ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

インド映画ロケ地巡り Umrao Jaan

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ヒンディー映画「Umrao Jaan」(2006)

配役

Nawab役:Abhishek Bachchan
Amiran (Umrao Jaan)役:Aishwarya Rai
Khanum Jaan役:Shabana Azmi
Faiz Ali役:Sunil Shetty

ネタバレしない程度のあらすじ

ラクナウに住む文学者ミルザー・ムハンマド・ハーディー・ルスワーは、近所に住む有名な”タワイフ(踊り子)”Umrao Jaan(アイシュワリヤー・ライ)を訪ね、ルスワーを温かく迎えたUmraoが彼に乞われて自分の人生を語るというスタイルで映画は進んでゆく。

1840年、ファイザーバードのバフー・ベーガム廟に勤める下級官吏の娘Amiranは、自分の父親に恨みを持つ男によって誘拐され、ラクナウで有名なKhanum(シャバーナー・アーズミー)が経営する置屋に150ルピーで売り飛ばされる。
「Umrao」という新しい名前を与えられたAmiranは、養父母に実の娘のように可愛がられながら、詩や舞踊といったタワイフになるための芸術的教育を養父から受けた。
成長したUmrao(アイシュワリヤ・ラーイ)は王族貴族達の集う宴にてデビュー、その美貌と詩の才能によってたちまちラクナウにその名をはせ、貴公子Nawab Sultan(アビシェーク・バッチャン)の目にとまる。
姉妹同然に育ちすでにデビューしていたタワイフ達から決して恋をしてはならないといさめられるものの、UmraoはNawab に恋をしてしまうのだった。

ところがNawabの父親は息子がタワイフにうつつを抜かしていると知って、Nawabを勘当。無一文になったNawabは叔父のもとに身を寄せ、Khanumの館へも通えなくなってしまうが、UmraoはただひたすらNawabが一財産築いて迎えに来るのを待ち続けた。
Nawabともう1人Umraoに入れ込んだのが盗賊Faiz Ali(スニール・シェッティー)。Faiz Aliは貴族というふれこみで館に入り、Umraoを口説く。置屋のお母さんKhanumもNawabを忘れ、Faiz Aliの相手をするよう命令するがUmraoはそれを頑なに拒むのだった。

NawabがGarri(多分UPのガリー)にいるという噂をききつけたUmraoはFaiz AliをだしにしてGarriへと向かうが、Faiz Aliの正体が途中で明かになり、Garri領主によって捕らえられてしまう。
噂通りNawabはGarriに居たが、Faiz Aliの作り話を信じてしまい、Umraoが自分を裏切ったと勘違いし他の女性と結婚してしまう。Umraoは傷ついた心をかかえてラクナウへ戻る。

時は1857年、のちに『セポイの反乱』と呼ばれるのものがラクナウで起き、タワイフたちは散り散りになってラクナウから逃げ出した。Umraoも故郷ファイザーバードに戻り、タワイフとして働きはじめる。
故郷にて父親が既に死去したこと、弟が生家に今でも住んでいることなどをつきとめたUmraoは、躊躇のあげくとうとう自分の生家を訪れる。しかし、実の母親や弟は娼婦となって家の名誉を汚したUmraoを家にも入れず、帰れと突き放した。Umraoはファイザーバードにもいられなくなり、再びラクナウに戻ることに。

ファイザーバードからラクナウに戻る途中、Umraoは1人の乞食と出会う。乞食は紛れもなくUmraoを誘拐し、置屋に売り渡したあの男であったがすっかり変わり果て、貧困と病苦に喘いでいた。Umraoは乞食に金の腕輪をくれてやると同時に
『彼を許してやって下さい。私はもう許しました』
神と対話するのであった。

小僧的視点

ミルザー・ムハンマド・ハーディー・ルスワーが1899年に発表したウルドゥー文学初の小説「Umrāo Jān Adā」が原作になっている。
「Umrāo Jān Adā」は1958年の「Mehndi」、1975年の「Zindagi Aur Toofan」、1981年の「Umrao Jaan」と映画化されてきてこの映画は4つめにあたる。
Rekhaが主演した1981年の「Umrao Jaan」が最も有名なのだけれど、タワイフとしてのUmraoの描かれ方がもう少しシリアス。
私は生き物がイチャイチャしているのを見るのが大好きなので、実生活で結婚間近の超ラブラブ状態の二人(Aishwarya RaiAbhishek Bachchan)が無駄にイチャイチャするシーンが気に入ってこれを選んだ。
映画の8割がラクナウで、残りの2割はジャイプールで撮影されている。

 

Umrao Jaanの”Jaan”は日本語でいうと「太夫」、いや、日本では幕末~明治の頃で宝暦年間以降だから、「花魁」というべきか。美貌と機知を兼ね備え、人気を集めることの出来る高いランクのタワイフが冠したようだ。

みどころはイチャイチャ(←それ、オマエだけだろ!)以外にも、ムガール帝国ムガール宮廷から綿々と続き、18世紀以降には現在のラクナウであるアワド藩王国やラジャスタンにて全盛期を迎えた宮廷舞踊。グングルと呼ばれる真鍮の鈴を100個から200個巻いてUmraoが踊るさまは、まるで夢のように幻想的だ。

Pooch Rahe Hain(They are asking)」

19世紀のラクナウの繁栄と混乱、そして没落もこの映画でさらりと感じることができる。
あらすじの中で本来ならば「娼館」と書くべきところを「置屋」としてみたり、「娼婦」とすべきところをウルドゥー語の「タワイフ(踊り子)」で通しているのは、一途なUmrao Jaanを娼婦と表現するのに納得がいかないからだ。
当時のタワイフ(踊り子)達は幼いときから優れた師について教えを受け、師から許しを得て宮廷に上がり、高貴な宮廷人のサポートを受けて高い教養と芸妓で人々を魅了したという。
どこがUmrao Jaanと違うのか、私にはわからない。

 

 

 

ロケ地
Safed Baradari (Lucknow)

 

https://www.instagram.com/p/BYNcrU3HLp_/

Safed Baradari where bollywood movie Tanu wed Manu and Umrao Jaan were shot.#lucknow #india #uttarpradesh #trip #travel #safedbaradari #tanuwedsmanu #umuraojaan

撮影がおこなわれたのはサフィード・バラダリ(Safed Baradari, Qaiserbagh, Lucknow)、サフィード・バラダリは日本語でいうと白い城で 1854年にNawab(太守)の Wajid Ali Shahによって建てられたもの。

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中はこんな感じ。ナワーブという太守のお城だったのだけど、今は結婚式場として使われることが多くこの日もバンケットの準備が中で行われていた。

 

ロケ地
Jama Masjid (Lucknow)

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「お祈りする人以外は絶対立ち入り禁止」とか書いてあって、敷居がもの凄く高かったのだけれど、信者さんにエスコートしてもらってお邪魔してきた。
うーん、どのシーンなんだろう?
あったような、なかったような。 でも、内部の装飾は細密で美しかった。

1981年Rekha主演のUmrao Jaanの撮影はラクナウとその近郊のMalihabadや、ラクナウに遷都される前にアワドの首都であったFaizabadにても行われた。 

この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/6Pcr/?lang=hindi

 

旧いバージョンが観られるサイト:

Umrao Jaan (1981) Hindi in HD - Einthusan