふれることにより、そんなものがあるとは夢にも思わなかったけれど「ロケ地巡りストの美学」みたいなものがあることに気付いたのである。

 

 

Gabbar Singh

f:id:bokenkozo:20180619125406j:plain「KITNE AADMI THAY?(男は何人だった?)」「Gabbar Is Back」という映画のポスター上部に書かれている文字は、「Sholay」でGabbar Singh登場の時の台詞で、日本における
「この印籠が目に入らぬか?」
くらい、映画好きなら誰でも知っている有名な台詞。
ところが、私のようなぽっと出のインド映画好きは
「なぜBackなのか?」
「これは、なにかの続編なのか?」
などと思ってしまうわけである。

インド映画好きであればGabbarという名前を聞いただけで、「もしかしたら?」と思い、Akshay Kumarの風貌を見て「きっとそうだ!」と考え、
「KITNE AADMI THAY?」を見て「ああ、奴が帰ってきたのだな」と確信するのであろう。


Gabbar Singhは架空の人物ではあるが、役柄が独り歩きしていてさも実在の人物のように思ってしまっている人もいる。日本でいえば金田一耕助のようなものかもしれない。

Gabbar Singhを演じたペシャワール(現パキスタン)生まれのアムジャド・ハーンは、52歳と若くしてすでに亡くなっている。

 


Gabbar Singhの最期

「Sholay」のエンディングは2種類ある。私が観たのはThakurがGabbar Singhを足技のみでやっつけるというものだった、これが検閲局から「暴力的過ぎる」と判断を下され、警察がGabbar Singhを逮捕するバージョンというのが撮り直されている。

 

 

ロケ地
 Ramgarh Village (Karnataka)

村のシーンは全部ここ


 

ロケ地
Ramnagara (Karnataka)

 Gabbar Singhのアジトはここへ行く道すがらにある。

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この映画が観られるサイト: 

https://einthusan.tv/movie/watch/0910/?lang=hindi