ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

Shubh Mangal Saavdhan

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ヒンディー映画「Shubh Mangal Saavdhan」(2017)

配役:

Mudit Sharma役:Ayushmann Khurrana
Sugandha役:Bhumi Pednekar
Jimmy Shergill役:Jimmy Shergill

ネタバレしない程度のあらすじ:

Gurgaonで働くシャイなMudit(アユシュマン・クラナ)はSugandha (ブーミ・ペドネッカー)に恋をして、勇気を出して話しかけようと近づくも大道芸人の操る熊に抱きつかれて台無しに……から始まる二人の恋物語
熊にメゲてしまったMuditはインターネットのお見合いサイトからSugandhaに結婚を申し込み、めでたく二人は結婚することになったがMuditの身体問題(ED)をめぐり、両家と友達がなんとかしようとすったもんだ……さて、二人の結婚はどうなってしまうのか?

小僧的視点:

ブコメディーなのでEDとてシリアスに描かれているわけではないながら、インドのことなので当人よりも二つの家族にとって大問題なのだろう。
私が好きだったのは突然SugandhaがMuditピクニックに誘い、ムードのある音楽を青空の下で流しつつ友達から入れ知恵されたせくしぃな台詞を一生懸命言ったものの泣いてしまう場面。それと、冒頭の告白を熊に邪魔されて「熊の人」と呼ばれてしまうくだりである。
まわりがやんややんやちょっかいを出し、二人の家族がまたすったもんだし、しまいにはMuditさえも結婚をキャンセルなどと言い出す中、最後の誤解まで決してブレなかったのが結婚を決めた後のSugandhaの想いだった。
Sugandha役のBhumi Pednekarはデビュー作の「Dum Laga Ke Haisha(2015)」二作目の「Toilet: Ek Prem Katha(2017)」ともブレない強さという共通の要素が印象的だ。
「Dum Laga Ke Haisha(2015)」は相手役も同じなら、舞台もハリドワールで続編か何かを観ているかのような気がしないでもないが、
Bhumi Pednekarの身体が半分になって顔がわりもしているので気付かない人も多いかもしれない。
せつなさあり、踊りと笑いあり、ほのぼのしたいい映画で私は大変満足である。

この映画を通し、インドの中流家庭の結婚に変化が出てきているなぁというのを感じた。親の決めた顔も見たこともない(もしくは一度だけ顔合わせする)と結婚するスタイルが主流だったインドだが、婚約後に電話しあったり、ビデオコールしたり……という変化ではなく、私がいうのは「見合いを装った恋愛結婚」が実は増えてきているということだ。

新婚だというインド人男性と無駄話をしていた時のことだ。
「お見合い? 恋愛結婚?」
なにげなく訊いた私に彼は声をひそめ
「誰にも言っちゃだめだよ」
と語りだした。
なんでも、何年も前から片思いしていた女性がいたのだが、誰にも言わずにずっと思い続け、親が「そろそろ息子に嫁を……」と言い出したタイミングをはかり、日本でいう仲人を片思い相手の両親に紹介し、その話にまんまと自分が乗って思い続けていた女性と結婚したというのだ。
奥さんにとっては普通の見合い結婚だけれど、本人にとってはフラれることも家族に反対されることもない恋愛結婚なのであり、なかなかのの策士っぷりだ。
「あったまいいねー」
感心していたら
「奥さんに会わせるからおいで」
なぜか家に連れて行かれたのだが、「くれぐれも今の話を奥さんに言わないように」と入口で再度口止め。いまだに内緒なのか! びっくりもした。
会わせて貰った奥さんに
「お見合い結婚なんだって?」
水を向けたら
「そうなんだけど、すっかり意気投合してまるで恋愛結婚みたい。毎日デートしてるみたいで楽しい」
と。
「いやー、だからそれどっからどう見ても、両想いの恋愛結婚だよ!」
バラしたくなるのを必死にガマンしたのである。
いやいや、インドの結婚事情も大人の知らないところで、じびじびと変わってきてるんだよねということを再確認する映画であった。

ロケ地
Halidwar (Uttarakhand)

「Dum Laga Ke Haisha(2015)」の舞台であった1995年当時のハリドワールはウッタル・プラデーシュ州だったが、今はウッタラーカンド州になっている。

この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/4Els/?lang=hindi