横須賀①どぶ板通り
それでも、ホテルのレセプションの人がお客さんと英語で喧々囂々やりあっていて
「こんなに普通に英語通じるのか、ここは!」
と改めて驚いた。
不動産屋さんの看板も、張り出してある物件紹介も英文。「日本人物件もあります」とは書いてはあるものの申し訳程度、そもそも日本人用の物件が「日本人物件」という名前であることも今回、初めて知った。
そしてあろうことか、横須賀では日本の通貨・円を差し置いてドルが使えるようなのだ。
ドルが使えて「ドルまち」と覚えろと宣言するからには、シンガポール”ドル”とか香港”ドル”とかオーストラリア”ドル”とかも使えるんだろうな?
バルバドスやバハマやベリーズ、バミューダやブルネイ、
クックアイランドとかケイマン諸島とかのドルはどうなんだ?
などと畳みかけることは、一応、大人なのでしないでおくのである。
横須賀でどうしても行きたかった場所が、「スカジャン発祥の地宣言」をかかげるどぶ板通りこと本町商店街だ。
行ったのが早朝だったのでほとんどまだ開いていなかったけれど、通りの両脇にはたくさんの商店、レストランが並んでいる。
商店街なのになんで早朝にやってきているんだ、馬鹿じゃないのか? と思われても仕方ないが、来たかったところは開いていた。
その名も「延命地蔵尊」、名前は延命だけれど別に長生きの願いを叶えてくれるというわけではなくて、龍谷山良長院の末寺・延命山西往寺というお寺の本名(?)から来ている。
良長院はもともとは横須賀米軍基地内の泊浦(現在の泊町)にあった曹洞宗のお寺で、創建者である泊町の長峯城城主・瀬尾重兵衛良長から名前をとって良長院となった。
お寺のはずなのに、なぜか入口右手には手水があって、鈴のついた神社っぽいヒモが下がっている。賽銭箱の上には「お線香とろうそくをあげたら50円を」と書いてある。
カンカンに入っているはずのろうそくは品切れなのかカラだったので、お賽銭を入れ、お線香だけあげてお詣りをした。
もともとお地蔵様は江戸と浦賀を結ぶ「浦賀道」(現在の汐入小学校付近)にあり、茶屋町の女性たちが朝な夕なにお詣りをし、線香の煙の絶えない「洞ノ口地蔵尊」と呼ばれていた。関東大震災のあと(大正12年-1923年)にどぶ板通りに移され、延命地蔵尊として親しまれるようになったという。
横須賀といえば海軍カレーをすぐに思いつくけれど、「横須賀観光マップ」によるとイチオシは米軍から提供されたレシピに基づいて作られている170g以上のビーフパテ入り「ネイビーバーガー」と、米軍基地のプロデュースで誕生したクリームチーズをふんだんに使ったニューヨークスタイルの「チェリーチーズケーキ」なのらしい。早朝でお店は閉まっているいるので、どちらもトライすることなく退散。
湘南の人が湘南海岸の海で泳ぐことがめったにないがごとく、横須賀の人は海軍カレーもネイビーバーガーもめったに食べないのかも? とか思いつつ……。
朝っぱらだというのに開いている店もある。アメリカっぽいグッズが並んでいるので、雑貨屋さんかと思いきや
思い切り、普通の家具屋。
看板も英語が多いなぁと眺めていたら、Comapassの広告。
カフェ、レンタルスペースはわかるけど、その流れの最後に「仲人」って……。何屋なんだかよくわからない、混沌とした感じがとても楽しい。