ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

Anaarkali of Aarah

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ヒンディー映画「Anaarkali of Aarah」(2017)

配役:

Anarkali役:Swara Bhaskar 
大学副総長Dharmender Chauhan役:Sanjay Mishra
Rangeela役:Pankaj Tripathi 
同郷のHiraman Tiwari役:Ishteyak Arif Khan 
Inspector Chulbul Pandey役:Vijay Kumar
Chamki Rani役:Ipsita Chakraborty Singh 
Faiyaz Bhai役:Manmohan Joshi 
Sukhilal Sipahi役:Abhishek Sharma 
Dukhilal Sipahi役:Vishwas Bhanu
Anwar役:Mayur More
スタジオのオーナー役:Nitin Arora  

 

ネタバレしない程度のあらすじ:

Anaarkali of  is the story of Anaarkali (スワーラ・バスカー)はインド・ビハール州Aarahの街で、催し物の舞台で掛け言葉のような二重に意味を持つ歌詞の歌を披露しつつ踊るダンサーだった。
ある日、大学の催し物のステージに立っていたAnaarkaliを副総長のDharmender Chauhan (サンジェイ・ミシュラ)が性的いやがらせをし、Anaarkaliは警察に事件として扱うようにかけあうもとりあってもらえず。逆にDharmenderは権力を使ってAnaarkaliに謝らせようとし、それを拒んだAnaarkaliはしてもいない売春でしょっ引かれたり、家をめちゃめちゃに壊されたりする。Dharmenderの手下達に捕えられそうになったAnaarkaliは、彼女に密かな想いを寄せるAnwarの手引きでDelhiへと逃げる。
デリーで知り合ったAarah出身のHiraman Tiwari(イシュティヤク・アリフ・カーン)のつてで、AnaarkaliはCDデビューをするが皮肉なことにこのCDや新聞記事がもとで居場所がばれ、ビハール警察に「Anwar誘拐」という捏造された罪をきせられてしまう。
自首したDelhiからAarahへ連行されたAnaarkaliはDharmenderに赦しを乞い、大学での催し物で歌うことになったが……そこでどんな行動に出たのか?

 

小僧的視点:

インドは楽しい人たちと素敵な場所のあふれる素晴らしい国だと思うけれど、ここにはまず住めないなといつも思う。
台湾に住んでいた時に日本とは違う情・理・法という順番に日々憤っていたものだが、インドはそれに汚職と腐敗と不条理が二乗、いやその百乗くらがのしかかるはずである。

インド在住の日本人ガイドさんからきいた話。
網棚に載せていた荷物が落っこちて、その下に座っていた人のラップトップパソコンが粉々になった。
日本人だったら荷物の持ち主はパソコンの持ち主に謝り倒すだろうし、場合によっては賠償するという流れになるところを、パソコンの持ち主も破片を拾い集めるだけで怒る様子もなく、荷物の持ち主も特に謝る様子もなく……
「しかたないね」
でこの事件は終わったというのだ。

インド人は不条理に慣れきっている。

カーストしかり、身分の差しかり、どうしようもないことに憤っても意味がない。また、権力のあるものにそれを持たざる者がたてついても、ろくなことにならないことをみな知っている。あれだけああでもない、こうでもないと言い訳と口答えをするインド人なのに不条理に遭遇するとある意味、やたらに諦めが早いのだ。

でも、いや、そうじゃない。
ということを訴えているのが、この映画のテーマなのである。

Avinash Das監督のデビュー作。

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Anarkali役のSwara Bhaskarは「Prem Ratan Dhan Payo」でRajkumari Chandrika(写真の左端)を演じていたので顔に覚えがあるのではないだろうか。
自宅でのオフの時と外出時のオンですっかり顔がわりがするのも楽しいが、やっぱりラストシーンに胸がすく。 

 

ロケ地

撮影はデリーとビハール州で行われている。

  

ロケ地
Veer Kunwar Singh University (Arrah, Bihar)

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Anaarkali のステージがこの大学の25周年記念祭の一環として催されたという設定のため、これをめぐり創設者の名誉を傷つけるおそれがあるので当該シーンを削除すべきといった議論炸裂。

 

 ま、せくしぃだけれども、別に名誉が傷つくような感じはしない……。

 

ロケ地
 India Gate (New Delhi, Delhi)

 Anwarとバスの車窓からインド門を見てはしゃぐf:id:bokenkozo:20180620140950j:plain

 

youtu.be

 

ロケ地
Yamuna Pushta, Yamnar River (Delhi)

 Hiraman Tiwariとヤムナー川のほとりを歩く。f:id:bokenkozo:20180620144256j:plain

 


 

ロケ地
Seelampur (Delhi)

 AnwarとAnarkaliがDelhiの住処としたスラムがここ。f:id:bokenkozo:20180620204803j:plain

メイキングの動画を観るとせまーい路地、見物客であふれかえっている。

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ArrahとAranya Devi
ビハール州パトナから80kmのところにあるArrahはガンジス川とソン川に挟まれた地域にあり、”Ara”と表記されることもある。
「アラー」だし、なにかイスラム教と関係があるのかと思ってしまうが、ヒンドゥ教で森林や動物をつかさどる女神アランヤニ(Aaranya Devi)を祀る、インドで唯一の有名なお寺があることからこの名がつけられている。
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女神アランヤニは、古代インドの聖典ヴェーダのうちの「リグ・ヴェーダ」に記載がある。野生の香りを身にまとった森の精霊で、ダンサーだと説明されている。姿は見えないが鈴のついたアンクレットをつけていて、チリンチリンと音をさせる。声は家畜を呼ぶようでもあり、木が倒れる音のようでもある。町に出て来ることはないが夜の森にいると、遠くから彼女が泣いているような声が聞こえることがある。
Anaarkaliの歌声はどちらかというと野太く、歌手でもあるがダンサーでもある。また、鈴のついたアンクレットもつけている……Aaranya Deviをモデルにしてる? などとチラリと思ったりするのである。
 
  

この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/3AuC/?lang=hindi