バケツと手桶の理由
インド名物、バケツと手桶
ツアー客が泊まるような5つ星ホテルではさすがに見かけないけれど、いわゆる旅人が普通に泊まるホテルやゲストハウスの浴室には、必ずといっていいほどこのバケツと手桶のセットがある。
こんな風に、シャワーヘッドがあっても蛇口の下にあるのが一般的。
バスタブが無いからなのかと思ってはいたのだけれど、ラダックのレーで泊まったホテルでは浴槽があるにもかかわらずやっぱりバケツと手桶が完備されていて
「なぜ、あるのだ?」
疑問は深まるばかり。インド通の同僚に訊いてみたところ
・断水に備えて水を貯めておくため
・洗濯に使うため
・浅いバスタブだと叶わない足湯もこれなら可能
・なんならバスタブとして浸かってみるのも一興(ただし、ものすごくコンパクトな体型の人に限る)
などの答えをくれて納得していたのだが、今回違う理由があることを体感した。
ズバリ、答えはこれ。
レバーをお湯のところにしていくら出してお湯が出てこないので、
「お湯が出ない!」
文句を言うと、スタッフが浴室にあるこの電熱器のスイッチを入れにきて
「15分くらいするとお湯が出るから」
と帰っていく……この給湯システムにあった。
スイッチを入れると電気が入り、タンクの中の水が温まるしくみなのだが、タンク内にあるお湯を使い切ってしまうと水しか出なくなるので、今日は念入りに髪を洗おうと思ったらまずタンクの水を全部バケツにあけきり、さらにもう一ラウンドタンクの中の水がきちんとお湯になったところでスイッチを切ってからシャワーを開始するという計画性が必要になる。
そんなしちめんどくさいことをしなくても、スイッチを入れたまま、沸かしながらシャワーを浴びればいいじゃないか……と思うのが素人のあさはかさ。(←なんの素人なんだ?)
これをやって、ちょっとお湯を止めようと思って触ると、ビリビリビリッ! 熱すぎるからちょっと温度を調節しようと思うと、ビリビリビリッ!
濡れた手でシャワーの金属製のレバーを弄るたびに、軽めに感電するのである。
濡れた手で触らなきゃいいのだが、シャワーを浴びている場合、間違いなく手は濡れている。そこで、乾いたタオルを持ってきてそれにレバーをくるんでから操作したり、もしくは手をきちんと拭いてからレバーをいじるというさらに面倒くさい展開が待ち受ける。
そうか、感電しないためにあるバケツと手桶だったのか!
ということに、今回やっと気付くに至ったのであった。