ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

柔らかい飲物とOpen Shoes

 台北からサンフランシスコへの飛行機の中、配られたメニューには「昼食」「スナック」「朝食」の3つの種類の食事が記されていた。
たった10時間くらいのフライトなのに3食!
提供する乗務員さんにしたら
「食事サービスが終わったと思ったらスナック、スナックが終わったらすぐに朝食。いったいどこまで私たちをこき使ったら気が済むの!」
憤慨するレヴェルだが、出される側にしてもこれでは思いっきりブロイラー状態だ。

ま、そんなことはいいとしても、ブロイラー育成メニューに英語で記されていた『SOFT DRINK』が『軟飲料』と中国語に翻訳されていたのには、けっこう笑わせてもらった。
機内で台湾人キャビンクルーのおねーさんと仲良しになったので、この『軟飲料』の文字を示してみせると
「ぶぶぶぶぶ」
やっぱり笑っていた。
ちなみに愛用の「英華大詞典」にて『SOFT DRINK』を調べてみると、『不含酒精的飲料』となっていて、決して『軟飲料』なんかではないはずだ。
コンピューターなどの『ソフトウェア』が『軟體』なので、『軟飲料』としたくなる気持ちはわからないでもない。

ただ、アメリカにはあれだけ華僑が居て、乗務員だってたくさん台灣から雇っているわけなんだから誰か気づいてもよさそうなものなのに……と思うのが素人のあさはかさんで、アジア11カ国のキャビンクルーをとりそろえていると巷で噂の某航空会社でも、日本人向け宅配お土産サービスのパンフレットには目も覆わんばかりの出鱈目な日本語表現がてんこ盛り。
機内における誤った翻訳は
「あーー、こういうもんなのかもしんないな」
笑っておくしかテはないのかもしれない。

台灣人がいつもやらかす間違った英語表現といえば、『Open Computer』がつとに有名。
「パソコン開けて」
ソフトウェアなら大抵なんでも、なんとか直してしまう私だけれど、コンピューターを開けて直せと突然言われると戸惑ってしまう。
いや、なんのことはない。『Open Computer』とは中国語の『開電脳』の直訳で「パソコンのスイッチを入れて」の意味なのだ。
以降、『開電視(テレビつけて)』『開灯(電気つけて)』、中華圏で暮らす私のアタマには『開= Open = Turn on 』という図式がインプットされたのである。

インド・ラジャスタン州にあるプシュカルの町。インドにたった1か所しかないブラフマー神を祀るお寺へ行ったら、門前町の看板に今度は

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『Please OPEN your shoes』

とあった。『कृपया अपने जूते उतारें(あなたの靴を脱いでください)』の意味なのだろうと想像はできるが、町の人みんなが靴だけではなく洋服脱ぐのにも『Open』を使う。プシュカルでは『脱ぐ=Open』が常識? なので『Take off』などとこちらが言っても伝わらないから困ったものである。

こういった地域限定英語、慣れてしまえばなんともないけれど、それまでにはコンピューターを脱いだり、靴のスイッチを入れたり頭の中は大変忙しいのである。