ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

黄大仙の占い

f:id:bokenkozo:20180522151003j:plain

香港の黄大仙を歩いていたら、どこからともなく女性が現れて
「あなたが来るの知ってた。見てあげる」
ニコニコしていうのである。新手のキャッチセールスならぬキャッチ占いに違いない。

黄大仙は占いで有名なお寺だけれど、別に占いをしようと意気込んで行ったわけではなかった。縁があるなら冷やかし半分、みてもらってもいいかなと思ったものの、この女性占い師さんは日本語をほとんど話さないのだ。黄大仙には腐るほど日本語の出来る占い師さんがいるというのに……。
それでも北京語が出来るというので、英語とチャンポンでみてもらった。

占いの方法はいわゆる四柱推命、過去のことは何も言わず未来のことだけ。
やれリーダーシップを発揮する仕事につくだの、辰年と午年の人と相性が良いだの言われたが、当時のパートナーは卯年だったし、
「てーんで、当たってないがな」
である。
当時、台湾に住んでいて旅行関係の書き物をしていたので、リーダーシップもへったくれもひとり仕事。

このあと他の男性があらわれるとか、子供をもうけるのなら何歳までにしろだの、何歳から何歳までは自立するだの、何歳から何歳までは超モテモテで仕事で名を成して戌年亥年の人と恋に落ちて、旅関係の本をたくさん書くだのと細かく教えてもらったが
別に仕事やパートナーを変える気もさらさらなければ、台湾を引き払う予定もなかったので
「あーー、はいはい。全部ハズれてるから」
笑いながら流して聞いていた。
占い師さんがいろいろメモしてくれた紙切れも、いつの間にかどこかへまぎれこんで消えてしまった。

5年後、パートナーに「他の男性」が現れて私は台湾を引き払い、リーダーシップを発揮せねばならないツアーコンダクターの仕事についていた。
ひょんなことから黄大仙の占い師さんが書いてくれたメモ書きがぺろっと出てきて
「あーーーっ、なにこれ!」
のけぞった次第である。
裏紙に走り書き、ハジの方は経年劣化でボロボロになってはいたけれど、
流れがほぼ言い当てられている。
何歳から何歳の表記が1年ズレのようにも思えたが、中華圏は数え歳で話をするので見事に的中しているのである。
こういうのを目の当たりにしてしまうと、アガスティアの葉じゃないけれど、運命というのはあらかじめ生まれた時からおおかた決められているんだなぁなどと思わずにはいられない。

ここまで当たるとわかっていれば、その占い師さんの名刺でも連絡先でも貰って来たものを、今となってはどこの誰なんだかさっぱりわからない。おまけに、どこのブースでみてもらったのかも記憶がさだかではない……。

まぁいい。
走り書きによると、これから私は超モテモテで、名を成して戌年亥年の人と恋に落ち、旅関係の本をたくさん書くことになっているので、楽しみにしていれば良い。

人生を賭けた(←それほど大袈裟なことか?)香港黄大仙の占いが当たるかどうかの検証はこれからである。