ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

マナー? 口説き? 本気?

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世界には本当に色々な価値観がある。
ツアーコンダクターとしては、ツアー中に刃傷沙汰になったりしたら困るので

××(国名)では女性に対するセクハラも大変多いです。特に日本人女性は騙しやすいと思われているので十分に注意をしてください。
ツアーの最後になって「一緒に帰らず、ここに残ります」などと言い出されることのないよう。とりあえず一旦日本に戻って、再度出直してから婚姻や恋愛の話は進めて下さるようにお願いしておきます。

 

などと、『生水飲まないで! トイレの紙便器に流さないで! 貴重品とパスポートきちんと管理!』などの現地情報のひとつとして冗談まじりに釘をさしておくような国もある。

私がこのようなことを言う国の筆頭はイタリア。
イタリア人男性の脳には「女性を見たら褒めないと失礼」というプログラムが埋め込まれているので、女性とみればそれがお母さんくらいの年齢だろうが、おばぁちゃんくらいの相手だろうが
「キレイ、可愛い」
脊髄反射で言ってくる。
普段、褒められ慣れていない日本人女性は、毎日毎日誰かに褒められてうっかりぽーっとしてしまうこともあるのだろうが、お国柄がそうなのだと伝えておけばそれなりに
みんな褒められることを楽しむ程度で終わる。
イタリアの場合はそもそもイタリア人男性側がただ女性に対するマナーとして褒めているので、ほとんど何も起こらない。

日本人に限らず湿気の多いところに住むアジア人(モンゴロイド)は世界でもやけに若く見える人種だと思う。欧米人のように皮膚が薄くないので年齢を重ねてもシミやクマなどがあまり目立たず、実際にもシワが少なく肌にハリがある人が多い気がする。
プリンターに挿しておいた紙がてろーんとすぐお辞儀をしてしまうほどの
湿気を誇る(?)台湾では、20代にしか見えない40代や30代にしか見えない50代などそこらじゅうにざらにいる。が、沙漠っぽい気候の乾燥したアジア、たとえばインドやパキスタン人は40代にしか見えない20代やら、50代にしか見えない30代も散見される。
また、
日本人に多い”凹凸の少ない顔立ち”というのは、ホリが深い顔立ちの人よりも幼く見える傾向がある。
この日本人の若作り?によって、40代にしか見えない独身30代のインド人が30代にしか見えない40代の日本人女性を口説きはじめてしまうという事態が生まれるのである。年上女房など世界にいくらでもいるのだが、そもそも親が決めた相手と顔も見ずに結婚するのが普通の国は、展開が早い。初日に知り合ったどこぞのホテルの従業員とツアー最終日には結婚するから居残るなどと言われると、やはり面食らうのである。
それでもお互い独身の男女であれば、大人なんだからどうでもいいといえばどうでもいいのだが、これが男性の方が既婚だったりするとややこしくなってくる。

すでに結婚しているくせに女性を口説くなんて、俗にいう不倫じゃないか、けしからん。セクハラだ!
ひとくくりに言い捨てられないのがモスリムの国だ。
イスラム教では経済的に許せばだの、全員を平等に扱えればだの、他の奥さんがいいって言えばだの、いろいろ条件が設定されつつも妻は4人まで持っていいことになっている。よくよくその理由をたどれば未亡人対策、貧窮対策として考えられたきまりごとではあるけれど、すでに結婚していて子供が数人いて新たに日本人の独身女性を口説いていたとしても、聖なる経典コーランに4人と定められている以上は宗教的にも、倫理的にも、道徳的にもその国では何の問題もないことになる。
口説いている本人は本気なのだが、口説かれている側はセクハラと感じてしまう……このあたりがとても難しいので、私は最初から「セクハラが多い国だ」とイスラムの国に行く時は言うようにしているのである。

じゃぁ、イスラムの国でなければ大丈夫かというと、ブータンのように「婚姻」という概念自体がとてもあやふやで、「どうして日本人は好きでもなくなった人と、ずっと一緒にいて退職後に熟年離婚するのか理解できない」などと公言する人達ばかりの国もあって、もうこうなるともうどうにも説明のしようがない。

ゆえによって、私のツアーにおいては「ツアー中の恋愛は自己責任において自由だけれど、現地居残りだけは絶対に認めません」というタテマエを採用しているのである。
ま、そんなこといっても恋は盲目、止められるもんでもないんだけどね……。