The Shape of Water
アメリカ映画「Shape of Water」(2017)
配役:
Elisa Esposito役:Sally Hawkins
Richard Strickland役:Michael Shannon
Giles役:Richard Jenkins
Z,elda Fuller役:Octavia Spencer
Robert Hoffstetler / スパイDimitri Mosenkov役: Michael Stuhlbarg
"半魚人男性"役:Doug Jones
Stricklandの妻Elaine Strickland役:Lauren Lee Smith
Zeldaの夫Brewster Fuller役:Martin Roach
映画館のオーナーMr. Arzoumanian役:John Kapelos
パイ屋の店員役:Morgan Kelly
ネタバレしない程度のあらすじ:
1962年、アメリカとソ連の冷戦まっさかりの頃。首に傷を持つElisa Esposito(イライザ・エスポジト)は子供の時に川のそばに捨てられており、声が出ないので手話でコミュニケーションをする。映画館の上にあるアパートに一人暮らし、Baltimoreにある政府の秘密研究所で清掃の仕事をして生計を立てていた。一人で安アパートに暮らす中年女性。
友人は隣に住むイラストレーターでパイ屋の男に想いを寄せるGiles(ジャイルズ)という男性と、仕事仲間の黒人女性Zeldaだけ。
ある日、Elisaの勤務する研究所にプロジェクトリーダーのColonel Richard Stricklandによって、アマゾン川で捕獲されたという不思議な両生類が運び込まれてきた。この生き物に興味を示したElisaはその生き物が半魚人であることをつきとめ、ちょくちょく訪ねては好物のゆで卵を与えたり、レコードを聴かせたり、手話を教えたりして仲良くなってゆく。
しかし、研究が思うように進まず、Colonel Richard Stricklandが解剖実験を行うことを推し進めたため、これを知ったElisaはすぐにでも行動を移さないと半魚人が殺されてしまうと、Gilesと共謀して半魚人を助け出して家にかくまうことに。
小僧的視点:
最初「Shape of Water」ときいて、何のカタチなんだろうと思った。半魚人が水に浸かっているのでそのカタチなんだろうかとか。
見ているうちにわかってきたのは、実は「Shape of Love」で、それも水のように容器によってさまざまなカタチに変容可能なもののことだった。
半魚人に指を食いちぎられたRichard Stricklandはきちんとした仕事についてタイトルもある。ブロンドの美しい妻と子ども二人が新居で帰りを待ち、気に入った色の新車のキャデラックに乗ってなに不自由のないアメリカの理想的な家族であるのに対し、他の登場人物たちは真逆の位置にある。
半魚人に愛される声を持たない独身中年のElisa、仕事に復帰したいのに叶わないゲイのGiles、肌の色や職業とともに女性であることで正当に扱ってもらえないZelda、アマゾンから無理やり連れてこられて乱暴される半魚人。
世間一般から見るとマイナスとなりうる障害や差別や葛藤といったことが、相手が変わればそれこそが通じ合うための、補い合うための接点になる。
半魚人にとってはElisaが「口がきけない」ということは何の障壁にもなりえず、私たちがする身振り手振りのかわりにすっと手話をコミュニケーションツールにするのもそうだ。
この映画は変幻自在の水のようにイロイロな人生、イロイロな愛のカタチがあっていい。こうじゃなきゃいけないのだということはない……ということを教えてくれているような気がした。
好きだったのはアパートの部屋を水浸しというか水槽にしてしまうダークで幻想的なシーンと、家出をした? 半魚人が映画館のスクリーンの前に突っ立ってる場面。
前に観たSFモノでガラス張りの棺桶みたいのに入ると、傷がなおってもと通りになるっていう設定があったのだけれど、この映画でも半魚人が触って念を込めると傷が治ったり毛が生えてきたりするという設定だった。
西洋医学、漢方、鍼灸、アーユルベーダと手を尽くしてもなかなか治らない病気の家族のために、今、カプセルか半魚人がとても欲しい……。
半魚人、どこにいったら会えるかなぁ?
ロケ地
撮影はカナダにて。
Toronto (Ontario, Canada)
Hamilton (Ontario, Canada)
この映画が観られるサイト: