ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

インド映画ロケ地巡り Ae Dil Hai Mushkil

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ヒンディー映画「Ae Dil Hai Mushkil」(2016)

配役

Ayan Sanger役:Ranbir Kapoor
Alizeh Khan役:Anushka Sharma
DJ Ali役:Fawad Khan
Saba Taliyar Khan役:Aishwarya Rai Bachchan
Lisa D’Souza役:Lisa Haydon
Dr. Faisal Khan役:Imran Abbas
Tahir Taliyar Khan役:Shah Rukh Khan  (特別出演)

ネタバレしない程度のあらすじ:

ロンドンのクラブにて、ガールフレンドのいるAyan(ランビール・カプール)とボーイフレンドのいるAlizeh (アヌシュカー・シャルマー)が知り合い、本能的にキスをするがこれは単なるお酒の勢い。
2人は後日ダブルデートをするのだが、あろうことかお互いのガールフレンドとボーイフレンドがひっついてしまい、傷心の2人はボンボンであるAyanのプライベートジェットでヨーロッパへ旅行に行くことに。
AyanはAlizehのことを好きになるが、AlizehはAyanのことを友達としか思えない。

2人の旅行最後の日、Ayanと街を歩いていたAlizehは偶然、昔の恋人だったAli(ファワード・カーン)と出会う。AliはAlizehに復縁を迫り、Ayanは
「行こう」
Alizehと帰ろうとするが、ふりはらったAlizehは「あなただけで行って」とAyanを去らせる。
「プライベートジェットはもう迎えに来ないよ」
Ayanが言っても、Alizehは
「なんとかするからいい、行って」
と。
傷心をかかえてロンドンへ戻ったAyanのもとに、しばらくしてAlizehから電話がかかってくる。インドのラクナウからだった。
「Aliとの結婚式をするけれど、家族に反対されていて誰も自分の身内は来てくれない。だから親友であるAyanには来てほしい」
複雑な気持ちながらラクナウに向かったAyanは結婚式の会場で魂を込めた歌を歌ってみせる。

achchha chalta hoon
duaaon mein yaad rakhna
mere zikr ka zubaan pe swaad rakhna

じゃ、もう僕は行くよ。
君のお祈りの中で僕のことを思い出して
僕の言ったことを覚えていて

「すごいじゃない!」
歌いっぷりを褒めたたえるAlizehに、Ayanは自分の本当の気持ちを吐露する。


Channa Mereya - Full Song Video |Ae Dil Hai Mushkil | Ranbir| Anushka| Pritam| Arijit

 

しかし、結婚式期間中の告白……想いは届かず心に大きな傷を負って、結婚式の途中ながらAyanは歌の歌詞の通りラクナウを去るのだった。

失意のAyanはイギリスに戻るために飛行機を乗り換えたフランクフルト空港にて、ウィーンへ向かう詩人のSaba(アイシュワリヤー・ラーイ・バッチャン)と出会う。
お互いに惹かれるものを感じた2人は3ヶ月後にウィーンで一緒に暮らしはじめるが、AyanはAlizehを完全に拒絶。電話にもでなかったのだが、Sabaの前の夫Tahir(シャー・ルク・カーン)の言葉
「love is not a weakness but empowering」
に得るところのあったAyanはAlizehにSabaの写真を送り、やきもちを焼かせようとして再度コンタクトするようになる。

ある日、Alizehがウィーンに来ることになりAyanは夕食に自宅へと招く。AlizehはAyanがSabaと愛を育んでいると思って喜び、SabaはAyanが実はAlizehを愛していることを感じ始め、Ayanに「去り際は肝心だ」と諭すがAyanを愛するSabaの心は相当に複雑だった。

その後もAlizehのことを思い続け、歌手として名をはせたAyanはある日、Aliと出会い2人が別れてしまったことを知る。それからAyanはAlizehのお気に入りだった場所に通い続け、彼女が現れるまで待ち続け、とうとう二人は再会する。
さて、2人はとうとう結ばれるのか、それとも?

