ぼうけんこぞう

旅と冒険(回遊ともいう)の軌跡と映画

ジャイプール旧市街が戒厳令下に

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妙にジャイプールのホテルのWIFIが繋がりにくくなったので、日本から持って来たルーターで接続しようと試みるも

 

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こんな画面が出たままビクともしない。

仕方がないのでパスワードを入れ直したり、だましだましホテルのWIFIを繋げて日本とのやりとりをしているうちに、ジャイプールの友人から「迎えに行くの、少し遅れる」と電話がかかってきた。
「は? なぜ国際電話をかけてくる?」
ルーターを持って歩いているので、インドの友人とのやりとりは普段Whatsappの通話やメッセージ機能を使っている。なんだかよくわからないが、みんなが電話をかけてくるので不思議に思っていた。

友人と落ち合ってはじめて、ジャイプールのモスリム系住民と警察官の間におきた齟齬がもとになり、前日(2017年9月8日)旧市街で大規模な抗議行動(というか暴動だな、もう)があったことを知らされた。
激高した人々が警官に石投げるわ、車や救急車に火を放つわ、発砲された催涙弾の流れ弾で通りがかった少年が死亡、警察官も数名負傷したのだという。
私はジャーナリストではないので、事件について詳しく知りたいむきは下記ニュースなどを参考に。

ニュース映像だけを見ていると
「なんだ? なんだ! ここは戦時下のイラクか?」
な雰囲気に怖じ気づくが、実際に行ってみたら戒厳令下に置かれている旧市街はいたって静かなものだった。

車両通行止めにはなっているが旧市街にはマハラジャをはじめ普通に人が居住しているので、てくてく人々は出たり入ったりしているし、行者さんみたいな人もふらーふらー歩いていた。
私が様子を見にいった昼前にはバリケードの脇っちょからバイクがするりと入ったりしても、近くにいる警察官もとめるでもなく……ゆるーい感じだった。

https://www.instagram.com/p/BY13fQCH25Z/


この日の「ハワーマハル(風の宮殿)」前の道
ただし、旧市街にあるシティパレス、風の宮殿、ジャンタルマンタルもすべて封鎖されていた。シティパレス手前のゲートにある鳩の餌やり場には餌を売る売り子達の姿もなく、鳩だけがたむろ。
「道を渡る時はくれぐれも気をつけて! ガイドさんと一緒に渡って!」
などとクチが酸っぱくなるほど言っている、風の宮殿前の道にもひとっこひとりいなかった。まわりのバザールの店という店も全部閉まっていて、さながらゴーストタウン。

客引きの声とクラクションと、ほこりっぽい普段の風の宮殿前の道は、こんな感じ

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道の真ん中に寝っ転がって、足をばたばたさせ
「うわーん、アイスクリーム買ってくれないならゴキブリになってやるー」
とかいうおちゃらけ写真を撮りたかったのだが

 

『日本人、旧市街にてゴキブリスタイルで新たなる暴動を引き起こす』

などと、新聞ネタになっても困るので自制した。
もともとジャイプールで行きたいと思っていたところは全部旧市街の壁の外だったし、仕事でもなく友達と回遊していただけなので特に大きな影響はなかったが、友人の家について
「あれ? ネットまだ繋がらない」
と気付き、ニュースを見たら全市でインターネット接続が全市にわたって停められていると知らされた。

インドは何かあればすぐ電話、メッセージが主流の日本とは違う。電話やテレビには何の規制もされていないので、街の人はそれほど不自由を感じているようでもなく
「今日、インターネット接続ないね~」
程度なのだが、それでもインターネットを停めるのである。

Something unusual about the Internet Shutdown in Jaipur over the weekend
According to the Internet Shutdown Tracker from the SFLC.in, there have been 5 other shutdowns in Rajasthan this year, taking the tally to 6 so far. Rajasthan has had the second highest number of Internet Shutdowns, at 13, followed by Haryana, at 10. The highest has been in Jammu & Kashmir, at 49 shutdowns so far. What’s also interesting is that of the 106 shutdowns listed on the site, none have been implemented south of Maharashtra.

事件があったからってインターネットを停止するだなんて、なんだか共産主義みたいだなとちょっと思ったのだけれど、今年に入ってからラジャスタンでインターネット接続が停止されたのはなんと6回目、結構よくあることのようだ。

しかも、ラジャスタンはジャンムー・カシミール州の49回についで2番目に停止された回数が多く通算だと13回。まぁ、どちらもパキスタン、中国などと国境を接している州だけにいろいろあるんだろうなと想像はできるが、3番目のハリヤナ州の10回はカースト絡みなのだろうか。
通算で106回の停止が今までにあったらしいが、マハラシュートラで停められたことは一度もないというのも面白い。
熱くなりやすい人々を多く抱え、暴走しやすい大きな国だけにデマの流布や更なる暴動を組織することを阻止する意味があるのだという。関係ない人が暴動に巻き込まれないためとはいえ、私にとっては不自由極まりなかった。

ホテルなどではなんとかかんとかインターネットに繋げられるのでUberでタクシーを呼ぼうとしてみたが、ドライバー側にネット接続がないので
「ドライバーがみつけられません」
となって意味をなさなかった。特に荷物がなければ表通りまで歩いていってリキシャを停めて交渉すればいいが、大荷物を抱えているとホテルのハイヤーを使うことになり、タクシーの6~7倍の料金にチップが必要になる。
ホテルにいる限り、ジャイプールの外の友人となら連絡がつくが、一歩外に出ると友人達は私に国際電話以外では連絡がつかなくなる。せっかくルーターを持って来ているのに丸2日あまり使うことができず、国際電話代もかさんだ。
なにより、ネット接続が停止されているという状況が把握できない他の街の友達との約束は、のきなみ反故になってしまった。

暴動の翌日もまた抗議活動という名のいざこざがあり、夜ホテルへ戻る時には相当な数のモスリム系住人が暗闇のなか集会をしていたり、ちょっとドキドキする場面もあったりしたが、それでも石も飛んでこなかったし、何事もなくジャイプールを脱出できたので、まぁ、よしとしようではないか。

ちなみに、戒厳令下インターネット停止中にジャイプールから国内線に乗った。日本から持参のルーターは相変わらず動かないままだったが、空港の無料WIFI30分は普通に使えた。
いったいどんな風に規制をかけているのか、いまだに謎である。