ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

Poorna: Courage Has No Limit

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ヒンディー映画「Poorna: Courage Has No Limit」(2017)

配役:

Aditi Inamdar as Poorna
Dr. R.S. Praveen Kumar役:Rahul Bose  ←監督
Meena Gupta役:Heeba Shah 
Alexander役:Dhritiman Chatterjee
従姉Priya役:S. Mariya 
N. Kiran Kumar Reddy役:Harsha Vardhan 
Shekhar Babu役:Gyanendra Tripathi 
Anand役:Manoj Kumar
Priyaの父親役:Dr. Rayala Harischandra 
Poornaの母親役:Laxmi Kalyani
Poornaの父親役:Kabeer
Colonel Khan役:Arif Zakaria
Priyaの夫役:D.Raju

 

 

ネタバレすれすれのあらすじ:

 

実際にあった話に基づいた話で、監督はDr. R.S. Praveen Kumar役のRahul Bose(ラフル・ボーズ)。
テーランガーナ州Pakalaに住むテルグ(語)族のPoorna Malavath (アディティ・イナムダール)は農場で働く母Lakshmiと父 Devidasの娘だった。従姉のPriyaとともに山越え谷超えして学校に通っていたが父親が授業料を納められないために授業を受けさせてもらえず、行くことは行っても学校では掃除をさせられるだけだった。

ある日、二人が掃き掃除をしていて見つけたのが社会福祉庁のチラシ。そこには毎日たまご一つが食事に出て授業料も無料、制服も貸与の学校があると書いてあった。

二人は早朝に家出をしてこの学校へ行こうとするがPriyaの父親に見つかってしまい、Priyaはすぐに結婚させられてしまう。ひとりになったPoornaはふさぎこみ、見かねた父親が社会福祉教育庁の運営する寄宿学校にとうとう入れてくれた。

最初は仲間に入り切れずに躊躇し、卵などひとつも出ない粗悪な米にカレーの汁がかけられただけの臭い食事にがっかりしたPoornaだったが、そこに現れたのが福祉を担当する秘書官のDr R.S. Praveen Kumar である。
予算をちゃんと出しているのにきちんとした食事出していないことに気付いたPraveenは学校で働く職員を全員クビにすると脅して大ナタを振るい、環境の改善をはかった。
やっと軌道修正のかなった学校だったが、今度は
「これ以上背がのびたら貰い手がなくなる」
と焦った父親に呼び戻され、故郷にしぶしぶ戻るしかなくなったPoornaの目の前にロッククライミング研修のバス。なんの申し込みもしていなかったが、係員がしぶしぶ認めてバスに乗り込んだ。

これがきっかけでPoornaは岩登りを覚えて頭角をあらわし、Praveenの両親への説得もありとうとうエベレスト登頂チームの一員とはなったものの、やはり見合いのために家に呼び戻されてしまう。

実家では帰省していたPriyaとの再会を果たし、エベレストに一緒に登ろうと持ちかけるが双子を身ごもって五ヶ月目のPriyaには無理な話。PriyaはPoornaをはげまし
「私みたいに14歳で結婚させられたいの?」
と問う。
Poornaの見合い相手と父親が着飾ったPoornaが出て来るのを待っている所へ、現れたPoornaはスポーツウェアで現れ、ちょうど到着したスタッフとともに登山研修のためダージリンへ向かう。

ダージリンで、ラダックで、トレーニングに励むPoornaに届いたのは、Priyaがお産で命を落としたという悲しすぎるニュースだった。若すぎる15歳のPriyaに双子の出産は荷が重すぎたのだ。
すっかり落ち込んでしまったPoomaはトレーニングに集中できず、登山者リストから脱落しそうになるも、2014年5月25日、ネパール側が雪崩であったため難関とされる中国側からのアプローチにもかかわらず、Poornaは13歳11か月の女性では世界最年少にてエベレスト登頂を果たす。
その背景にはいったなにが? Poornaの背をエヴェレストの頂へと押しあげたのは何だったのか?

 

小僧的視点:

「どこだよ、テーランガーナ州?」と思ったとて、無理はない。
2014年6月2日にアーンドラ・プラデーシュ州から分割され、インドで一番新しい29番目の州となったのがPoomaが育ったテーランガーナ州だ。
テーランガーナ州では乾期に温度が上昇し、貧困層を中心に熱中症による死者が多く発生することでも有名で、2015年5月には最悪の熱波にみまわれ、東隣のアーンドラ・プラデーシュ州と合わせて1800人以上の死者を出したようなところ。生まれ育ったPakalaの標高は最高でも368mで「山の民」とはほど遠い。

山岳地帯との環境の違いに順応するため、ダージリンやラダックで7か月の訓練を積んだとはいえ、それだけでエヴェレストに登れてしまうとはスゴイとしかいいようがない。

エヴェレスト登頂の最年少はJordan Romeroというアメリカ人少年で13歳10か月、 Poornaは13歳11か月だったので女性では最年少と表現されるが要は同い年だ。

映画の中で、女性として世界で初めて世界最高峰エベレストおよび七大陸最高峰への登頂に成功した登山家・田部井淳子さんの名前が出てくる。

運動は好きではありませんでしたし、体も弱かったです。「扁桃腺を腫らせて40度の熱を出しては、しょっちゅう学校を休んでいる弱い子」というイメージを持たれていました。自分でも体育は駄目だと思っていましたから、鉄棒もできない。跳び箱の最下段も跳べない。ドッジボールも逃げ回るだけという感じでした。人と競争したり争うことが、ものすごく苦手だったんです。

田部井淳子氏 ~山の向こうにあるもの~ - WISDOM

ご本人も言っているように身体が弱くてもエヴェレストに登れるようになった例としてコーチが名前を口にする。田部井さんは2016年に亡くなっているので、この映画を観てはいないとは思うが、Poornaのエヴェレスト登頂成功の裏には田部井さんの生きざまがあった。
とても素敵な山ガールつながりではないか。

 

ロケ地

撮影はPakala村から海抜200mのBhongirに至るまでのテーランガーナ州、ダージリン、シッキムとネパールにて。

www.youtube.com

 

ロケ地
Pakala Village (Nizamabad district, Telangana)

 育った村ホンモノで撮影、従姉と裸足で学校へ通うシーン

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家出をする前にヤギに別れの挨拶

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ロケ地
Bhongir (Telangana)

ロッククライミングの練習場はここ

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ロケ地
Darjeeling  (West Bengal)

トレーニングの様子はここで

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ロケ地
Lachung (Sikkim)

 エヴェレストに見立てた山の様子はここで

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ロケ地
Kathmandu (Nepal)

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参考記事

 

 

 

この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/18IL/?lang=hindi