小僧的視点:

Karan Johar監督作品。
「せつない」という日本語、英語にどう訳したらいいものかがいつも私にはわからない。翻訳や通訳が苦手だなぁと思うのは、こういう時だ。
この映画をひとことで表すならば「せつない」以外には思い当たらないのだけれど、これを映画の感想を聞いてきたインド人に英語で伝えようと思っても、なかなかうまくいかなくてもどかしい。
AyanはAlizehに、AlizehはAliに、SabaはAyanに、揃いも揃ってみんな想いを向けながらも相手の想いは違う人に向かっている。
誰が見たってAyanの気持ちはAlizehに向いているにもかかわらず一向に気づこうとしないAlizeh。
インド・ウッタルプラデーシュ州のラクナウで行われた結婚式の様子が以下の動画なのだが、ホーリーよろしく色の粉をかけあうシーンだけを予告編で観た時に

「いったい、誰と誰の結婚式なのだ?」
思ってしまった。Ayanの気持ちに気づかないだけならまだしも、物理的にも親密にAyanに接するAlizehの行動がむしろ残酷にさえ思えてきてしまう。
届かぬ想いはいつだってせつない。自分をAyanに置いても、Sabaに置いても胸が苦しくなるけれど、届かぬ想いを寄せられるAlizehもまたせつないのだ。
それでも人は恋をする。人の心に鍵はかけられないから。
Tahirの言うように
「love is not a weakness but empowering(愛は人を弱くさせるのではなく、活性化させる)」
だと信じたい気持ちはある。そんなことを考えながらこの映画を観ていると、もうこのあたり(←どこだよ!)がきゅーっとなってきて、
「ああ、心っていうのは実はみぞおちのあたりにあるんだな」
などとヘンなことを悟ったりもする。

世の中には友達も含めてお互いを想い合う人達もたくさんいるはずだ。でも、その想いの丈はどうなのだろう。想いを計る目盛りが何かを私は知らないが、私があなたを思う気持ちが10だとしたら、あなたが私を想う気持ちは本当に10だろうか。
あなたの息子への愛が100だとしたら、息子のあなたへの愛は?

「この世は所詮、すべてが片想いなんじゃないのか?」
この映画を観ていると、ついついそんなことを考えてしまうのだった。 

ウッタルプラデーシュ州の首都、ラクノウでの結婚式という設定だが、実はラジャスタン州シェカワティ地方のマンダワで2016年3月26日~4月1日までの7日間撮影されていたというもの。
なのに……
「え? Ae Dil Hai Mushkilはマンダワじゃないよ」
マンダワの町のみなさま、ほとんどがこの反応。なんと、現地ガイドでさえ同じリアクション……どれだけ知名度低いんだ。
「いいや、絶対にマンダワ! 間違い無い」
主張して、ダメでもともとでHotel Mandawa Palaceまで行き、そこでガイドにビデオを見せて、やっと判明。

ロケ地
Hotel Mandawa Palace (Mandawa Rajasthan)

 

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ラクナウでの結婚式シーンが撮影されたのは、この門を入って左側にあるホテルの上部。現地ガイドが
「ホテルの反対側、砦のある建物から見た方がよく見える」
とかいうので、鍵がかかってるところをわざわざチップ(200ルピーずつ請求された)渡して開けてもらい、登ってみたのだが

てんで嘘!

天蓋の部分がちょこっと垣間見えるだけで、全体などちっとも見えやしないのである。
ったくもう、ローカルガイドもよくわかってないというか、インド名物『適当なこと言い』である。
宿泊しないと入るだけで250ルピー必要だが、もっとはっきり、ちゃんと見えるのである。

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うむ、確かにここで間違いない。
映画でこのシーンを観た時
「どこかのお寺の沐浴場なのかな?」
と思った。
にしても、なぜ結婚式でホーリーまがいの色粉を撒いている? うーん、きっとホーリーの時期の結婚式なんだな……とか勝手に脳内でいいように理解したのだが、これで理由がわかったのである。
そう、プールの下にある青い



こんな模様。
お寺の沐浴場にこんな模様があったら台無しだが、アングルの関係上どうしても見えてしまうはずだ。
それなら、ホーリーの時期っていう設定で、ピンク色の粉撒いちゃえば隠れるじゃん!
という安易な発想と展開に違いない。
どーでしょう、Karan Johar監督。この推理と考察は?

この映画が観られるサイト:

https://einthusan.tv/movie/watch/9097/?lang=hindi