ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

ディズニー格安入場券㊤

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何をこのんでフロリダくんだり、オーランドくんだりまでやって来たかといえば、言うまでもなく目当てはディズニーランド、ユニバーサルスタジオといった遊園地である。
ディズニーランドは世界各地にあれど、ここフロリダの入場料は本家本元にもかかわらず異様に高いらしい。
そういった値段や価格など数字にまつわることは、仕事だ! 取材だ! メモせねば!という状況でもないかぎり、キレイさっぱり忘れてしまうタチなのであるが、同行者に言わせるとそういうことなのらしい。
ユニバーサルスタジオの入場券の方がディズニー王国よりほんの数ドル安いだけで、どちらの遊園地も入場券は50USドル弱。2つ行ったら100USドル、うっひゃー!
……とか言っているあなたはまだ甘い。王国には5つの国土があり、この1つ1つに入るたび49USドルが必要なので×5して1人245USドルになる。5日間使える券もあることはあるのだけれど247.74USドルと、
「たった2ドルしか安くなってないじゃーーん!」
というのが現実。

ところがところが……。オーランドの街のあちこちには
「ディズニーランドとユニバーサルスタジオ、2人で行くなら1人15USドル!」
見るからに罠のように甘い台詞の大書された看板が点在する。
むむ? 1人15USドルってことは、2人で30USドルでしょう? ホントだったら2人で100USドルのはずなのに、なにをどうすると急に30USドルになっちゃうわけ?
どう考えても罠のような気がする……。
普通ならこういう具合に思考は進むはずである。
しかし、こういう甘い罠には何をおいても『ハマってみたい』と思うのが私という生き物の習性であり、ご多分にもれずしっかりハマッてみたのである。

ホテル内に設置されていた、「チケット・デスク」という遊園地の前売り券を扱うところへ出向いて
「ねぇねぇ、この看板にある二人で30USドルっていう入場券に惹かれちゃうんだけど」
言ってみると、まるでさもさも普通なことのように
「オッケー、じゃぁ、このリゾート見学ツアーに参加して」
ってな具合でカウンターのお兄さんは、パンフレットというか写真付きのラミネートコーティングされた紙を見せてくれる。
プールサイドだの、ゴルフコースでクラブをかまえる人だの、部屋の様子などの写真が載っていて、どこにでもあるリゾート系ホテルのパンフレットみたいである。
「すでにホテルに泊まっているんだから、リゾート・ホテルの見学したって意味ないんじゃ?」
私は言ったのだが
「ここはね、新しいリゾートでまだみんなに知られてないから、いわゆるプロモーション中なんだよ。君が今回泊まらなくても、次にオーランドに来る友達に紹介してもらうとか、そういうことのための宣伝活動なんだ」
お兄さんは答える。
『ふーん、所変われば面白い方法でプロモーションするもんだ』
滅法無邪気に考えた。見学だろうが、プロモーションだろうが、それはそれで構わないが私の興味はただ1つ。
「で、その見学ツアーと遊園地の入場券に、いったい何の関わりがあるわけ?」
核心にせまってみると
「90分くらいのツアーに参加して、ぐるっとこのリゾートを見て回る。それに対するお礼として、30USドルで遊園地に連れていってくれるし朝食もついてるんだよ」
という説明。
「でも、朝食はさっきすませたばっかりだし」
渋ってみせる私に対して
「もちろん、昼食でもオッケーだよ。リゾートの方で車を出してくれるから、食事が済んだらその足で遊園地に行けばいいよ」
兄ちゃんはソツがない。
「でも、これから90分のツアーに行ってそれから、遊園地に行くとなるとどう考えてもお昼過ぎちゃうじゃない。遊園地に行くにしては出遅れって感じじゃない?」
「ああ、それならチケット貰って食事だけして来て、遊園地には明日なり明後日なり日を改めて行けばいいじゃない」
「へぇー、そういうことも出来るんだ、ふーん、なるほどねぇ」
くちではいいつつ
でも、人生ってそんなに甘いかなぁ?
なんだか怪しくない?
思いつつも、「やっぱり行ってみる」ことに。
名前やらなにやらを聞き取って申込書を作成、兄ちゃんが車の手配と連絡をしてくれる。
「何時頃に出発したい?」
聞かれたので、お昼をそのリゾート・ホテルで食べるならその頃がいいと答えたが結局のところは「今から数10分後に出発してくれないとダメ」という返事。
な、なんじゃなんじゃ、やっけに慌ただしいことになっちゃったぞ。だったら何時とか訊く意味ないじゃん!
……というわけで、ほぼ15分後にホテルに迎えに来たヴァンで、私達は「パーム・リゾート」なるところへ連れて行かれたのであった。